連結決算は、
「『作業』ではなく『仕組み』である」
とお伝えしています。
(参照:Vol.55 グループ経営の仕組みとしての連結決算)
つまり、
「連結決算=連結グループ経営の仕組み」
です。
連結会計の専門的知識を使って、
連結決算書を作るのは、
たんなる「作業」であって、
連結決算の一要素でしかありません。
くどいようですが、
グループ経営を実践していく社長には、
是非この点を十分に意識していただきたいと思います。
そして、
この連結経営の仕組みづくりにおいては、
社長自らが率先して、
連結決算の仕組みをデザインし、
構築を推進していくことがポイントです。
連結決算を、
経理部や専門家に丸投げしているようでは、
たんなる「作業」で終わってしまい、
薄っぺらい成果で終わってしまいます。
当然、経理部や会計士といった
専門家を巻き込むことは不可欠です。
ただ、
あくまで社長自らが
主体性をもって連結決算の仕組みづくりに
関与をしていく必要があります。
そのなかで、
足りない部分や必要な部分について、
専門家を上手く活用しながら、
仕組みを作っていく視点が大切です。
決して専門家への丸投げや
主体性無き依存状態にならないように
社長には意識をしていただきたいと思います。
ここでは、
連結決算の仕組みづくりにおいて、
社長に求められる役割を
簡単にまとめておきたいと思います。
それは、
①連結決算の仕組みの全体像のデザイン
②関係者の巻き込み
③仕組みづくりの状況の定期的チェック
の3点です。
連結決算の仕組みは、
連結グループ経営を実践するための
仕組みであるため、
当然、社長自らが経営の全体像を示す必要があります。
「社長が連結決算の目的を決める」
という点については、
Vol.56でも書きましたが、
社長の意志があって初めて、
連結決算の仕組みづくりが始まるのです。
そして、
連結決算の仕組みは、
連結グループ経営そのものであるため、
経営に関与するすべての人を巻き込まなければ
生きた仕組みにするのは難しいといえます。
社長だけが連結決算の導入を唱えたとしても、
実際に現場で働く社員が「他人事」に感じてしまえば、
この仕組みは動かず、
結果的に「作業」としての連結決算のみが
成果物になるおそれがあります。
これでは、
せっかくの社長の強い決意も
無駄になってしまいかねません。
そのため、
社長は強いリーダーシップを発揮し、
連結決算の目的を明確にし、
各社員に「自分事」として捉えてもらえるように
巻き込んでいくことが重要なポイントです。
そして最後のポイントですが、
社長には、
仕組みづくりに最後まで関心をもって
状況をフォローしていただきたいと思います。
仕組みづくりが苦手な社長の特徴は、
最初の言い出しだけで終わる傾向があります。
社長の多くは、
リーダーシップを発揮して、
新しい取り組みを始めることは、
もともと得意にしている方が多いです。
但し、
その取り組みの進捗をフォローしたり、
新しく始めたことを「継続」していくことを
苦手にしている社長が結構多いです。
多くの社長が苦手にしている
単調な作業、継続といったことを
実行できるかどうかで、
会社としては
大きな差になって表れてくるものだと思います。
社長がすべてフォローしきれない部分は、
当然、右腕や経営幹部に任せていくことも必要です。
但し、
「放任」主義と「放置」主義は異なります。
とくに仕組みづくりの時期については、
社長が強い意志と情熱をもって、
自ら進捗を確認し、
決して放置状態にならないように、
徹底をしていただきたいと思います。
仕組みができるまでの辛抱です。