これまで、
シェアードサービス化を
実現するにあたって必要となる
「現状の業務を見える化」
についてお伝えしてきました。
業務の見える化ができれば、
以下のような業務の特性に分類をして、
実際にシェアードサービス化する業務を特定します。
<業務特性>
B(専門的&日常的) | D(専門的&経営的) |
A(一般的&日常的) | C(一般的&経営的) |
<業務の4分類>
・A:一般的知識を使った日常的な業務
・B:専門的知識を使った日常的な業務
・C:一般的知識を使った経営的な業務
・D:専門的知識を使った経営的な業務
※詳細は「Vol.124 独自性のあるシェアードサービスの出発点とは?」参照
そして、
シェアードサービス化すべき業務が
徐々に見えてきたら、
実際にシェアードサービス機能を
実現していくフェーズに移っていきます。
ただ、このフェーズにおいて、
1つ迷うポイントがあります。
何かというと、
「グループ経営の中で、シェアードサービスを
どのようにデザインし組み込むべきか?」
という点です。
そこで今回は、
「シェアードサービスのグループ組織デザイン」
についてお伝えしたいと思います。
シェアードサービスを
グループ組織のどこに配置すべきか、について、
一般的にはどのような選択肢があるのでしょうか?
今回は「ホールディングス経営」という
前提で考えてみますと、
オーソドックスには、
①ホールディングカンパニーにシェアードサービス機能を置く
②シェアードサービス機能を持つ子会社を作る
のどちらかになるのではないかと思います。
両者の大きな違いは、
ホールディングカンパニーの機能を
軽くするのか、それとも重くするのか、
にあると言っても良いかもしれません。
もし、経営者として
もともとイメージがあるのであれば、
そのイメージ通りに、
グループ組織デザインをして問題ないと思います。
正解があるわけではありませんので。
一方で、とくにイメージを
持たれていない場合には、
上記の①②のどちらで
グループ組織をデザインすべきなのでしょうか?
一般的にどちらが多いかというと、
正確な統計があるわけではありませんが、
圧倒的に②のパターンが多い状況です。
つまり、
シェアードサービス専門の子会社を設立して、
その子会社が、グループ各社の対象業務を
一手に請け負う形です。
たとえば、
「ドン・キホーテ」でお馴染みの
「株式会社ドンキホーテホールディングス」
について事例として見てみますと、
以下のようなグループ組織デザインとなっています。
※同社の有価証券報告書より抜粋
これは上記②のパターンになります。
青枠で囲っている部分が
ホールディングカンパニーで、
赤枠で囲っている部分が
シェアードサービス子会社になります。
いろいろな機能をもつ子会社があり、
シェアードサービス子会社も、
その子会社の1つという位置づけになります。
どこまでの業務を
シェアードサービス子会社が引き受けるかは、
企業によって様々ではありますが、
この②のパターンが圧倒的に多いのが、
現実のようです。
一方で、①のパターンの事例はどうでしょうか?
一般事例として
公になっている情報の中では、
わかりやすくお伝えできる事例は
見つけられませんでした。
日清製粉グループ本社や
サッポロホールディングスといった会社が、
①のパターンを採用していた、
との文献もありますが、
私自身は直接関与していないので、
状況についてはよくわかりません。
なぜ、
シェアードサービスとなった場合に、
圧倒的に②のパターンが多いのでしょうか?
この点に関連して、次回以降に、
①のパターンと②のパターンの
特性やメリット・デメリット等を整理して、
お伝えさせていただきたいと思います。
ちなみに、
中小企業がホールディングス移行にあたり、
シェアードサービスを検討するのであれば、
私自身としては①のパターンが
良いのではないかと思っています。
この点については、
これまでも、いろいろなところで
お伝えしてきました。
たとえば、
「Vol.32 ホールディングス × シェアードサービス=?」
「Vol.65 これからのホールディングス経営の形は?」
「Vol.120 ホールディングカンパニーにはどこまで業務を残すべき?」
といった記事も、
ご参照いただければと思います。