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【事例】総合メディカル株式会社

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※総合メディカル株式会社より適時開示されている「持株会社体制への移行に関するお知らせ(平成30年3月22日)」「単独株式移転による純粋持株会社体制への移行について(平成30年5月24日)」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行

開示概要

●平成30年3月22日開催の取締役会において、
平成30年10月1日(予定)を期日に持株会社体制に移行するため、
その本格的な準備を開始することを決議。

●なお、持株会社体制への移行は、
平成30年6月に開催予定の株主総会における関連議案の承認
および関係官庁の許認可が得られることを条件に実施する予定。

●その後、平成30年5月24日開催の取締役会において、
平成30年6月22日開催予定の定時株主総会における承認決議など所定の手続きを経た上で、
平成30年10月1日(予定)を期日として、
同社単独による株式移転により純粋持株会社(完全親会社)である
「総合メディカルホールディングス株式会社」を設立することを決議。

持株会社体制への移行の背景

●グループが属する医療界は、急な少子高齢化や国民医療費の増加を背景に、
効率的で効果的な医療の提供がこれまで以上に求められており、
医療機能分化の強化・連携や在宅医療の充実など
地域包括ケアシステムへの取り組みが進み、医療機関を取り巻く経営環境は大きく変化している。

●グループは、「よい医療は、よい経営から」のコンセプトのもと、
医療機関のコンサルティングをベースに、
DtoD(医業継承・医療連携・医師転職支援システム)と価値ある薬局づくりを通して、
よい医療を支え、よりよい社会づくりに貢献してきた。

●また、平成29年3月には
3か年計画の中期経営計画「アクション 2020」を策定し、
「医療モールの開発」、「病院の経営支援」、「価値ある薬局の創造」、
「長期ビジョンに向けた事業領域の拡大」で
地域ヘルスケアネットワークの基盤づくりを進めるとともに、
10年後の50期ビジョンとした地域包括ケアシステムを支える
「日本型ヘルスケアビジネスの完成へ」の実現を目指している。

●平成30年6月12日に創立40周年を迎える総合メディカルが、
今後、50期ビジョンの早期達成と企業価値の向上、持続的成長を実現するためには、
既存事業の進化と深化のスピード加速、M&Aやアライアンスの積極活用により、
事業規模の拡大と新事業の創出を図る必要があるが、
これを実現するうえで、持株会社体制へ移行することが最適と判断した。

●なお、ガバナンス強化の観点からも、
経営監督機能と業務執行機能を分離する持株会社体制は適していると考えている。

持株会社体制への移行の目的

①グループ経営戦略機能と事業執行体制の強化
●持株会社は、総合メディカルグループ全体の経営に専念し、
中長期的な成長戦略の立案、経営資源の最適配分により
グループシナジーの最大化と、グループ全体の企業価値の最大化を図る。

●事業会社へ権限を大幅に委譲し、役割と責任を明確にすることで、
意思決定のさらなる迅化と各事業の価値創造力の強化を図る。

②戦略的パートナーの拡大
●日本型ヘルスケアビジネスの完成を加速させるべく、
M&A・資本業務提携を積極活用することで事業規模の拡大と新事業の創出を図る。

③次世代経営者の育成
●事業会社に次世代経営者候補を登用し、
経験を積むことで、経営者の早期育成を図る。

持株会社体制への移行方法

●同社を株式移転完全子会社、
持株会社を株式移転設立完全親会社とする単独株式移転。

●次に示す方法により、純粋持株会社体制への移行を実施する予定。

【ステップ 1】株式移転による持株会社設立
平成30年10月1日を期日として
本株式移転により持株会社を設立することで、
同社は持株会社の完全子会社となる。

 

【ステップ 2】株式会社保健同人社の再編
持株会社設立後に、健康サービス事業の強化を図るため、
できる限り早急に同社が保有する株式会社保健同人社の全株式を
持株会社へ現物配当する方法等を用いて再編予定。

【ステップ 3】持株会社設立後の体制
ステップ2の後、速やかに
50期ビジョンの実現に向けた最適な体制の検討を進める予定。

持株会社体制への移行スケジュール

①定時株主総会基準日:平成30年3月31日(土)
②株式移転計画承認取締役会:平成30年5月24日(木)
③株式移転計画承認定時株主総会:平成30年6月22日(金)
④当社株式上場廃止日:平成30年9月26日(水)(予定)
⑤持株会社設立登記日(効力発生日):平成30年10月1日(月)(予定)
⑥持株会社株式上場日:平成30年10月1日(月)(予定)

 

Review

今回は「総合メディカル株式会社」の事例です。

 

同社については、過去の業績を確認してみても、
ともて堅調に業容拡大している印象です。

そのようななかでのホールディングス化となりますが、
その目的としては、

①グループ経営戦略機能と事業執行体制の強化
②戦略的パートナーの拡大
③次世代経営者の育成

という3つを挙げています。

 

オーソドックスな移行目的となりますが、
なぜホールディングス化なのか、
私の方でももう少し確認しようと思い、
同社の有価証券報告書を確認してみました。

すると、ちょうど直近で、
「報告セグメントの変更」
を行っていることが確認できました。

 

ちなみに、現在のセグメントの考え方は、
「マネジメント・アプローチ」
が原則になっています。

この「マネジメント・アプローチ」というのは、
経営視点で管理している単位で
セグメントを開示するという考え方です。

つまり、
グループ経営のなかで、
どのような切り口・単位でグループ全体を管理しているかが、
この「セグメント」の開示には表れてきます。

 

同社の場合、
従来は「地域別」でセグメントが開示されていました。

具体的には、
「東日本」
「西日本」
「九州」
といった感じで分かれていました。

 

一方で、
最近変更されたセグメントの切り口は、
「医業支援」
「薬局」
「その他」
という感じの切り口に変更されました。

 

つまり、

———————————–
グループ経営のマネジメントの視点が、
地域別から事業別に変わった
———————————–

ということです。

 

おそらく、急に変わったというよりは、
従来から徐々にマネジメントの切り口が変わってきて、
実際の外部開示も変更するレベルになったのだと思われます。

また、今後、グループ全体を
このような事業別で、より精緻に管理していきたい、
という意志の表れだとも思われます。

 

このような背景とあわせて
今回のホールディングス化を考えると、
少ししっくりした気がします。

なぜなら、

————————————–
ホールディングス化
=グループマネジメント体制変更の強い意志の表れ
————————————–

だと思うからです。
ということで、
今回はセグメント(グループ経営マネジメントの視点)と
ホールディングス化の関係性ということで、
書いてみました。

 

★★★★★★★
ホールディングス化とともに、
グループ経営のマネジメントを変える
★★★★★★★

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