記事一覧

【事例】日本コンベヤ③(NCホールディングス株式会社)

Pocket

※平成28年4月1日にNCホールディングス株式会社より適時開示されている「「NCホールディングス株式会社」設立および持株会社体制移行後のグループ経営体制のお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

ホールディングス化後のグループ経営体制

概要

●平成28年4月1日より持株会社体制へ移行した。

●親会社(ホールディングカンパニー)として、
NCホールディングス株式会社が設立された。

株会社制移行後のグループ経営体制

●グループ経営を担う機能を、
コンパクトな体制の下で運営を行っていく。

●以下の3社を中核事業会社とした
グループ経営体制で企業価値の最大化を目指していく。

①日本コンベヤ株式会社(各種大型コンベヤ関連事業)
②エヌエイチパーキングシステムズ株式会社(立体駐車装置関連事業)
③キャリアスタッフネットワーク株式会社(ソフトウェア開発事業・一般労働者派遣事業)

グループ各社の組織体制

●NCホールディングス株式会社(ホールディングカンパニー)

NCHD(1)

●日本コンベヤ株式会社(各種大型コンベヤ関連事業)

NCHD(2)

●エヌエイチパーキングシステムズ株式会社(立体駐車装置関連事業)

NCHD(3)

●キャリアスタッフネットワーク株式会社(ソフトウェア開発事業・一般労働者派遣事業)

NCHD(4)

 

レビュー

過去に
【事例】日本コンベヤ①
【事例】日本コンベヤ②
で取り上げさせていただいた同社の
ホールディングス化ですが、
ホールディングス化後の組織体制が開示されていましたので、
今回は参考として確認してみたいと思います。

 

以前の開示内容のなかで、
ホールディングス化の目的は以下の3つである、
と宣言されていました。

——————————————-
①機動的なM&Aによる事業の多角化
②グループ全体の競争力の向上
③コーポレートガバナンスの強化
——————————————-

 

今回は開示されたグループ組織体制をもとに、
グループ組織デザインについて考えてみたいと思います。

 

まず「ホールディングカンパニーの組織図」は以下の感じです。

NCHD(1)

以下の3つの部から構成されていることが分かります。

(A)経営企画本部
(B)管理本部
(C)関連企業管理本部

 

管理・企画系の業務に
集中している印象ですので、
ホールディングカンパニーは、
グループ経営機能に特化している印象です。

 

もともとの開示内容でも

————————————
●持株会社:経営機能に集中
●グループ各社:自らの権限と責任のもと事業遂行に専念
————————————

というメッセージでしたので、
その通りに組織体制もデザインされている印象です。

 

ただ、上記のうち
「(C)関連企業管理本部」
については、
事業子会社のために
どこまでの管理機能を有するかが
定かではありません。

広くとらえると、
シェアードサービス機能を有している、
とも解釈できます。

 

実際のところはわかりませんが、
手がかりをさぐるため、
次に各事業子会社の組織体制の方も
確認をしてみたいと思います。

まず主力2事業を運営する
・日本コンベヤ株式会社(各種大型コンベヤ関連事業)
・エヌエイチパーキングシステムズ株式会社(立体駐車装置関連事業)
の組織図はそれぞれ以下の感じです。

●日本コンベヤ株式会社

NCHD(2)

●エヌエイチパーキングシステムズ株式会社

NCHD(3)

 

この組織体制を見る限りは、
いずれの事業子会社においても、
管理部門も含めて事業に関する一連の業務で
構成されています。

この2社における管理部門が
どこまでの管理を守備範囲としているかは定かではありませんが、
各事業に関連する「経理」「人事」「総務」といった
広い意味での管理機能を有しているのではないかと推測します。

 

その理由としては、
もう1つの事業子会社である
・キャリアスタッフネットワーク株式会社(ソフトウェア開発事業・一般労働者派遣事業)
の組織図(下図)では
「管理部」という表現が無いからです。

●キャリアスタッフネットワーク株式会社

NCHD(4)

 

上図では「総務部」という表現があります。

ここから読み取るに、
「経理」や「人事」といったその他の業務は、
有していない可能性があります。

 

その場合、
どこかが「経理」「人事」機能を
請け負うことになるはずですが、
他の事業子会社である
・日本コンベヤ株式会社
・エヌエイチパーキングシステムズ株式会社
が請け負うことは考えづらいです。

そう考えると、
ホールディングカンパニーの
「関連企業管理本部」
が請け負う可能性が高いのではないか、
と想像してみました。

 

同社の有価証券報告書の
セグメント情報を見る限り、
3つある事業子会社のなかでも、
キャリアスタッフネットワーク株式会社の事業規模は、
他の2つの子会社と比べて、
かなり小さいようです。

そのため、
管理機能の役割も
他の子会社2社と比べて少ないことから、
ホールディングカンパニーで
シェアードサービス的に請け負っていくのかもしれません。

 

ここからはさらに勝手な推測ですが、
今後ホールディングカンパニーの
「関連企業管理本部」では、
少しずつシェアードサービス機能も強化していき、
いずれは、主力2事業の子会社の
管理機能も引き取っていくのではないか?
と想像します。

 

このように、
グループ組織デザインを変更する際には、

——————————————————-
まず影響度・リスクの低いところからトライアル的に変更していき、
そこで「小さな成功」を確認できたら、
徐々に理想のデザインへ近づけていく
——————————————————-

というアプローチが実務的には良いと思います。

 

上記では、
「事業子会社⇒ホールディングカンパニー」
の方向の管理機能移管について
推測を交えて記載をしてみました。

一方で、逆の方向である
「ホールディングカンパニー⇒事業子会社」
の方向の機能(事業)移管の事例としては
先日お伝えした下記の事例がありますので参考までに。

参考:「【事例】株式会社SCREENホールディングス

 

今回はいつもにも増して推測要素が多かったですが、
グループ組織デザインからは、
社長としての、また会社としての意志が伝わってくるので、
たとえ勝手な推測であったとしても
分析してみると興味深いものです。

★★★★★★★
終わりは、始まり。
ホールディングス移行が完了したら、
次はどこを目指しますか?
★★★★★★★

関連記事