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Vol.101 グループ企業を「減らす」視点も忘れずに

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グループ経営を実践されている会社から
よく相談される質問として、
「新しく会社を作りたい」
「新しく会社を買いたい」
といった類のものがあります。

経営者であれば、
いつでも事業拡大について
前向きに考えているものです。

会社を成長させ、大きくするために、
新規事業を始めたり、
新しい会社を作ったり、買ったりと、
いろいろと試行錯誤します。

つまり、
「増やす」
方向の視点です。

一方で、
「減らす」
という視点については、
意識をされることが少ないように思います。

具体的には、
・グループ会社を減らす
・事業を止める
といった「減らす」の視点です。

Vol.101(1)

増やす方向性には積極的ですが、
減らす方向性については消極的。
これが経営者のマインドだと思います。

気持ちはとてもよく理解できます。

ちなみに、
コスト削減の視点では、
経営者の皆さまは、
とても敏感になられていることは、
事実としてあります。

それが、
グループ会社のことや、
事業全体のこと、
といった事業単位の話になると、
話は別のようです。

関連しそうなこととして、
Vol.64 赤字の子会社を直視して判断する勇気
では、赤字子会社の考え方について、
お伝えしています。

いわゆる、
「撤退する勇気=減らす」
についてです。

Vol.101(2)

ただ、
上記の記事のような
赤字の子会社や事業ばかりが、
「減らす」議論の対象になるわけではありません。

黒字子会社や、
黒字の事業であったとしても、
それが「最善の選択」ではないとしたら、
「減らす」
ことを考える必要性があるかもしれません。

グループ経営者としては、
限られた経営資源グループ内で最適配分し、
グループ全体の利益を最大化させること、
が求められます。

今あるA事業やB子会社は
黒字であるかもしれませんが、
経営資源をC事業やD子会社へ振り向ければ、
数倍の利益になる可能性もあります。

つまり、
現状でも悪くないかもしれませんが、
現状がベストではない可能性もあり得る、
ということです。

Vol.89(2)

そのため、経営者としては、
どうしても「増やす」方向への気持ちが強いと思いますが、
それと同時に「減らす」方向の選択肢も
並行して考えていただきたい思います。

「増やすために、あえて減らす」
ことが必要な場合があるかもしれません。

そして、
そのために必要な視点は、
①グループ全体の現実を正確に把握する
②グループ全体の現状を疑う
の2点です。

すべての始まりは、
「正確な現状把握」
です。

正確な現状把握無くして、
正しい経営判断はできません。

グループ全体の現状把握するためには、
「連結決算の仕組み」
が不可欠です。

連結決算を実施せずして、
グループ全体を正確に把握している会社を
これまで見たことはありません。

Vol.53(1)

また、そのうえで
現状を疑い、ベストな経営判断を
継続的に実施していくためにも、
連結決算の仕組みが、
活躍してくれるはずです。

とはいっても、
ただたんに連結決算書を作成するだけでは、
連結決算の「仕組み」とは言い難いです。

本当の連結決算の仕組みでは、
連結決算書の作成もしますが、
グループ全体を「見える化」し、
最適なグループ経営判断を促す機能も
担ってくれます。

グループ経営に活用できてこその
連結決算の仕組みです。

グループ経営者であれば、
きちんと「連結決算の仕組み」を構築し、
連結決算を使いこなしていただきたいと思います。

そうすれば、
「増やす」視点と同時に
「減らす」視点も見えてくるはずです。

ちなみに、
「減らす」視点において
活用される組織再編手法としては、
・会社清算
・グループ会社合併
・会社分割(分社化)
・事業譲渡
等があります。

nagatanien(3)

このようなグループ再編手法を
上手く組み合わせることで、
グループ組織デザインを変えることは可能です。

グループ経営者としては、
「現状のグループデザインがベストかどうか」
について、
常に意識をしていただきたいと思います。

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