不二製油の取組み

先日(2016年7月20日)の日本経済新聞で、
以前、「【事例】不二製油 株式会社 」で
ホールディングス化事例としてお伝えしたことのある
不二製油グループ本社の記事が掲載されていました。

 

記事によると、
以下のようなことが記載されていました。

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①2019年3月期をメドに世界4地域の統括会社に
 それぞれ最高財務責任者(CFO)を置き、資金の効率活用に乗り出す。
 (⇒中国、東南アジア、欧州、北米)
②仕入から代金回収までの日数を示す
 キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の短縮に各地域で取り組む。
 在庫を減らして食品や菓子用の油脂の海外展開に必要な資金をねん出する。
 (⇒グループ全体でCCCを10%(10日)短縮を目指す)
③2020年までに国際会計基準(IFRS)を導入する。
④2020年までに20億円を投じて、
 これまで地域別にバラバラだった会計システムを統合する。
 (⇒原材料相場や在庫水準を一括して管理できるようにする)
—————————————————

 

いくつかの横文字も出てきましたが、
どれもグループ経営において必須の用語ですので、
経営者としても押さえておいていただきたい用語です。

具体的には

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・CFO
・CCC
・IFRS
——————

といった用語です。

せっかくですので、
これらの用語の簡単な説明も含めて
同社の取組みについて今回は書いてみたいと思います。

ホールディングス化の目的

今回の不二製油の取組みにあたり、
そのきっかけとして「ホールディングス化」という
ターニングポイントがあったのではないかと思っています。

そこで、同社のホールディングス化の目的を、
今一度確認をしてみたいと思います。

———————————————————
(1)新規事業やM&Aを含むグループ経営の戦略立案機能を強化し、
   グループ内経営資源の配分を最適化する。
(2)各地域の状況に応じた価値創造力を発揮させるために、
   日本・アジア・中国・米州・欧州のグループ各社への権限・ 責任の委譲による
   意思決定の迅速化を図り、各地域のニーズに合致した商品・サービスの創造力を高める
(3)グループの成長戦略を担う経営者人材をグループ全体・社外より確保するとともに、
   グループ全体の変革を推進する次世代のリーダー育成を継続的に実現していくこと
——————————————————–

いかがでしょうか?

 

まず(1)のなかに
「グループ経営の戦略立案機能の強化」
という目的が挙げられています。

今回のような取り組みは、
おそらくグループ全体視点での戦略立案ですので、
このホールディングス化の目的通りに、
ホールディングカンパニーが役割を
担っていっている様子がうかがえます。

 

次に、(2)のなかには、
「日本・アジア・中国・米州・欧州の
 グループ各社への権限・ 責任の委譲」
という内容があります。

今回の取組みのなかにおける、
世界4地域の統括会社にそれぞれCFOを置き、
資金の効率活用に乗り出す、といった内容は、
まさにグループ各社への権限・責任の委譲の方向と
マッチすると言えるでしょう。

 

そして、(3)のなかには、
「グループの成長戦略」
「グループリーダー育成」
といった目的が掲げられています。

日本経済新聞で取り上げられていた
不二製油の今回の取組みはすべて、
グループ全体の企業価値向上を目指したものであるため、
このホールディングス化の目的(3)に
最終的には通じる部分と言えるでしょう。

 

ホールディングス化が
グループの未来を変えていく
「良いきっかけ」
になっているような気がしています。

CFOは必要?

不二製油の取組みの中に、
「中核となる子会社にそれぞれCFOを置く」
ということが挙げられています。

 

日本でもCFOという表現は
かなり浸透してきていますが、
そもそもCFOとは、
いったいどのような役割を担うものでしょうか?
また、子会社においても必要な存在なのでしょうか?

 

まずCFOの役割ですが、
これについて書き出すと長くなってしまうので、
ざっくり私なりの理解で表現をさせていただくと、
「社長の右腕」
「経営参謀」
という立場といってよいのではないでしょうか?

 

経営においては、
右脳マネジメント左脳マネジメントも重要です。

このうち「左脳マネジメント」で要求される、
論理性や数値管理といった要素は、
重要な「右脳マネジメント」を支えてくれるものとなります。

 

一般的に社長は、
右脳マネジメントは得意なものですが、
左脳マネジメントとなると不得意になるケースもありますし、
また、不得意でなくても、
より専門的な内容(会計・財務)になると、
やはりその分野のスペシャリストに頼らざるを得なくなります。

どれだけ優秀な社長でも、
CFO的役割までも完璧にこなしていくのは、
至難の業ですので。

その意味で、
経営の両輪のうちの1つとして、
CFOが社長を会計や財務面から支える経営体制は、
とても理想的な形と言えるでしょう。

 

そして、このようなCFOを
子会社にも配置していくという不二製油の方針は、
私個人的には大賛成です。

とくにグローバル展開となっていくと、
重要拠点ごとにCFOがきっちり役割を果たすことができれば、
グループ全体でシナジーが必ずや生まれるはずです。
個人的には、グループ経営のポイントは、
「できるかぎり子会社の自主性を伸ばす」
「できるかぎり子会社の能力を発揮する環境を整備する」
といったことにあると思っています。

つまり、
CFOの役割も親会社だけが担うのではなく、
現場で必要なCFO的役割については、
各現場で、ある程度完結していけるような体制が、
理想的だと考えています。

 

そのうえで、
ホールディングカンパニーのCFOが
グループ全体視点で各CFOと連携することができれば、
とても筋肉質なグループ経営になるはずです。

子会社レベルにまでCFOを置くとなると、
人材不足が懸念されますが、
「まずは子会社レベルでCFOを経験させ、育てる」
というくらいの発想から始めると
良いのではないかと思います。

CCCって?

次にCCCについても
簡単に触れていきたいと思っていますが、
長くなってきましたので、
続きは次回に譲りたいと思います。

★★★★★★★
グループの未来を支えていく
CFOを育ていていますか?
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