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【事例】オプテックス株式会社

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※平成28年8月3日にオプテックス株式会社より適時開示されている「オプテックス株式会社によるオプテックス・エフエー株式会社の株式交換を用いた完全子会社化及びオプテックス株式会社の会社分割を用いた持株会社体制への移行並びに定款の一部変更による商号変更に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

株式交換による上場子会社の完全子会社化
会社分割による持株会社体制への移行

開示概要

●オプテックス株式会社及びオプテックス・エフエー株式会社は、
平成28年8月3日開催のそれぞれの取締役会において、
・オプテックス(上場親会社):株式交換完全親会社
・オプテックス・エフエー(上場子会社):株式交換完全子会社
とする株式交換を行うことを決議。

●株式交換は平成28年9月30日開催予定の
オプテックス・エフエーの臨時株主総会の決議・承認を受けて行われる予定。

●オプテックスについては簡易株式交換の手続により、
株主総会の決議による承認を受けずに行われる予定。

●また、オプテックスは、取締役会で、
平成29年1月1日をもって持株会社体制へ移行すべく、
オプテックスが営むグループ経営管理事業を除く一切の事業を
会社分割により、オプテックス新事業準備株式会社に承継することを決議。

●オプテックスは、
・オプテックスの商号をオプテックスグループ株式会社に変更すること
・事業目的を持株会社体制に合致したものに変更すること
を含む定款変更案を平成28年9月30日開催予定の
オプテックスの臨時株主総会に付議することを決議。

持株会社体制移行の背景と目的

●オプテックス企業グループは、
各種センサの開発・製造・販売を行っている、

●オプテックスは、昭和54年の創業当初、
世界で初めて赤外線技術を応用した自動ドア用センサを開発し、
さらに防犯用センサなど人体検知センサを中心にグローバルに事業を伸ばしてきた。

●その後、昭和61年に、
小型汎用光電スイッチを開発し「産業機器分野」に進出したが、
平成14年1月、事業マネジメントを明確化し、
成長への投資を機動的かつ迅速に行えるよう、
産業機器事業を分社化し、オプテックス・エフエーを設立した。

●この結果、オプテックス・エフエーは
安定的な利益を確保しつつ事業を成長させ、平成17年に上場。
新たな製品開発にも積極的に挑戦し、
自動化用カメラ画像センサなどを開発しラインナップを増やすとともに、
平成18年には工業用LED照明事業に参入。

両社(オプテックス/オプテックス・エフエーは、
それぞれ固有の技術開発を行い、
各々がターゲットとする顧客に対して
より良い製品をご提供することでソリューションを実現してきた。

●しかし、個別に株式を上場して
資金調達を含めた事業推進を個々に集中して行うと判断した過去に比べて、
今後の両社を取り巻く事業環境は大きく変化しており、
社会インフラの整備と通信・情報処理技術の進展により、
両社ともにビジネスモデルを大きく変革させなければならない時期にきている。

●インターネットを含めた通信技術の開発や、
情報処理サービスを軸とした事業インフラの創出に、
両社が協力して取り組むことで、
迅速かつ効率的に取り組むことができ、
競争力強化につながるものと考えている。

●オプテックス企業グループでは、
事業の多角化と拡大加速のために、M&A戦略を積極的に実行し、
これまでに国内で4社、海外で7社の企業を
M&Aにより連結子会社化してきた。

●引き続き、成長のための積極的な投資戦略を、
伸びる可能性のある事業分野に集中的に行っていく必要がある。

●とくに「産業機器分野」は市場規模も大きく、
今後さらなる成長が見込まれる分野であり、
オプテックスの中で行われている計測関連事業とも密接な関係があるため、
グループの中核分野として両社が協力して
取り組みを強化するべきであると考えている。

●一方で、さらなる成長加速のためのM&Aや資本提携
従来に比べ資金規模が大きくなることが想定されるため、
オプテックスとしては、それぞれの経営資源にて個別対応するより、
両社が連携してグループシナジーを追求することが効率的で、
双方の企業価値向上にとって望ましいと考えている。

●これらの目的を両社で共有し、
両社の株主を含めたステークホルダーの利益を確保するための
具体的手段を検討するため、両社は、
平成28年4月中旬よりプロジェクトチームを発足し検討を進めてきた。

●この結果、オプテックスは、
グループ全体の効率性を追求し経営資源の最適化を実現していくとともに、
グループ全体のコーポレート・ガバナンスを強化することで、
企業価値のさらなる向上を図る必要があると判断した。

●そのために、株式交換及び持株会社体制への移行を実施し、
オプテックス・エフエーも含めた持株会社体制のもとで、
・経営資源の集中投下
・機動的なグループ経営
・連携シナジーの極大化
を目指すことにした。

オプテックス・エフエーが株式交換による完全子会社化を選択した背景

●オプテックス企業グループとして
今後さらに「産業機器事業」に注力し、
グループの中核事業に育てていくに当たり、
オプテックス・エフエー株主に引き続き
オプテックス企業グループ株主として支援してもらい、
企業価値向上の加速を図り、
株主利益のさらなる向上を目指したいと考えた。

●一方、オプテックス・エフエーとしても、
プロジェクトチームにおいて株式交換による完全子会社化が
自社の今後の成長戦略にどのように寄与するかについて検討した。

オプテックス・エフエーは平成14年1月の設立以来、
産業用光電センサの開発、製造、販売をコアの事業モデルとして、
画像領域に事業を拡げると共に、工業用LED照明事業に参入するなどして
オプテックス企業グループの中においては
センシング事業に次ぐ事業として、
FA事業及びMV事業を担う中核企業として
グループの成長に寄与してきた。

●しかしながら、近年、国内外の主力市場においては、
大手競合他社との競争は激しさを増しており、
また、顧客ニーズも多様化する中で、
今後、より一層の事業拡大のためには、
開発技術力の強化、高機能かつ高付加価値な新製品の早期市場投入、
製品ラインナップの充実、海外での販路拡充、充実した技術サポート、
開発職、海外営業職といった人材の確保が大きな鍵となっており、
それらの課題克服のためには、
オプテックスが保有する海外販路、技術力といった
経営資源を活用することで一層の経営基盤の強化・充実を図ることが
必要不可欠であるとの考えに至った。

●今後の成長戦略をより迅速にかつ確実に推進するためには、
オプテックスの完全子会社となり、
自社のリソースだけでなく、
オプテックス企業グループが保有する経営資源を有効活用し、
両社の保有する経営資源を融合することにより、
事業シナジー効果を早期に最大化することが必要であると判断した。

●オオプ テックス・エフエーが、
プテックスの完全子会社となることについて、
あらためて自社で検討した結果、
主に以下のメリットが得られるものと考えている。

①経営資源の再配分に基づく既存、新規事業への投資を
 機動的かつ迅速に行うことができること。
・基礎技術(遠赤外線 応用技術)の更なる向上
・カメラ・LED照明との融合による新商品の開発推進
・生産機能の集約化による調達コストの引下げ
・グループが保有する豊富な海外ネットワークの積極的活用

②大型案件のM&Aの実行、国内外の同業企業とのアライアンス、
 資本・業務提携なども円滑に推進でき、
 機動的かつ大胆な事業戦略の推進が可能となること。

持株会社体制への移行方法

①両社間の株式交換
オプテックスを株式交換完全親会社とし、
オプテックス・エフエーを株式交換完全子会社とする本株式交換により、
オプテックス・エフエーの発行済株式をオプテックスが取得。

②オプテックスによる会社分割
株式交換の効力発生を条件として、
オプテックスを吸収分割会社、
準備会社を吸収分割承継会社とする会社分割により、
オプテックスの事業に関する権利義務を準備会社に承継。

③オプテックス及び準備会社の商号変更(定款変更)
会社分割及び株式交換の効力発生を条件として、
オプテックスはその商号を「オプテックスグループ株式会社」に変更し、
準備会社はその商号を「オプ テックス株式会社」に変更する。

持株会社化の日程(予定)

①吸収分割契約及び株式交換契約締結承認取締役会(オプテックス):平成28年8月3日
②株式交換契約締結承認取締役会(オプテックス・エフエー):平成28年8月3日
③株式交換契約締結(オプテックス/オプ テックス・エフエー):平成28年8月3日
④吸収分割契約締結(オプテックス/準備会社):平成28年8月3日
⑤株主総会基準日公告日(オプテックス/オプテックス・エフエー):平成28年8月4日
⑥株主総会基準日(オプテックス/オプテックス・エフエー):平成28年8月19 日
⑦株式交換契約承認臨時株主総会(オプテックス・エフエー):平成28年9月30日
⑧吸収分割契約承認及び定款変更承認臨時株主総会(オプテックス):平成28年9月30日
⑨株式交換の効力発生日(オプテックス/オプテックス・エフエー):平成29年1月1日
⑩会社分割の効力発生日(オプテックス/準備会社):平成29年1月1日
⑪商号変更日(オプテックス/準備会社):平成29年1月1日

Review

今回は「オプテックス」の事例です

開示内容が多く、
コンパクトにまとめられていませんが、
ご容赦くださいませ・・・。

 

さて、今回の内容を簡単に整理すると、
以下のような内容です。

———————————–
・オプテックスは上場会社である。
・過去にオプテックスの事業の一部を分社化して
 オプテックス・エフエーという子会社を設立。
・子会社であるオプテックス・エフエーもその後上場。
・これにより親子上場をしている状態にある。
・グループ企業とはいえ、両社ともに上場しているため独立した経営状態にある。
・但し、事業環境変化の中で、両社の経営の方向性をそれぞれで熟慮・検討した。
・その結果、両社が独立して歩むより、グループ一体化の方向性が最適であると判断。
・株式交換により、オプテックス・エフエーを再度100%子会社に戻す。
・そのうえで、ホールディングス体制にしてグループ経営に臨む。
———————————–

成長ために子どもを独立させ、
親子それぞれが成長していった結果、
もう一度、子どもが親のもとへ帰ってきて、
親子が一丸となって取り組んでいく、
といったイメージでしょうか。

 

厳しい事業環境のなかでは、
経営資源を分散させるよりは、
グループ経営資源を集約させ、
総合力を発揮して取り組んでいく方が得策、
と判断したようです。

 

今の時代は、
同社のように100%子会社化して、
グループ一体となって経営をしていくという
1つの流れがあると言えます。

たとえば、
先週号(2016年8月1日号)の日経ビジネスで
「グループ経営」についての特集がありましたが、
そのなかで取り上げられていた「日立グループ」の記事でも、
少し似たような状況を感じました。

 

日立グループは、
以前は「総花経営」状態でしたが、
リーマンショック後の危機を契機に、
グループ全体としてのコア事業を絞り、
ノンコア事業は切り離し、コア事業は全力で取り組む、
という方針を推し進めました。

その結果、
16社あった上場子会社のうち5社を
完全子会社(=上場廃止にしました。

 

この流れを推し進めていく中では、
上場子会社16社すべてを完全子会社化する案もあったようです。

一方で、その取り組みのなかでは、
「苦労して上場した子会社を一挙に整理するのは忍びなかった」
「完全子会社にすれば、独立心が損なわれるのではないかという心配もあった」
と川村名誉相談役は語られています。

 

おそらく企業成長のステージによって、
グループ経営のありかたは変わってくるものだと思います。

当初判断したグループ組織デザインが
いつまでも最適とは限りません。
というよりは、
常に最適なグループ組織デザインは変わる
と考える方が自然でしょう。

 

今回のオプテックス社や
具体例として挙げさせていただいた日立グループのように、
過去に推し進めた子会社の独立路線を、
今の状況に応じて、見つめ直す場合も当然あってよい、
ということです。

きっと、子会社の独立路線があってこそ、
あらたに見えてきたステージなのだと思いますので。

★★★★★★★
今のグループ組織デザインは、
今の経営環境に最適なものになっていますか?
★★★★★★★

 

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