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【事例】株式会社SCREEN ホールディングス

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※平成28年3月25日に株式会社SCREEN ホールディングスより適時開示されている「会社分割に伴う準備会社の設立および分割契約の締結(簡易吸収分割)に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

会社分割に伴う準備会社の設立
分割契約の締結(簡易吸収分割)

開示概要

●平成28年3月25日開催の取締役会において、
平成28年10月1日(予定)を効力発生日として、
100%出資の分割準備会社2社を設立すること決議。

●同時に、同社の
・ソフトウエア開発関連事業
・知的財産関連業務
について吸収分割により承継するために、
承継会社との間で吸収分割契約を締結することを決議。

会社分割の背景及び目的

●同社は、平成26年10月より
①半導体機器事業
②印刷・プリント基板関連機器事業
③FPD機器事業
④製造支援・製造請負業務
⑤シェアードサービス業務
の3事業(①②③)及び2業務(④⑤)を分社し、
持株会社体制に移行している。

●持続的成長と中長期的な企業価値向上に向け、
組織体制の一層の効率化および責任と権限の明確化を図るため
持株会社体制における経営と執行の分離を
さらに推し進める必要があると考えている。

ソフトウエア開発関連事業の拡大に向けて
IoT、ビッグデータ、分析、AI、画像処理などを利用した
新たなソリューションビジネスの展開を加速するため、
またグローバルレベルで変化する事業環境に直面する
知的財産関連業務に関してより迅速かつ幅広く、
高度な専門性を持った効率的な体制を構築するため、
それぞれ会社分割を行うことといたしました。

会社分割スケジュール

①子会社の設立(設立登記):平成28 年3月25日(金)
②取締役会決議(分割契約の承認):平成28年3月25日(金)
③吸収分割契約の締結:平成28年3月25日(金)
④分割予定日(効力発生日):平成28年10月1日(土)

Review

今回は、
ホールディングス化の事例というよりは、
すでにホールディングス化した会社が、
さらにホールディングスのデザインを追求している、
という事例になります。

 

同社は、
約1年半前に
すでにホールディングス化しています。

当時(平成26年)の開示資料を確認すると、
以下のような概要が記載されていました。

————————————–
●グループを支える3つの事業の市場領域は
新しい技術の潮流が絶えること無く、
成長の機会が数多く存在していると考えている。

●しかし、確実に成長していくためには、
スピード感を持った経営と筋肉質な企業体質を
維持し続けなければいけない。

●このような環境の下、
各事業に対し明確な責任と権限を与え、
持株会社の強力な統制のもと、
機動的かつ大胆な経営判断を可能とすべく、
純粋持株会社体制へ移行する方針を決定した。

●以下の事業・業務が
持株会社化した際の事業子会社となる。
①半導体機器事業
②印刷・プリント基板関連機器事業
③FPD機器事業
④製造支援・製造請負業務
⑤シェアードサービス業務

●持株会社として
・企業グループ価値の源泉であるコア技術を維持・発展
・グループ全体の統一的かつ柔軟な戦略策定
・経営資源の最適配分
・子会社における業務執行状況のチェック
などの機能を担い、
戦略的かつ明確な経営組織を整備することにより、
グループとしての企業価値の最大化を目指していく。
————————————–

 

上記のホールディングス化から1年半が経過し、
今回は新たに、
・ソフトウエア開発関連事業
・知的財産関連業務
の2つをホールディングカンパニーから
子会社へ移すということです。

 

今回の会社分割の目的として、

————————————–
持株会社体制における経営と執行の分離を
さらに推し進める必要があると考えている
————————————–

との内容がありました。

この開示内容から推察するに、
ホールディングス化した後のグループ組織も落ち着き、
かつグループ内の経営と執行の分離が
上手く回っている背景があるのではないか、
と思われます。

 

ちなみに、
今回の開示の中では、
分割をする
・ソフトウエア開発関連事業
・知的財産関連業務
に関する営業収益が掲載されており、
そこには「グループ会社間取引額です」との
注書きがありました。

つまり、
この2つの事業・業務は、
グループ外部へのサービス提供を目的としているというより、
ホールディングカンパニーとして、
各事業子会社へサービス提供をすることが
目的だった事業・業務なのだと考えられます。

 

それを、
あえてホールディングカンパニーから切り離し、
子会社化したということは、
グループ会社への支援で蓄積したノウハウを
今後はグループ外部へ直接提供していく意志の
表れかもしれません。

 

実際のところはわかりませんが、
いずれにしても、
純粋持株会社化が進んでいる状況と思われますので、
ホールディングス化が上手く回っている状況に
あるのではないかと思っています。

というのも、
ホールディングス化が上手く機能してくると、
ホールディングカンパニーは、
本来やるべき業務に、
より集中しようと進化していくものだからです。

 

今回はホールディングス化して
少し時間が経過した後の事例として
興味深かったので取り上げみました。

これからホールディングス化を目指す経営者や
ホールディングス化したばかりの会社にも
参考になる要素があるのではないかと思います。

★★★★★★★
ホールディングカンパニーの業務に
集中できていますか?
★★★★★★★

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