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【事例】株式会社クラウディア

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※平成28年8月31日に株式会社クラウディアより適時開示されている「持株会社体制への移行方針決定に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行方針決定

開示概要

●平成28年8月31日開催の取締役会において、
平成29年9月1日を目途に持株会社体制へ移行する方針を決定し、
その本格的な準備を開始することを決議。

●持株会社体制への移行については、
平成28年11月29日に開催予定の定時株主総会において
関連議案が承認可決されることを条件に実施。

持株会社体制移行の背景と目的

●企業グループは、中長期経営計画で
「GO!チャレンジ2020(各事業分野の成長戦略を掲げ打って出る!)」
をスローガンに、企業価値・収益力のさらなる向上と、
「総合ブライダル企業」としてのブランド価値の向上に努めている。

●今後の企業グループを取り巻く経営環境を展望すると、
ブライダル市場は、日本国内の少子高齢化が進展し、
結婚適齢期世代の減少は避けられない状況である。

●婚礼衣裳市場、挙式・披露宴市場は、
婚礼に対する意識や趣向の変化や新規挙式施設の増加等により
競争がますます熾烈になっている。

●このような状況のなか、企業グループが、
婚礼衣裳メーカーとして“ものづくり” をコアとしつつ、
より最終消費者に近く、より大きなマーケットである
挙式関連サービス事業領域(B to C)の開拓を推進していくためには、
各事業会社が自らの事業領域の環境の変化に的確に対応しつつ、
収益拡大に向けた施策の意思決定を
より迅速に行っていくことが不可欠であると判断し、
持株会社体制へ移行する方針を決定した。

持株会社体制への移行方法

持株会社体制移行の具体的な移行スキーム及びその他詳細については、取締役会で決定次第報告。

持株会社化の日程(予定)

①定時株主総会における関連議案の承認:平成28年11月29日(予定)
②持株会社体制への移行:平成29年9月1日(予定)

Review

今回は「クラウディア」の事例です

開示内容は、それほど多くなく、
コンパクトにホールディングス化の意志を
表明した状況と言えるでしょう。

 

ホールディングス化の目的
シンプルにメッセージにしていますが、

—————————
市場環境が厳しくなるなか、
グループ各社が環境の変化に対応しつつ、
意思決定をより迅速に行っていくことが不可欠
—————————

という理由です。

 

この内容自体は、
ごく一般的なホールディングス化の目的と
言えるでしょう。

そこで、
なぜホールディングス化が必要だったのか、
もう少し探ってみようと思い、
同社のグループ規模を確認してみたところ
平成27年8月期の決算状況は、

—————————
グループ売上高:約120億円
グループ経常利益:約1.3億円
連結子会社数:12社
—————————

とありました。

 

売上高の規模を考えると、
グループ会社数はそれなりに存在する、
といった印象です。

少し気がかりな点としては、
グループ売上高も年々減少傾向にあり、
さらに、利益額については
毎年大きく減少してきている印象です。

 

たとえば、
平成23年8月期の経営数値は、

—————————
グループ売上高:約140億円
グループ経常利益:約14億円
—————————

といった感じでした。

この4年間で、
売上高も減少し、
利益額は約1/10になった感じです。

 

ちなみに、
親会社単体の決算数値だけを見ると、

—————————
【平成23年8月期】
売上高:約60億円
経常利益:約6.5億円

【平成27年8月期】
売上高:約50億円
経常利益:約3.5億円
—————————

となっておりました。

親会社単体も、
売上高、利益額ともに
減少傾向ということです。

 

ただ、ここで興味深いのは、
平成23年8月期は、
「連結グループの利益>親会社単体の利益」
だったのが、
平成27年8月期においては、
これが逆転し、
「連結グループの利益<親会社単体の利益」
になっている、という点です。

 

グループ企業向けの売上等もあると思いますので、
実際の正確な情報を把握するのは難しいところですが、
グループ経営に苦戦している状況が推測されます。

つまり、このような背景のもと、
「グループ経営」という視点では、
改善の余地があるとの判断があり、
今回のホールディングス化という流れに
なっていったのではないかと推測されます。

★★★★★★★
グループ業績が思い通りにいかない場合に、
グループ経営のやり方自体を
きちんと見つめ直していますか?
★★★★★★★

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