「個の力」から「組織の仕組み」へ

 

グループ会社管理を、

「個の力」に頼るステージから

「組織の仕組み」で行うステージへ

 

前回は、
グループ経営の初期ステージから
成長拡大・安定期といった各ステージごとの
グループ会社管理の一般的な傾向について
お伝えさせていただきました。

但し、そのようななかでも、

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●グループ管理が一定水準までいくと、急に改善が進まなくなる
●親会社担当者と子会社担当者の連携がスムーズにいかない
●親会社から過剰な管理業務が降ってきて、グループ各社で対応しきれない
●グループ管理の状況がブラックボックス化してしまう
●グループ管理の担当者が組織の中で浮いてしまう
●担当者間・業務間に「壁」ができてくる
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といったような問題点・課題が残る傾向にあることも
お伝えさせていただきました。

 

そこで、前回の続きとして、
さらに上のレベルのグループ経営を目指す経営者のために、
意識していただきたい「グループ会社管理」について、
書かせていただきます。

 

グループ会社管理の位置づけ

グループ経営において、
グループ会社をどのように管理していくかにより、
グループ経営の質は大きく変わっていくと思っています。

 

それにもかかわらず、
多くのグループ経営の場においては、
意外と「グループ会社管理」は
曖昧なまま放置されている印象があります。

 

いかがでしょうか?
グループ会社管理のカタチは明確になっていますでしょうか?

 

「うちの会社はグループ会社管理をきちんと実施しています。
 たとえば、・・・。」

といった感じで即答できないケースが
意外と多いのではないかと思います。

 

これはいったいなぜなのでしょうか?

 

おそらく、
グループ会社の管理は
積極的にやらなければやらなくても、
グループ各社はそれなりに活動を進めていってくれるため、
現在の業務にそれほど支障が無いからだと思います。
(正確には「支障があるけど、あるように感じられない」のだと思います。)

 

つまり、グループ会社管理は
一般的には緊急度は低く見えがちのタスクであり、
非日常業務(それをやらなくてもすぐに問題が起きない業務)であり、
優先順位としては後回しになりがちなのだと思います。

 

いわゆる「緊急度」「優先度」という指標で考えた場合には、
間違いなく「緊急度は低い業務」に分類されるのではないでしょうか。

一方、「優先度」という視点で考えると、
おそらく「優先度は高い業務」に分類されると思います。

 

つまり、

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グループ会社管理は、
緊急度は低いかもしれないけど
優先度は高い業務
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であるため、
ここに意識的に力を入れる会社ほど、
より成長していけるグループ経営を
実践していけるはずです。

 

ただ厄介なことに、
優先順位が高い業務と仮に認識していても、
なかなか進まないのが、
「グループ会社管理」という業務の難しいところです。

 

その理由は、
グループ会社管理という業務が
独特の立ち位置にある業務だからだと思います。

 

そもそも「グループ経営」といっても、
グループとしての法人格を持つわけではなく、
あくまで「法人格をもつグループ各社」を
結びつけることで成り立つ概念であり、
少しとらえどころのない概念です。

 

そのため、グループとして、また、親会社として、
グループ会社管理をきちんとやった方がよいことはわかっていても、
「グループ会社の管理は誰がやるべきなのか?」
という点についても明確になっていない会社が多いと言えます。

 

戦略的に取り組む「グループ会社管理」

結局、グループ経営者としては、
かなり意識的・積極的、かつ戦略的に
「グループ会社管理」を位置づけたうえで取り組まない限りは、
これを機能させていくのは難しいということです。

 

このあたりが曖昧な会社が多いため、
実際には親会社のある担当者の「個の力」に依存した
グループ会社管理に落ち着いてしまい、
ゴールも曖昧だったりするため、
ある一定水準まで達すると、それ以上の改善が進まなくなってしまう、
ということなのだと思います。

 

ということで、具体的にどのように
グループ会社管理の体制を整備・運用していけばよいのか、
個人的に思うところを
以下に書かせていただきたいと思います。

 

3つの立ち位置

まず、親会社で何か業務を持ちながら、
その他傍らで兼務的にグループ会社管理をする状態では、
なかなか「曖昧になりがちなグループ会社管理の仕事」を
前に進めていくのは難しいと思われます。

 

そのため、

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「グループ会社管理」の専任者を置く
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ことが重要だと思います。

 

この専任者が現場作業をすべてこなしていく必要は無く、
「グループ会社管理」というプロジェクトを進めていくプロジェクト責任者
といったような位置づけと考えても良いかもしれません。

 

実際には、いろいろな現場担当者と連携して、
グループ会社管理は進めていくことになりますが、
ポイントは「グループ会社管理を進めていく」ということに対する
責任の所在を明確にしておくことにあると考えます。

 

そして、そのためには、
他業との兼務ではなく専任を置くという決断
勇気をもってしていただいた方が良いと思います。

 

そのうえで、
そのグループ会社管理専任者は、

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①グループリーダーシップの発揮するポジション
②グループ各社と一緒になって並走するポジション
③後ろについてフォローするポジション
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という3つのポジショニング(立ち位置)を上手く使い分けながら、
グループ会社管理を進めていくのが
最も効果的だと思います。

 

この3つポジションニングのイメージは
以下のような感じです。

①グループリーダーシップの発揮するポジション

positioning5

グループリーダーシップは発揮する「立ち位置」

1つ目に求められるのは、
グループとして目指したい方向を明示したり、
グループ経営者の思いを伝えていく役割として、
グループ各社を引っ張っていく姿勢です。

 

②グループ各社と一緒になって並走するポジション

positioning6

グループ各社と一緒に並走していく「立ち位置」

2つ目に求められるのは、
グループ各社の仲間の一員として同じ目線を持ちながら並走し、
一緒に悩み、考え、前に進んでいく姿勢です。

 

③後ろについてフォローするポジション

positioning7

グループ各社の後ろについてフォローする「立ち位置」

3つ目に求められるのは、
苦しんでいるグループ会社があれば、
落ちこぼれないように積極的に支援・奉仕し、
フォローしていく姿勢です。

 

この3つの姿勢は

「サーバント・リーダーシップ」

と表現しても良いかと思います。

 

このように、
グループ会社管理の専任者を置くということは、
グループ会社管理が最優先ミッションとして業務をする人材を置くということです。

 

グループ会社管理の専任者のミッションは明確であり、
結果はどうなるにせよ、前に進んでいくことが求められれます。

当然、個人の目標管理(≒業績評価)上も、
グループ会社管理がメイン業務として設定され、
何を、いつまでに実施するのか、
という計画も立てられることになると思います。

グループ会社管理という曖昧な業務は
この「前に進んでいく」環境を作ることこそが
実は重要なことだと思います。

 

専任者として指名された人材は、
プレッシャーも大きいとは思いますので、
どのような人材を指名するかも重要になっていきますが、
きちんと前に進ませていくためには、
上記の①~③のような役割を使い分けが出来る人材こそが、
グループ会社管理上は求められるのではないかと思っています。

 

組織としてのカタチは?

もう1つ注意しておきたい視点があります。

グループ会社管理の専任者(責任者)の組織所属の問題です。

上記の①~③の役割を担っていくうえでも、
また、目標管理上も、どこの組織に所属しながら
グループ会社管理を実践していくかは
結構重要なポイントだと思っています。

 

・リーダーシップを発揮するのであれば親会社が良いのでは?

・グループ各社と並走するのであれば、同列の子会社が良いのでは?

・後ろに回ってフォローするなら、どうしたらよいのか?

 

いろいろな意見があると思いますが、
親会社であれ、子会社であれ、
管理をされる側のどこかのグループ事業会社に所属していると、
上記の①~③のポジショニングが
意外と難しくなってしまう気がしています。

 

そこで、やはりお勧めは、
一般事業をもたないホールディングカンパニー(親会社)を作って、
ホールディングカンパニーの所属として、
グループ会社管理を進めていくカタチが、
一番わかりやすいのではないかと思っています。

positioning9

ホールディングカンパニーというと、
「親会社」「上の立場」
といった印象を持たれている場合もあるかもしれません。

 

ただ、これは、経営者として、
ホールディングカンパニーをどのように位置づけるかによりますし、
グループのリーダーシップも発揮しながら、
グループ子会社と並走もするし、後方支援もする、
といったミッションをもたせることも当然可能だと思います。

 

別にホールディングス形態でなくても、
より良い組織デザインを描き、
グループ会社管理担当者の適当な居場所を確保できるのであれば、
それはそれで問題ないと思います。

 

とはいえ、ホールディングス形態が、
グループ組織デザインとしては、
シンプルでわかりやすいのも確かかと思います。

 

ホールディングカンパニーの場合には、
会社としてのミッションとしてグループ会社管理は
重要なテーマとなりますし、
その組織にグループ会社管理専任者も所属すれば、
組織目標と個人目標もベクトルが一致し、
わかりやすいデザインだと思います。

 

ここまで環境整備をしていけば、
「個の力」に頼ったグループ会社管理から脱却でき、
「組織の仕組み」としてのグループ会社管理への一歩
踏み出していけるのではないでしょうか?

 

★★★★★★★
グループ会社管理という「曖昧」な業務を、
具体的にできていますか?
★★★★★★★