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【事例】クオール株式会社

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※平成29年9月21日にクオール株式会社より適時開示されている「持株会社体制への移行に関するお知らせ 」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行

開示概要

●平成29年9月21日開催の取締役会において、
平成30年4月1日(予定)を目処に持株会社体制へ移行する方針を決定し、
その本格的な準備を開始することを決議した。

●なお、持株会社体制への移行については、
平成29年12月上旬に開催予定の当社臨時株主総会
関連する議案が承認されることを条件として実施する予定。

持株会社体制への移行の背景

●グループは、東京都中央区日本橋兜町に
調剤薬局1号店を出店してからまもなく四半世紀を迎える。

●「わたしたちは、すべての人の、
クオリティ オブ ライフに向きあいます。
いつでも、どこでも、あなたに。」
を企業理念に掲げ、主力事業の調剤事業に加え、
社会保険制度に依存しないBPO受託事業との両輪で、
事業ポートフォリオの最適化を図りながら、
平成29年9月現在、717店舗を展開する調剤薬局チェーンに成長してきた。

●調剤事業においては、医療機関とのマンツーマン薬局を中心に、
近年ではローソン等の異業種と連携した薬局の出店で認知度を高め、
患者さま、利用者の方の利便性向上に貢献している。

●また、薬剤師の高度専門教育を通じ、
これからも地域に必要とされるかかりつけ薬剤師・ 薬局として、
質の高い医療と健康サポート機能を備えた薬局を拡充していく。

●BPO受託事業においては、
製薬企業の営業支援、薬剤師等の医療従事者の紹介・派遣、
治験支援及び広告宣伝等を展開している。

●また、教育の充実による高付加価値なMRの派遣や調剤事業とのシナジーにより、
製薬企業との契約社数を拡大すると共に、高収益を実現している。

グループを取巻く経営環境は、
診療報酬や薬価の改定、大手調剤薬局チェーンの出店・ M&Aの加速や、
医薬品卸やドラッグストアの調剤事業強化及び異業種からの参入による
競争の激化等、厳しさが増している。

●このような経営環境の中、グループは、
M&Aを中心とする調剤薬局の出店を加速させると共に、
新事業の創出、海外事業の展開も視野に入れたさらなる成長を目指している。

●今後、中長期的な企業価値向上を図り、
持続的な成長を実現するために、
持株会社体制に移行する方針を決定した。

持株会社体制への移行の目的

●グループが持株会社体制へ移行する具体的な目的は、以下の4点になる。

①グループ経営戦略推進機能の強化
持株会社はグループ全体のマネジメントに特化し、
M&A新規事業などの拡大に向けたグループ経営戦略を立案し、
グループ全体の企業価値を最大化する経営資源の最適な配分及び効率的活用を図る。

②権限と責任の明確化による意思決定の迅速化
グループ経営管理と業務執行を分離すると共に、
業務執行部門である各事業会社においても権限と責任を明確化し、
意思決定の迅速化、事業責任の明確化による競争力の強化を図る。

③コーポレートガバナンスの強化
各事業会社に対する管理・監督機能を有する持株会社が、
グループ経営戦略に沿った各事業会社への経営指導を行うことにより、
グループ全体のガバナンスをより一層強化し、
これにより経営の透明性を高め、さらなる成長を図る。

また、持株会社としての経営管理を的確に行うため、
取締役会の監督機能を強化し、
グループ全体としての包括的なコンプライアンス体制、
リスク管理体制、内部監査体制をさらに充実させることにより、
グループの企業価値の向上を目指す。

④グループシナジーの最大化
医薬品の調達、人財の採用・育成及び登用、店舗開発等において、
持株会社を中核に、グループが保有する経営資源を
横断的・効率的に活用することによりシナジーの最大化を図る。

移行方法

持株会社体制への具体的な移行方法等については、
決定次第改めて報告する。

今後の予定

①臨時株主総会基準日:平成29年10月20日(予定)
②取締役会における関連議案の承認:平成29年10月31日(予定)
③臨時株主総会における関連議案の承認:平成29年12月上旬(予定)
④持株会社体制への移行:平成30年4月1日(予定)

 

Review

今回は「クオール」の事例です。

成長のためのホールディングス化が
当たり前のようになってきた業界である
調剤薬局やドラッグストア業界の事例です。

 

競合他社との競争に負けないためには、
規模拡大していき、スケールメリットを出していくことが、
基本戦略となる業界と言えるでしょう。

それと同時に、
異業種への参入も同時に検討している傾向にあるのも
この業界の特徴と言ってもよいのではないでしょうか。

 

規模拡大、異業種参入を前提にすると、
どうしても避けて通れないのがM&Aであり、
グループ経営管理というテーマですので、
おのずとホールディングス形態に向かっていくということでしょう。

 

今回の同社のホールディングス化の目的としては、
以下の4つが挙げられています。

—————————————–
①グループ経営戦略推進機能の強化
②権限と責任の明確化による意思決定の迅速化
③コーポレートガバナンスの強化
④グループシナジーの最大化
—————————————–

ホールディングス化の目的の王道といった感じです。

 

今回は、この4つの目的のなかでも
「グループシナジーの最大化」
という点について、少し触れてみたいと思います。

 

同社は「グループシナジーの最大化」の目的のなかで、
以下のようなことを表現されています。

——————————————–
医薬品の調達、人財の採用・育成及び登用、店舗開発等において、
持株会社を中核に、グループが保有する経営資源を
横断的・効率的に活用することによりシナジーの最大化を図る。
——————————————–

 

このなかでのポイントは、
「グループ経営資源を横断的・効率的に活用する」
ということだと思いますが、
これが理想としてはそうあるべきなのですが、
実際には結構難しいところなのではないでしょうか。

 

但し、
ホールディングス化することで、これを目指すのであれば、
やはりホールディングカンパニーの重要な業務として、

—————————–
グループ全体の見える化
—————————–

に本気で取り組む必要が出てくると思います。

 

グループ各社任せにせず、
ホールディングカンパニーが責任をもって
グループ全体の見える化にチャレンジをして、
・今、どのような経営資源がグループにあるのか
・各グループ会社で経営資源をどのように活用しているのか
・もっと経営資源を上手く活用できる方法があるのではないか
といったようなところをグループ全体最適視点の視点を持ちながら、
明らかにしていく必要があります。

 

この「グループ全体最適視点」で、
各グループ会社をフラットな目で観ていけるのが、
ホールディングス型の良い点だと思います。

 

そのためには、
ホールディングカンパニーの業務として、
「グループ全体の見える化」
は切り離せないテーマだと思います。

簡単ではない業務だと思いますが、
グループ全体を少しでも見える化できただけでも、
経営者としては、かなり見えてくるものがあるはずです。

 

★★★★★★★
グループ全体の見える化に
チャレンジしていますか?
★★★★★★★

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