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Vol.76 ホールディングカンパニーの絶妙な立ち位置

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ホールディングス経営のカタチにも
様々あると思いますが、
私が1つイメージしている形が、
「(オーナー)社長⇔ホールディングカンパニー⇔各事業」
といった形です。

この形のうち、
「社長」と「各事業」の部分を、
機能・役割を表す表現に置き換えると、
「経営マネジメント⇔ホールディングカンパニー⇔現場実務」
と言い換えることができます。

つまり、
ホールディングカンパニーは、
経営マネジメントと現場実務の
中間に位置しています。

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私は、
ここにホールディングカンパニーの
大きな存在意義があると考えています。

今回は、
この絶妙な中間点に位置する
ホールディングカンパニーの役割について、
お伝えしたいと思います。

まず、
マネジメントと現場の食い違いについては、
改めてここで議論する必要は無いと思います。

どちらの役割も同じくらい大切なのですが、
わかりあえない場面が
どうしても出てきてしまうものです。

このギャップは、
最初は小さなものであっても、
放っておくと大変な問題になっていきます。

とくに、
人数的には現場実務者の方が多いので、
マネジメントの思いは理解してもらえない、
場面が多いものです。

Vol.76(2)

さらにいうと、
経営陣は、
現場を経験した後に
マネジメントの役割を担うことが多いのに対して、
現場実務者は経営マネジメントを
経験したことがありません。

この違いは大きいです。

経営陣は、
マネジメントも現場も経験をしています。
一方で、
現場実務者は、
現場しか経験していません。

両方の立場を経験したもの同士が
コミュニケーションをとるのであれば、
まだ分かり合えることも多いと思いますが、
現場実務者は、
片方の「現場」しか
経験していないことがほとんどです。

こうなると、
お互いの視点にギャップが出てしまっても
仕方がありません。
経験したことがないことを
イメージしたり理解するのは難しいものですので。

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このような
マネジメントと現場の意識ギャップは、
どのように解消していけばよいのでしょうか?

私は、
ここで重要な役割を担うのが、
マネジメントと現場の中間に位置する
ホールディングカンパニーである、
と考えています。

ホールディングカンパニーを
マネジメント役割に特化して捉える議論が
一般的には多いかもしれません。

マネジメントの定義も広範囲に及ぶので、
一般論の解釈も難しいのですが、
私としては、
ホールディングカンパニーの立ち位置を
以下のように考えています。

それは、
「ホールディングカンパニー=経営者の代弁者」
「ホールディングカンパニー=現場実務者の代弁者」
という2つの立ち位置での「代弁者」です。

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経営者も現場実務者も、
目指すべきベクトルは同じはずです。

そうであるにもかかわらず、
両者の間にギャップが生じてしまうのは、
両者の視点が異なるからです。

これは、
立場上必然的に生じてしまう現実として
受け入れる方が楽になると思います。

経営者としては、
そのギャップを受け入れたうえで、
そのギャップを少しでも小さくするには、
どのようにしたらよいかを
考える方が現実的です。

Vol.76(4)

そうしたときに、
頼りになるのが、
ホールディングカンパニーの存在、
になるのではないかと思います。

当然ですが、
経営者の直接のメッセージは、
最も効果のある発信です。

とはいえ、
経営者の直接のメッセージを
直に受け入れられない社員も、
なかには存在します。

一方で、
経営者が現場のことを
直接知ろうと努力をしても、
なかなか真実を教えてくれないこともあります。

このようなときに、
両者の代弁者である
ホールディングカンパニーの存在が、
重要になるはずです。

Vol.76(3)

直接では伝わり合わない局面で、
経営者と現場の通訳者として、
ホールディングカンパニーが両者の意見を
代弁してあげることで、
コミュニケーションが成立することもあると思います。

このように
ベクトルは同じであるが視点の異なる
経営者と現場実務者の間で、
絶妙な立ち位置を保ち、
両者の通訳者、代弁者として、
機能できるホールディングカンパニーは、
きっと貴重な存在になってくれるはずです。

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