これまで、いろいろな切り口で、
業務フローについて、
お伝えさせていただきました。
今回はその最後として、
「業務フローと組織力の関係」
について書いてみたいと思います。
前回は、業務フローを見える化したうえで、
インプットとアウトプットを見つめ直すことの大切さ、
についてお伝えさせていただきました。
売上に関わる活動や仕入に関わる活動、
といった主要業務については、
きちんと見える化することで、
「自社の付加価値創造プロセス」
が明確になります。
経営者にとっては、
自社の「存在意義」を
改めて見つめ直す機会になりますし、
自社の「グループ付加価値」が具体的になることで
自信にもなるはずです。
ただ、業務フローを作成し、
自社業務を見える化する際に、
もう1つだけ意識していただきたい視点があります。
それは、
「ヨコの関係」
です。
つまり、
売上に関わる活動の業務フローや
仕入に関わる活動の業務フローといった
それぞれの「タテ」の業務を
見える化することも重要ですが、
それと同時に、
各業務フローの「ヨコの関係」も見える化してみると、
いろいろと気づけることがあります。
とくに
この「ヨコの関係」は、
「組織力」
について見える化してくれるはずです。
付加価値の高い業務を実施している組織は、
例外なく、この「ヨコの関係」がきちんと構築され、
高い組織力を築いています。
この「組織力」ですが、
業務フローという観点で表現すると、
●組織力=「タテの連携力」×「ヨコの連携力」
と表してもよいと思います。
社員数が増えてきたり、
グループ会社が増えてきたりすると、
どうしてもセクショナリズムの意識が強くなり、
「ヨコの関係」が弱くなってきます。
組織規模が大きくなると、
機能別等で分業体制になることが
多いものですが、もともとは、
「企業活動=自社で付加価値を作り、高めて、顧客へ提供する」
という一体の行為であるはずです。
それにもかかわらず、組織拡大につれて、
本来一体の行為であるはずの企業活動が、
いくつかの「タテの業務」に分解されます。
そうなると途端に、
「ヨコの連携」が弱くなっていきます。
とは言っても、
どこの組織でも程度の差はあれ、
例外なく起きている事象だと思いますので、
このこと自体は仕方ない面もあると思います。
ここで重要なのは、
「組織拡大につれて『ヨコの関係』が希薄なり、
『ヨコの連携力』が弱くなるものである」
という前提に立って、
意識的に組織づくりをしているかどうか、
という点です。
つまり、ポイントは
「意識的にヨコをつなげる」
ということです。
自然に任せていると、
この「ヨコの関係」は希薄なっていくものですので。
そのために大切なことは、
まずは、
「現状の『ヨコの関係』を把握する」
ということです。
業務フローの話に戻します。
いったん各業務フローが出来あがったら、
実施していただきたいことがあります。
それは、
それぞれの業務フローを並べてみて、
ヨコの関係がどうなっているかを
具体的に見える化してみてください。
たとえば、
売上に関わる活動の業務フローと
仕入に関わる活動の業務フローを並べたときに、
どれくらい「ヨコの糸(連携)」があるでしょうか?
売上と仕入は
企業活動の基本的な業務であり、
それぞれが独立して存在することはあり得ません。
そう考えると、
この両者の業務フローの間には、
いくつもの「ヨコの糸」が引けるはずです。
是非、具体的に
「ヨコの関係」についても見える化してみてください。
そして、万が一
この「ヨコの関係」が希薄であることが
見える化されてしまった場合には、
意図的に「ヨコの糸」を作る努力を
していただいた方がよいかもしれません。
繰り返しになりますが、
この「ヨコの糸」は無意識では、
出来あがってきません。
経営者が意識的に「ヨコの糸」を作り、
「ヨコの関係」をつなげていく意識を持たなければ、
現場主導では自主的につながっていくものではない、
考えた方がよいです。
そして最後に、
「ヨコとタテが交わる『原点』」
についても、
是非意識していただきたいと思います。
あらゆるポイントで、
ヨコの連携は必要になるはずですが、
業務フローを並べたときに、
最初に「ヨコの連携」があるポイントを
探ってみてください。
きちんとした連携ができ、
組織力の高い企業の場合には、
企画・計画段階で
すでに「ヨコの連携」がなされているはずです。
この企画・計画段階にも
・経営計画(グループベース)
・販売計画(グループベース)
・購買計画(グループベース)、等
いろいろな段階があると思います。
どのような段階であれ、
「企画・計画段階」
から「ヨコの関係」が築けているかが、
組織の強さに比例すると言ってもよいでしょう。
このあたりの視点も意識して、
組織内の「見える化」にチャレンジを
してみていただきたいと思っています。