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【事例】株式会社ハニーズ

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※平成28年7月15日に株式会社ハニーズより適時開示されている「持株会社体制への移行に伴う子会社(分割準備会社)の設立、会社分割(吸収分割)に関する吸収分割契約締結にかかる定款一部変更(商号および事業目的の一部変更等)に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行
子会社(分割準備会社)の設立

開示概要

●平成28年7月15日付開催の取締役会において、
平成29年3月1日(予定)を効力発生日として
会社分割の方式により持株会社体制へ移行することを目的に、
平成28年7月21日(予定) に100%出資子会社(分割準備会社)を設立することを決議。

●日本国内における衣料品小売店の店舗運営事業
及びインターネット通信販売事業に関する権利義務の一部を
分割準備会社に承継させる分社型吸収分割を行うため、
分割準備会社との間で吸収分割契約の締結を承認することもあわせて決議。

●持株会社への移行に伴って、
平成29年3月1日(予定)をもって
「株式会社ハニーズホー ルディングス」に商号を変更し、
グループ会社の経営管理を行う持株会社として上場を維持する予定。

●会社分割後の親会社(持株会社)の収入は、
・子会社への婦人服衣料品等の販売収入
・子会社からの経営指導料収入
・子会社からのロイヤリティ収入
・子会社からの配当収入
等が主な収入となる。

また、費用は、
持株会社としてのグループ会社の経営管理を行う事業のほか、
その他の本事業以外の事業に係るものが中心となる予定。

持株会社体制移行の背景

●婦人服専門店業界においては、
価格競争が激しさを増している一方で
中国での人件費上昇の影響によって仕入価格が上昇するなど、
極めて厳しい環境が続いている。

持株会社体制移行の目的

①戦略と事業の分離
平成27年の定時株主総会において
監査等委員会設置会社に移行するなど、
コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んできたが、
持株会社体制への移行により、
戦略と事業の機能分離を実施する。

持株会社が、
グループ全体の戦略、経営管理およびリスクマネジメントを担い、
事業子会社が担当事業に特化することで、
グループ全体の経営効率のさらなる向上を図る。

②経営構造変革への対応
婦人服専門店業界においては、
将来的に市場規模の縮小が見込まれているため、
業界内外を巻き込んだ事業再編や企業買収などが
活発に行われる可能性も少なくないと認識。

こうした中で持株会社体制に移行することによって、
事業環境の変化に合わせた迅速な意思決定が可能となり、
経営構造の変革に柔軟に対応していけると考える。

③経営責任の明確化と次世代経営人材の育成
グループにおける事業子会社においては、
それぞれが自立した法人として独立採算の経営を行っており、
承継会社においても経営責任を明確にした事業運営を推進していく。

こうした機会を活用して、
グループの将来を担う次世代経営人材の育成に取り組んでいく。

持株会社体制への移行方法

●日本国内における衣料品小売店の店舗運営事業
及びインターネット通信販売事業に関する権利義務の一部を
分割準備会社に承継させる分社型吸収分割

持株会社化の日程(予定)

①分割準備会社設立および吸収分割契約締結承認取締役会開催日:平成28年7月15日
②分割準備会社の設立日:平成28年7月21日(予定)
③吸収分割契約締結承認株主総会(承継会社):平成28年8月24日(予定)
④吸収分割契約締結日:平成28年8月24日(予定):
⑤分割の効力発生日:平成29年3月1日(予定)
※本分割は、分割会社である会社法第784条第2項に規定する簡易吸収分割に該当するため、
株主総会による吸収分割契約の承認を得ずに行う予定。

Review

今回は、
「ハニーズ」の事例です

10年以上前ですが、
クライアントだったアパレル業界のある会社の
同業他社比較を実施していた際に、
ベンチマークの1つにした会社でしたので、
個人的には、懐かしい思いで、
同社の有価証券報告書等を今回確認してみました。

 

10年前の記憶はあまり残っていませんが、
当時より企業としての規模が拡大しているように感じます。

直近の決算短信(平成28年5月期)によると、
同社のグループ業績は、

———————————–
グループの連結売上高:約600億円
グループの営業利益:約30億円
———————————–

といった感じです。

 

年度によってはブレはあるものの、
比較的、毎年、安定的に数字を
残している印象です。

一方で、ここ数年は、
グループ売上高もグループ営業利益も
どちらかというと「伸び悩んでいる」ようにも感じられます。

 

おそらく、
今回のホールディングス化の背景にも少し記載がありましたが、
中国の人件費が上がってきたこともあり、
利益率の確保が難しくなってきているのかもしれません。

確かに「アパレル不況」の様子も
各所で聞くことが多くなりましたし、
今後は業界における企業競争力を強めていかなければ、
生き残っていくのが難しい時代なのかもしれません。

 

そして、ホールディングス化の目的の1つに
「経営構造変革への対応」
という項目を掲げられていましたが、
そのなかで、以下のような趣旨の文章がありました。

————————————–
婦人服専門店業界においては、
将来的に市場規模の縮小が見込まれているため、
業界内外を巻き込んだ事業再編や企業買収などが
活発に行われる可能性も少なくない
————————————–

 

今後生き残りをかけて、
業界再編としてのM&Aが活発化されることを
予想されているのだと思います。

 

たとえば、他業界に目を向けてみると、
ドラッグストア業界の場合は、
M&Aや事業提携で拡大していくことが
生き残っていくための唯一(?)の道という感じで、
合併やM&Aが活発化している印象があります。

そのような背景もあってか、
ドラッグストア業界はホールディングス化している割合が
他業界に比べて高いように感じています。

 

そう考えると、

—————————–
ホールディングス化が多い業界
=M&Aや業界再編の可能性が高い業界
—————————–

という図式が成り立つような気がします。

 

アパレル業界は、
もともとマルチブランド戦略のもと、
ホールディングス化している企業も多いですが、
これからは、もっと業界再編が進み、
ホールディングス化していく企業が増えるのかもしれません。

どうなのでしょうか??

★★★★★★★
業界再編に対応できる
組織デザインになっていますか?
★★★★★★★

 

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