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【事例】株式会社アエリア

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※平成30年2月14日に株式会社アエリアより適時開示されている「子会社の株式移転による中間持株会社設立に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

中間持株会社設立

開示概要

●平成30年2月14日開催の取締役会において、
子会社である株式会社リベル・エンタテインメント(リベル)が実施する単独株式移転によって、
リベルのコンテンツ事業を統括する中間持株会社を設立することを決議した。

中間持株会社設立の目的

●グループが展開しているインターネット関連事業においては、
スマートフォン・タブレット端末の普及に伴い、
インターネット利用者数の増加やEC(電子商取引)市場の拡大等を背景として、
引き続き成長を続けている。

●コンテンツサービスの多様化により市場規模は拡大しており、
スマートフォン・タブレット等のモバイルコンテンツ市場においても
継続的な成長を続けている。

●このような状況の下、グループは、
ITサービス事業、コンテンツ事業をコア事業として、
安定した収益基盤の強化に努めている。

●なかでもコンテンツ事業は、スマートフォン・タブレット等の
モバイルコンテンツの開発事業及び配信・運営事業を強化するとともに、
グループ子会社各社の強みを生かし、これまでのマス・マーケットから
ターゲット層を絞ったニッチ・マーケットでの基盤を作 り、
多様化する顧客ニーズに合ったサービスの提供に努めている。

グループのコンテンツ事業は、
中核であるスマートフォン・タブレット向けゲーム並びに
オンラインゲームの開発、配信及び運営、
さらにはドラマ CDやボイスCD、キャラクターグッズの販売等を行う
リベルが中心的な役割を担っている。

●特にリベルが開発・提供しているスマートフォン向けゲーム「A3!(エースリー)」は
会員数約500万人(平成30年1月末時点)を有し、
好調に収益が推移したことにより
グループにおける売上高、営業利益に大きく寄与している。

●一方、スマートフォン向けゲームをはじめとする
コンテンツ事業が属するマーケット環境は、
魅力的なコンテンツやアプリケーションを提供するため、
サービス内容は複雑化・ 高度化する傾向にあるなど、
開発費用や人件費等のコストが増加するだけでなく、
企業間におけるユーザー獲得競争が一層激化している。

●こうした多様化の進むユーザーのニーズをいち早くキャッチアップし、
マーケット環境に適したコンテンツやアプリケーションを
タイムリーにリリースする体制を構築するべく、
グループ内経営リソースをアエリアに集中させる必要があると考えている。

●そのため、この度リベルの経営陣が
グループのコンテンツ事業を管掌することにより、
グループ全体におけるコンテンツ事業の体制強化並びに
戦略の円滑な実行を目的として
グループ内における組織再編を実行することとした。

リベルの経営陣が、グループ全体のゲーム事業に対する
コミットメントを高めるためには、
グループの価値向上とともに、インセンティブ効果が発動できる
ストック・オプションを活用することが最適であると判断した。

●リベルでは、平成29年6月30日付で
経営陣を対象としたストック・オプション(本新株予約権)を発行しているが、
本新株予約権の行使によりアエリアの完全子会社ではなくなってしまうことから、
実質的に本新株予約権を行使することができない状況が継続している。

●そのため、本新株予約権の条件を維持しながら、
アエリアが新たに発行するストック・オプションへ移行できるスキーム
組織再編税制や会社法に照らし検討し
最適なスキームとして本組織再編を選択した。

●本組織再編の第1段階として
リベルのコンテンツ事業を統括する中間持株会社として
株式会社リベル・ホールディングス(リベル HD)を設立することする。

●中間持株会社としてのリベルHDの役割としては、
①リベルが行っているコンテンツ事業における戦略策定
②リベルの事業管理
の2つを主な役割とする。

●グループの迅速なコンテンツ事業の体制強化のためには、
リベルの経営陣にアエリアの新株予約権を付与することで
インセンティブ効果を発揮させつつ、グループのコンテンツ事業の管掌を行うことは、
グループのコンテンツ事業における体制強化
並びに戦略の円滑な実行を迅速に行うために必要不可欠である。

●そのため、本組織再編の第2段階として、
平成30年3月29日に開催を予定している定時株主総会で
合併契約が承認可決されることを条件として、
平成30年4月1日(予定)を目途に、
アエリアが中間持株会社であるリベルHDを吸収合併することを予定している。

●なお、本組織再編において、アエリアの新株予約権を
リベルの経営陣に交付することによるメリットは、以下のとおりである。

①グループ全体のコンテンツ事業における競争力の強化
これまで優れたコンテンツ運営ノウハウを有するリベルの経営陣が
アエリアとの兼務を実現することにより、
リベルにおけるコンテンツ運営ノウハウ/リソースを
グループ全体のコンテンツ事業に対する収益の向上に対するコミットメントを強め、
グループ各社で運営するゲームコンテンツの競争力の底上げ強化を
実現することが可能となる。

②コンテンツマルチユース展開のグループ共有
ゲーム・アニメのライセンスのマーチャンダイジングを得意とする
株式会社 GG7をグループ化するなど、
コンテンツに付随するライセンスの2次利用における
収益獲得による利益創出の拡大を目指している。

リベルが開発・運営する「A3!(エースリー)」は
グループで最もヒットしているコンテンツであり、
こうしたコンテンツをさらに円滑にグループ各社が有効な収益化できる体制を
リベル経営陣のアエリアとの兼務により構築することで、
さらなるグループ全体のコンテンツ事業の収益拡大が見込まれる。

中間持株会社設立の概要

(1)中間持株会社設立のスキーム
リベルは、平成30年2月28日を効力発生日(予定)として、
単独株式移転の方法により、リベルの完全親会社であり、
かつ、アエリアの完全子会社である株式会社リベル・ホールディングスを設立する。

なお、リベルHDの設立後、本組織再編の第2段階として、
平成30年3月29日に開催を予定しているアエリア定時株主総会で
合併契約が承認可決されることを条件として、
平成30年4月1日(予定)を目途に、
アエリアがリベル HD を吸収合併することを予定している。

(2)本組織再編における新株予約権
リベルは、インセンティブを目的とした有償ストック・オプションとして、
第1回新株予約権(平成29年6月30日発行/発行総数40個)を
リベルの経営陣に対して発行しているが、
中間持株会社であるリベルHDからリベルの新株予約権者に対し、
その有する新株予約権と同等の新株予約権を交付し、割り当てる方針である。

また、本組織再編の第2段階として、
アエリアがリベルHDを吸収合併する際には、
リベルHDが発行した新株予約権の新株予約権者に対して、
その所有する新株予約権1個につき、
合併比率の割合をもって当社の新株予約権を新たに発行し、割り当てる方針である。

リベルが発行している第1回新株予約権(平成29年6月30日発行/発行総数40個)は、
リベルの業績が大幅に増収増益を達成していることから、
リベルの企業価値が大幅に向上しているため、
リベル株式の株価算定並びに新株予約権の算定を実施して交付する予定である。

そのため、アエリアがリベルHDの新株予約権者に対して交付する新株予約権は、
アエリアの普通株式約70億円相当の潜在株式になる見込みである。

アエリアの新株予約権を割り当てる理由としては、
リベルHDの新株予約権者は、リベルの経営陣となる予定であり、
グループのコンテンツ事業を管掌し、
グループ全体におけるコンテンツ事業の体制強化並びに戦略の円滑な実行を図るために、
さらなる貢献が期待できるものと判断し、
グループのコンテンツ事業の管掌に対するインセンティブ効果を目的とするためである。

中間持株会社設立の日程

①平成30年2月14日:アエリア取締役会決議及びリベル株式移転計画承認臨時株主総会決議
②平成30年2月28日(予定):リベル HD設立登記日(効力発生日)

 

Review

今回は「アエリア」の事例です。

中間持株会社の活用事例です。

但し、テクニカルな中間持株会社活用事例なので、
あくまで参考までにご紹介だけさせていただく感じです。

今回の内容は情報量が多く、かつ専門的な部分も多く、
内容を正確に読み取るのが少し難しいですが、
おそらく今回の大まかな背景は以下のような感じと推測されます。

———————————————————-
①子会社の1事業(コンテンツ事業)が上手くいっている
②このコンテンツ事業のノウハウ等をグループ全体に広めていきたい
③そこで当子会社の経営陣にグループ全体のコンテンツ事業を管掌してもらう
④そのためには親会社側の経営人材の立場を担ってもらう必要がある
⑤経営陣を親会社側へ転籍させる方向もあり得るが、
 この経営陣は子会社側のストックオプションをもっていて行使できていないという課題があった
 (ストックオプション行使をすると子会社が100%子会社でなくなるため)
⑥この課題を解決するべく、この経営陣には、当ストックオプションと同等の価値があり、
 行使ができる親会社株式のストックオプションを発行することにした
⑦ただ、当経営陣だけを対象に親会社側でストックオプションを発行する手続きは、
 諸々の課題や手続きが必要である
⑧このような課題や手続きを避けるため、子会社側のストックオプションが自動的に
 同等価値に相当する親会社側のストックオプションに置き換わるようなスキームを検討
⑨その結果、中間持株会社を設立し、そこに経営陣と子会社のストックオプションを集約し、
 そのうえで、この中間持株会社を親会社に合併することで、
 必要な人材と行使できるストックオプションだけを取り込むことにした
———————————————————-

どうでしょうか?

どちらかというと、テクニカルな部分で
中間持株会社については一時的に利用したという感じです。

 

中間持株会社については、
今回の事例に限らず、いろいろな目的で
活用されることがあります。

以下の記事に、
いろいろなパターンをまとめていますので、
参考までに。

「Vol.222 中間持株会社は必要?」

 

今回の事例を見てみてもわかるように、
グループ内の組織再編においては、
・Before
・After
さえ明確にできれば、
あらゆる手法を活用して、
たいていのことは実現できるということです。

 

つまり、組織再編において、
まず実施することは

—————————————-
Afterのグループ組織デザインを明確にして
Beforeとのギャップを見える化すること
—————————————-

だと思います。

ここさえきっちり決まっていれば、
そのためのプロセスも見えてきますので。

 

ということで、
今回は中間持株会社の活用事例の1つとして、
ご紹介をさせていただきました。

★★★★★★★
テクニカルな
中間持株会社の活用
★★★★★★★

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