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Vol.32 ホールディングス × シェアードサービス=?

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企業が複数会社化していけばいくほど、
間接部門のコストが増大する傾向があります。

間接部門のコストとは、
管理系の業務にかかるコストです。
たとえば、経理・総務・人事、
といったような機能が一般的でしょうか。

このような間接コストの増大防止を図る際に、
テーマになるのが「シェアードサービス」という概念です。

一般的には、グループ会社が増えると、
会社数に応じて間接コストも増加していきますが、
このグループ内の間接業務を1つに集約し、
効率化を図るような考え方です。

たとえば、グループ内企業それぞれに
経理部を設けるのではなくて、
グループとして1つの経理部を設けて、
各グループ会社の経理を一手に引き受けるような感じです。

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間接業務というものは、
法人ごとに異なる要素と、
どの法人でも大きく変わらない要素があります。

シェアードサービス部門を作ることで、
どの法人でも同様な業務になる要素を集約し、
標準化し、一体管理することで
グループ内で効率化を図ることができます。

ただ、このシェアードサービスを実現するのは、
理屈で考えるほど、実際には簡単ではありません。

グループ会社ごとに事業も異なりますし、
間接業務を全く同一にするのは難しい面もあります。

それでも複数会社化をしていくには、
このシェアードサービスの概念を追求する姿勢は、
不可欠だと思います。

間接コストを大きく増加させずに、
業容拡大ができることは
とても大きな競争優位になりますので。

そして、一般的には、
このシェアードサービスの役割を担う会社を
子会社として作るような議論が多くあります。

別に正解があるわけではないのですが、
ホールディングス経営を目指す場合には、
このシェアードサービス機能を、
ホールディングカンパニーに持たせるのが
ベストだと考えています。

Vol.19(4)

理由は、
「収益獲得の源泉としての
シェアードサービス機能を作るべき」
だと考えるからです。

一般的なシェアードサービスの議論は、
コスト低減とか、効率化によるコスト削減、
といったコスト面の議論ばかりです。

これはこれで間違ってはいないのですが、
シェアードサービスをコスト面だけの議論に
終わらせてはもったいないと私は思うのです。

とくにホールディングス経営の場合は、
ホールディングカンパニーが
グループの頭脳となり、リーダーシップを発揮し、
グループを引っ張っていく存在になります。

このような存在にある
ホールディングカンパニーにとって、
シェアードサービス機能は
「宝の山」と言ってもよいのです。

シェアードサービスをコスト面だけで見ていると
見えてこない視点ですが、
実は、間接部門に集まってくる情報というのは、
経営にとってとても重要な情報が多いのです。

ただの事務処理の一環として
これらの情報を処理している限りにおいては、
コストばかりが目につきます。

一方で、収益獲得に貢献する
貴重な情報だと思って日々接すれば、
本当に「宝の山」といってよいでしょう。

とくにシェアードサービスの場合には、
グループ企業の情報が集まってくるのです。

グループ経営にとって重要な情報が
自然と集まってくる場所なのです。

このような貴重なグループ情報を
分散させず集約することで、
情報自体も洗練させることができますし、
それを扱う間接業務も洗練させることができます。

それにもかかわらず、
シェアードサービス部門を
子会社として別会社を作るのは
もったいないと考えます。

親会社であるホールディングカンパニーが
率先してこのグループ情報を受け取り、
集約し、グループ戦略に活かすべきです。

そして、一方では、
グループ内の業務標準化を目指す
コスト低減への努力も同時に必要です。

そのためには、グループ情報が
集まる仕組みを作る必要があります。

 

この仕組みを実現するために、
シェアードサービス機能を
ホールディングカンパニーに持たせるのです。

そうすれば、ホールディングカンパニーに
自然と情報が集まる「仕組み」を作ることができます。

この自然と集まった情報を元に、
収益面では、グループ戦略に活用し、
コスト面では、標準化推進を図る、
といったことが可能になります。

ホールディングス経営とシェアードサービス機能を
効果的に併用・活用することで、
競争優位の源泉となり得る、
連結グループ経営の頭脳を作ることができるのです。

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ホールディングス経営を目指す経営者の皆さまには、
是非、セットでシェアードサービス機能のデザインを
してみていただきたいと思います。

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