連結決算というと、
「グループ全体の決算作業をして、
グループ全体の決算書を作成する」
という一連の作業として説明されることが多いです。

1つの側面としては間違っていません。

但し、
これだけではたんなる「作業」です。
極端なことを言うと、
連結会計の知識がある人が
パソコン上で完結できる「作業」です。

Vol.55(1)

当然、
連結会計という専門知識は重要ですし、
その作業にも人の力は必要です。

会計の学校では、
この学問としての連結会計の知識を教えます。
グループ経営にとっては
重要な専門知識の1つであることは
間違いありません。

但し、
この連結会計の知識を使って、
グループの決算書を作ることを「連結決算」と呼ぶのは、
本当の連結決算実務を知らない人だと思っています。

連結決算の実務は、
そんなに薄っぺらいものではありません。

グループ全体の決算書は
成果物としてはとても有用な情報です。

但し、これはあくまで
連結グループ経営を実践しているなかでの、
ある一時点の「結果」に過ぎないのです。

経営者であれば、
決算書の「重要性」と「限界」の両方について
ご理解いただいていると思います。

Vol.55(2)

これは、
連結決算であっても同様です。

連結決算書はとても重要な資料です。
いろいろな気づきを与えてくれます。

ただ、これは
あくまで「会計」というモノサシで
グループの経営状況を
数字で表現したものにすぎません。

この連結決算書という「結果」に至るまでには、
グループ経営を日々実践してきた「プロセス」があります。

つまり、
連結グループ経営を実践すること(プロセス)と
連結決算書(結果)は
表裏一体の関係にあります。

それぞれが独立して存在しているわけではありません。

Vol.55(3)

そうだとすると、
「連結会計の知識を使ってグループの決算書を作る」
という部分だけを切り取って、
連結決算と呼ぶのも、
おかしな話です。

単一法人の決算の場合は、
社内管理と連携させる形で、
月次決算をしたり、
業務管理数値と連携させたり、
多くの経営者は工夫をされます。

つまり、
経営の「プロセス」のなかに
上手く会計や決算というツールを組み込んで
経営に活用できるような「仕組み」を作っています。

これが「連結決算」になったとたん、
経営のための「仕組み」ではなく、
各社の数値をつなぎ合わせる「作業」の方だけが
フォーカスされてしまう傾向があります。

私はこれまで多くの会社で
連結決算の「仕組み」を作ってきました。

どのクライアントも
ご依頼いただいた最初の入口は、
「連結会計の知識を使ってグループの決算書を作ってほしい」
というニーズでした。

Vol.6

私自身も自分の専門知識を使って
連結決算書を作成することこそが、
重要な役割だと思っていました。

但し、
多くの会社で連結決算の「仕組み」を作っているなかで、
次第にあることがわかってきました。

自分では連結決算の「仕組み」を作っているつもりが、
ただの連結決算の「作業」を実施しているだけだということ。

「連結決算」という難解そうなワードに惑わされて、
経営者や多くの社員は、
「連結決算は特別な領域で自分たちには関係ない」
という感じで、
いつしか他人事になってしまうことが多くありました。

結局、行きつく先は、
「連結会計の知識を使ってグループの決算書を作る」
という作業だけが独立して存在する、
といった状況に陥っていくのです。

Vol.55(4)

こうなると、
経営に活用されるという次元の話にもなりません。

まったく「仕組み」にもなっていません。

グループの決算書だけが成果物として出来上がり、
「今年はよかった」
「思ったより数字がいってなかった」
といった感想だけ終わるだけです。

まったく「グループ経営のプロセス」と「グループの決算書」が
連動していないのです。

さらに、
連結決算の「作業」の部分においても
次第に壁にぶち当たることになります。

この「作業」部分をどれだけ効率化させようとしても、
どこかで限界が出てきてしまうのです。

それも当然です。
結局は、連結グループとしての日々の経営があり、
グループのマネジメントがあって、
その延長線上に
グループの決算書を作るという「作業」があるのです。

川下の「作業」部分を
どれだけ効率化しようとしても、
すべての問題点や課題は、
川上の「連結グループ経営のプロセス」の部分にあるのです。

Vol.55(5)

グループ経営というプロセスや、
グループマネジメントの部分に向き合い、
改善していかなければ、
本当の意味での「連結決算の仕組み」はできないのです。

連結決算の目的が、
「グループの決算書を作ること」
ということであれば、話は別です。

但し、
経営者にとっての連結決算の本来の目的は、
「グループ経営に役立たせること」
のはずです。

グループ経営に活かせるものであってはじめて、
連結決算の必要性が生まれてくるはずです。

Vol.53(1)

つまり、
連結決算は、
専門知識とパソコンだけで完結する「作業」ではなく、
連結グループ経営の「仕組み」そのもの、
といってもよいのです。

私自身の過去のいろいろな経験を経て、
今は、
「連結決算=グループ経営の仕組み」
ということを確信しています。