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Vol.34 グループ経営における標準化に必要な視点

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業務の標準化の視点について
前回(Vol.33)に引き続き、
もう少し書いてみたいと思います。

そもそも「標準化」の定義とは何でしょうか?
また、その目的は何でしょうか?

「標準化」という言葉は、
改めて議論をしなくても
誰もが、なんとなく理解できる言葉です。

だからこそ、その取り組みが
あいまいになりやすいため、
きちんと「標準化」の定義を言語化し、
事前に関係者で共有しておくことが大切です。

たとえばではありますが、
標準化を、
・定義:誰でもできるようにすること
・目的:仕組みにする
といった感じと捉えてはどうでしょうか?

企業が成長し、拡大していくには、
誰でもできるように、仕組み化できる領域を
増やしていくことが不可欠です。

Vol.34(2)

限られたスーパーマンに頼った業務・経営では、
組織として拡大をしていくのは、
かなり難しいと言えますので。

それでは、もう少し具体的に
「ホールディングス経営における標準化」
といった場合に意識するべきことは何でしょうか?

ここでキーワードになるのが、
「グループ最適」
だと考えています。

標準化という視点は大事ですが、
個別最適な業務を標準化しても
効果は限定的、もしくは逆効果になります。

何でも標準化すれば良いというものではありません。

会社にとって最も良いやり方を標準化してこそ、
生産性の高い組織になります。

そして、これがグループ経営になると、
個社ごとに最適を図るという視点だけでは不十分です。

1+1=2ではあまり意味がありません。
1+1>2にしていくことが、
連結グループ経営において重要な視点です。

グループ全体として最適な形になるように
グループ業務をデザインし、運用していくことが求められます。

Vol.34(1)

1つの会社であっても、
全社最適を求めようと思うと、
部門の壁もあり、難しいものです。

それが、グループ全体で最適を求めようと思うと、
部門の壁以上に厚い法人の壁を
越えた視点と取り組みが必要になります。

当然、簡単ではありませんが、
これを実現できてこそ
連結グループとしての「連結シナジー」が生まれます。

そして、このグループ最適にチャレンジするのが
グループの親会社であり、頭脳でもある
ホールディングカンパニーになるのです。

Vol.12

部門や法人の壁を乗り越え、
グループ最適を目指して業務標準化を目指すのは
大変な作業になるため、
どうしても諦めの気持ちや、逃げの気持ちが
出てくるものです。

いろいろな人を巻き込まなければいけませんし、
関係者の調整等、
面倒な作業もいろいろと発生します。

但し、
あまりやりたくない業務、面倒な業務だからこそ、
頑張って取り組む価値があるのだと思います。

多くの人、多くの会社は
嫌なこと、面倒なこと、変化すること、から逃げてしまいます。
これは自然なことです。

逆に考えると、
多くの人、多くの会社がやりたがらないことを
逃げずに取り組めるかどうかが、
企業組織として、
他社との「差別化」の大きな要素
になるのだと思います。

Vol.34(3)

つまり、
面倒で、気が進まない業務を
ホールディングカンパニーが
率先して実施する企業グループこそ、
強いホールディングスになっていけるのだと考えています。

これは、経営者自身が面倒なことから逃げない、
ということでもあります。

冒頭に、
「きちんと『標準化』の定義を言語化し、
事前に関係者で共有しておくことが大切です。」
と書きました。

グループ経営の場合については、
経営者やホールディングカンパニーが率先して、
グループ各社のキーマンを巻き込み、
「標準化」の定義と目的を明確にし、
共有することがとても重要です。

きちんと「グループ最適」という視点を
グループ各社全体で共有できていないと、
自然と各社最適になってしまうものです。

この「グループ最適」という視点を忘れないように、
常にグループ各社を巻き込み続ける努力が
経営者のもホールディングカンパニーにも求められます。

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