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Vol.45 ホールディングスは資本政策に有利?

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「どのように株を持てば一番良いですか?」

初めて別会社を作ろうとされる経営者や
すでにグループ会社経営をされている経営者から
よく受ける質問です。

いわゆる「資本政策」と言われる分野です。

会社を作るということは、
誰かが株主になって出資をすることが、
大前提になります。

別会社を作る際には、
必ず生じる問題が「株」の問題です。

小さな会社のうちは、
オーナー経営者が全額出資をして、
自分の意のままに会社経営をしているので、
あまり意識されることは少ないものです。

但し、
誰が出資して何%の株式を保有するか、
というのは、
株式会社にとってはとても重要な問題です。

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最初に創業した際には、
深く考えることが少ない株の問題も、
企業が成長し、複数の会社を作っていこうとする段階では、
会社経営に大きな影響を与える要素であるため、
十分な検討を行っていただきたいと思います。

というのも、
株式会社にとって最終的な決定権を持つ、
絶大な権力を持つのは、
経営者ではなく、出資者である株主であるからです。

一般的には、創業当初は、
「経営者=株主」
であることがほとんどのため、
結果的に株主という立場を意識せず、
経営者は自由に会社経営を実施しています。

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それが、企業が成長し、
会社を複数にしたり、グループ経営をしたり、
といったステージになってくると、
すべての資金を経営者が出資するケースばかりとは限りません。

外部の出資者の力を借りることもあります。

最終的に株式上場をする場合などは、
一般の外部株主も登場します。

このように
今はあまり深く考えていなくても、
企業成長とともに考えざるを得ない要素になるのが、
株の問題であり、
外部の出資者(株主)の存在です。

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それでは、
「今はあまり関係ないので、
将来、外部株主が必要になったときに考えよう」
という思考でもよいのでしょうか?

将来のことはどうなるかわからない側面も多いので、
「今、資本関係について考えても仕方ない」
という考え方は理解はできます。

なかなか予定通りの将来にしていくのは難しいものですし。

但し、
企業成長を目指して、
会社の規模も拡大していく意志があるのであれば、
当初から資本関係についてのデザインをしておくのも
早すぎることではありません。

というもの、
この「資本政策」の問題は、
会社規模が小さい時の方が、
圧倒的に自由度の高い設計ができるからです。

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後になればなるほど、
資本関係を変えるのが難しくなります。

不可能ではないのですが、
会社が大きくなればなるほど
資本関係を変えるには、
・お金がかかる
・税金を多く支払わなければい
・関係者の利害を調整しないといけない
といったハードルができてしまうのです。

そのため、
もし将来の意志を明確に持っている経営者であれば、
早めに資本関係のデザイン(=資本政策)を
しておくのも悪くはないのです。

「将来、このようなグループ経営を目指しているから、
この資本関係にしておきたい」
「将来、子供に事業を承継する予定だから、
このようなグループのデザインにしておきたい」
「将来、株式上場を目指しているので、・・・」

いろいろな将来図をお持ちだと思います。

経営者の方であれば、
明確なビジョンをもって経営をされていると思いますが、
そのビジョンのなかに「資本関係」という要素も入れておくことで、
将来図がより具体化します。

Vol.5

資本関係がネックになり、
やりたかったことをできない、
といったこともあり得ますので。

とは言っても、
将来のことを正確に描いて、
当初から資本関係をデザインすることは、
現実的には容易ではありません。

そこで、
実務上考えられる現時点での最善の策としては、
「将来どのような形になっても
融通が利きやすい資本関係にしておく」
ということです。

経営マネジメントの問題。
グループ会社の再編の問題。
グループ資金の配分の問題。
グループ税金戦略の問題。
事業承継の問題。

いろいろな論点はありますが、
これらの諸問題に対応するために
最も有効なグループ資本政策をとれるスタイルとは?

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私の考える最善のスタイルは
「ホールディングス」
です。

きちんとホールディングス経営に取り組み、
資本をホールディングカンパニーに集中させることができれば、
経営マネジメントに限らず、
資金、税金等のあらゆる側面で力を発揮し、
グループ最適な戦略をとっていけるはずです。

グループ経営を目指すのであれば、
資本政策という面においても、
「ホールディングスこそ最強」
と言えると思います。

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