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【事例】ゲンキー株式会社

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※平成29年7月21日にゲンキー株式会社より適時開示されている「単独株式移転による純粋持株会社設立に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

純粋持株会社体制への移行

開示概要

●平成29年7月21日開催の取締役会において
純粋持株会社体制へ移行する方針を決議し、
平成29年9月8日開催予定の定時株主総会における承認決議等の所定の手続を経た上で、
平成29年12月21日(予定)を 期日として、単独株式移転により、
純粋持株会社であるGenky DrugStores株式会社を設立することを決議。

単独株式移転による純粋持株会社設立の目的

●同社が属するドラッグストア業界では、
高齢化社会の進展や美容、健康の維持促進に関するニーズの高まりなど、
更なる市場の拡大が期待される一方、
業種・業態を超えた出店競争や価格競争の激化、
M&Aによる業界再編の加速など、経営環境は厳しさを増している。

●このような経営環境のもと、他社との差別化を図り、
より一層の企業価値向上を目指して様々な施策を行っている。

●代表的な取り組みとして、
1.「近所で生活費が節約できる お店」をコンセプトに、圧倒的な安さの追求
2.「何でも揃うお店」を目指し、医薬品や化粧品 だけではなく生活必需品を幅広く取り揃え、
   青果や精肉などの生鮮食品の取り扱いを強化
3. 地域シェアを高めるためドミナントエリア構築や自社の物流拠点を活かした
   低コストオペレーションの追求
等を推進している。

●今後これらの施策を更に推進し、発展させていくにあたり、
同じ業態であるドラッグストアはもちろんのこと、
別業態であっても同じ商品群を扱う企業に対しM&Aを行うことで、
共同購買による仕入価格の低減等、
経営方針の主軸であるエブリデーロープライスの価格政策を
より強固にすることができると考えている。

他業態のM&Aを推進していくうえでも、
純粋持株会社傘下の事業子会社として当社と並列の関係
グループに参画することが出来る体制を構築することが重要であり、
①M&Aの推進による地域シェアの拡大
②物流、仕入、システム開発、 商品開発、人材の採用と育成等のグループ共通機能活用による経営効率化を図る
といったことを目的として純粋持株会社体制へ移行することとした。

●新たに設立する純粋持株会社では、
・出店計画や事業モデル開発等の経営戦略の策定
・出店資金の調達
・業態開発における人材等の適切な配置
を行うことで、グループ経営資源を適切に配分し経営の効率化を図る。

●また、M&Aによるグループへの他業態の取り込みを通し、
更なる事業拡大と、持続的な成長を目指していく。

●株式移転により、同社は持株会社の完全子会社になるため、
同社株式は上場廃止となるが、持株会社は、
東京証券取引所市場第一部に上場申請を行うことを予定している。

純粋持株会社体制への移行の手順

●以下の方法により、純粋持株会社体制への移行を実施する予定。

【ステップ1】株式移転による純粋持株会社を設立(本件株式移転の実施)
平成29年12月21日を期日として株式移転により
同社の純粋持株会社であるGenky DrugStores株式会社を設立することで、
同社は純粋持株会社の完全子会社となる。

【ステップ2】純粋持株会社設立後の体制
純粋持株会社設立後は、ゲンキー株式会社の子会社等の一部を
純粋持株会社の子会社等として再編する予定。
具体的な再編の内容、方法および時期その他の詳細につきましては、今後決定する。

株式移転の日程

①定時株主総会基準日:平成29年6月20日
②株式移転計画承認取締役会:平成29年7月21日
③株式移転計画承認定時株主総会:平成29年9月8日(予定)
④上場廃止日:平成29年12月18日(予定)
⑤純粋持株会社設立登記日(効力発生日):平成29年12月21日(予定)
⑥純粋持株会社上場日:平成29年12月21日(予定)

 

Review

今回は「ゲンキー」の事例です。

前回の事例に続き、
株式移転⇒テクニカル上場の事例ですね。

また、業界としては
ドラッグストア業界のホールディングス化になります。
それにしてもドラッグストア業界は
ホールディングス化の流れが強いですね。

 

キーワードとしては、
・業界再編
・積極的なM&A
といった感じでしょうか。

 

同業界及び周辺業界のホールディングス化事例としては、
過去に、
アインファーマシーズ(現アインホールディングス)/会社分割
クスリのアオキ(現クスリのアオキホールディングス)/株式交換
サッポロドラッグストアー(現サツドラホールディングス)/単独株式移転
についても紹介させていただきました。

 

ちなみにドラッグストア業界の上位の会社を見てみますと、
以下のように「ホールディングス(HD)」がついている社名が
過半数を占めている印象です。

・マツモトキヨシHD
・ウエルシアHD
・ツルハHD
・スギHD
・クリエイトSDHD
・キリン堂HD

 

やはり、規模(店舗)拡大・M&Aによって
スケールメリットや経営効率を高めることが
同業界での生き残りの条件なのだと思いますので、
おのずとホールディングス形態になっていくということでしょうか。

ただ、業界のこの流れだけを見ると、
最終的には規模の面で業界のトップ3くらいに入らないと、
生き残っていくというのは難しいということになってしまいます。

 

そのため、
同業界の各社は規模拡大を目指すとともに、
異業種・多業種への多角化を並行して進めていくことで、
複数の事業の柱を作っていく流れは出てくると思います。

 

そうした場合に重要になってくるのが、

—————————–
グループ経営の仕組み
—————————–

と言えるのではないかと思います。

 

グループのカタチをホールディングス形態に変えただけでは、
実質的には何も変わりません。

ほぼ単一事業を多店舗横展開することで規模拡大をして
スケールメリットを追求する傾向が強いドラッグストア業界ですが、
これが他業種・異業種のビジネスとなると、
また違った経営の難しさがあります。

 

異文化を上手く融合しながら、
M&Aの勝率も上げていく必要があります。

これまでの本業で成功してきたやり方を
グループ全体で展開していけばよい、
というほどグループ経営は簡単ではありません。

 

複数業種・複数機能で成り立つグループ会社を
きちんとまとめていくのは予想以上に難しいため、
きっちりとしたグループ経営の基盤を作っておくことは、
やはり重要なことと言えるでしょう。

競争激化のドラッグストア業界のなかで、
最終的にどこが生き残っていけるかは、
「ホールディングカンパニーのグループ経営力」
にかかっているといっても良い気がします。

 

今後のドラッグストア業界がどうなっていくのか、
各社の動向が気になるところです。

 

★★★★★★★
事業多角化の前に
ホールディングス化
★★★★★★★

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