これまで、
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●シェアードサービス化の最優先目的は?
↓
●最初は「業務の標準化」に焦点を当てるべき
↓
●そのためには「業務の棚卸」が必要
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ということでお伝えしてきました。
つまり、「業務の棚卸」をすることが、
シェアードサービスの出発点になるということでした。
この「業務の棚卸」にあたっては、
「Vol.125 失敗しない「見える化」の3つのポイント」
の中で、以下の3つのポイントをお伝えしました。
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①各業務の見える化の作業は各担当者が実施した方がよい
②できる限り簡単なところからスタートする(完璧を求めない)
③業務の見える化作業を日常業務の中に組み込む
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それぞれのポイントの趣旨は、
①主体性
②実行性
③継続性
ということでした。
前回は「①主体性」について
お伝えさせていただきましたので、
今回は、2点目のポイントである
「②実行性」
という点について、
もう少しだけお伝えさせていただきます。
まず、「実行性」という点が
重要であることについては、
今さらお伝えするまでも無いことだと思います。
何事においても実行されなければ、
前に進むことはありません。
ただ、
この「実行」の大切さは頭でわかっていても、
実際には、難しいものです。
自分自身を「実行」モードへ移すことも
容易ではないと思いますが、
他者を「実行」させることは、
より難しいのではないでしょうか。
魅力的な活動であれば、
モチベーションが上がり実行に移すことは
比較的容易かもしれません。
但し、
仕事のなかには、
正直、モチベーションが
上がるものばかりではありせん。
どちらかというと、
単調でモチベーションを上げにくい業務の割合の方が
多いのかもしれません。
一方で、
このような単調業務ほど、
多くの人(とくに経営者)が苦手にしているため、
きちんと実施し続ければ、
「差」が生じてくる面でもあると思っていますが。
そして、今回のテーマとしている
「業務の棚卸」
についても、
おそらくモチベーションを上げづらい
業務の1つになると思います。
これまでの経験上、
モチベーションを上げづらいどころか、
拒否反応が高くなる業務の1つ
のように感じています。
誰もが
自分の業務を見える化することを
得意としていませんし、
また見える化したいとも思っていない
ことが多いからです。
とはいっても、多くの社員が、
「業務の棚卸」の必要性について、
理解をしてくれるのは事実です。
言うなれば、
「必要性はわかっているけれど、やる気がおきない」
といった業務なのでしょう。
経営者としては、
そのような業務特性であることを理解したうえで、
「業務の棚卸」という業務を
推進・浸透させていく必要があります。
ただ単に
「必要だから、やってください!」
だけでは、
なかなか行動が伴ってきませんし、
生きた取り組みになっていきません。
そう考えると、
とくに取り組みの最初の段階では、
「できるだけ簡単なステップ」
にして取り組みを推進していただくのが
良いのではないかと思います。
多くの経営者は
完璧主義だと感じています。
そのため、
どうしても「業務の棚卸」といっても、
とても細かいフォーマットを作り、
多くの情報を集めようとされます。
その気持ちはとても大切ですし、
経営者に完璧を目指す意識が無ければ、
「業務の棚卸」は上手くいきません。
ただ、
最初のステップから完璧なものを求めると、
社員の能力と気持ちがついて来られない
可能性が大いにあります。
最初のステップで挫折してしまうと、
どれだけ意義のある取り組みも
前進していくのが難しくなります。
そのため、最初は
「社員に行動を起こしてもらうこと」
だけに意識を集中して、
完璧性は捨ててください。
たとえば、
・フォーマットは複雑化しない
・ある程度の多様性(バラバラ感)は許容する
・行動を起こしてくれていること自体に感謝する
といった姿勢で臨んでいただきたい、
と思っています。
イメージとしては、
「3回目の取り組みからが正式なスタート」
だというくらいの気持ちをお持ちいただき
取り組みを始めていただければと思います。
最初の1回目は練習と割り切って
簡単なステップにしましょう。
たとえば、
「1日5分でできて、3日間続ける」
といったレベルでしょうか。
次に1回目の反省を踏まえて、
微修正したステップとして、
2回目の取り組みを行ってください。
少しレベルアップして、
「1日10分程度で、1週間続ける」
といったレベルへ。
そして、
「3回目でやっと本番」
と言った感じです。
このころには、
社員も「業務の棚卸」に
慣れてきている頃だと思いますし、
トライアルから得られた教訓もあると思います。
完璧主義の社長には
葛藤もあるかと思いますが、
「走り幅跳びではなく3段跳び(ホップ・ステップ・ジャンプ)」
のような感覚で、
取り組んでみていただければと思います。