連結グループ経営を実践するうえで
社長にも知っておいていただきたい用語の解説です。

ストックオプションには無償と有償がある

今回は、
ストックオプションの種類について、
お伝えしたいと思います。

ストックオプション(新株予約権)には、
大きく分けて、
①無償発行
②有償発行
の2つに分類できます。

つまり、
ストックオプションを
役員や従業員へ「タダ」で与えるのか、
それとも、
役員や従業員にお金を払ってもらって与えるのか、
の違いです。

一般的に、
「ストックオプション」
というと、上記①の「無償(タダ)」で
発行するケースを指すことが多いと思います。

そして一見、
「タダ」で与えた方が、
役員や従業員にとっては得なように思います。

それなのに、
なぜ「無償」と「有償」があるのでしょうか?

これは、
諸事情により「有償」の方が、
税金的な側面で、
メリットがあると考えられる場合があるからです。

この「諸事情」を、
本当にざっくりではありますが、
今回は説明をしたいと思います。

社長として簡単なイメージだけでも
持っておいていただければと思います。

無償のストックオプション

まずストックオプションの発行を考える際、
一般的には「無償」で発行できないかを検討します。

たとえば、
・現在の自社株式の評価:100円(実際の現在の株式評価額)
・将来、株式上場時の株価の見込み:1,000円(将来の理想株価)
の状況があったとします。

この状況で
「権利行使価格(将来の購入予約価格):110円」
のストックオプションを無償(タダ)で発行したとします。

数年が経ち、
実際に株式上場が実現し、
社長もストックオプションを行使する場面を
考えてみてください。

予想通り株式市場で
1,000円の株価が付いた際には、
保有しているストックオプションの権利を行使したい、
と考えると思います。

ストックオプションの権利を行使することで、
株式市場では1,000円の価値がある株式を
110円という予約金額(権利行使価格)で、
購入できますので。

ただ、権利行使して110円を払っただけでは、
株式が手元にある状態になるだけで、
まだ「含み益」の状態です。

今回の場合、含み益金額は
「890円(1,000円-110円)」
となります。

市場で株式を売却せずに株式を保有し続けていると、
もしかしたら、さらに株価が上昇するかもしれませんし、
逆に株価が下落するかもしれません。

実際に株式を市場で売却したら、
売却代金が入ってきて、
この「含み益」が「実現益」に変わり、
利益が確定します。

したがって、
ストックオプションを権利行使をして
安価で株式を手に入れることと、
いつのタイミングで売却するかどうかは、
別の問題となります。

いずれにしても、
予定通り株式上場ができ、
また株価も順調に上がれば、
とてもメリットのあるのがストックオプションなのです。

ストックオプションにも税金という問題が・・・

ただ、ここで1つ注意が必要な論点が出てきます。

それは「税金」です。

基本的には、
ストックオプション制度を活用した場合にも、
株式で利益を得たのであれば、
税金がかかってきます。

仮に税率が20%だとします。

そうした場合、
今回のケースでは、
いつのタイミングで、いくらの税金が
かかるのでしょうか?

実はストックオプションの場合には、
権利行使をして含み益が発生したタイミングで
課税がされることになるのです。

つまり、
「含み益:890円(=1,000円-110円)」
に対して20%を乗じた
「178円(=890円×20%)」
の税金がかかるのです。

これは結構大きな問題です。

なぜかというと、
権利行使をしただけでは、
まだ「含み益」の状態であり、
1円も現金収入が無いにもかかわらず、
先に税金の支払いが必要になってくるからです。

当然、手に入れた株式を
即座に市場で売却すれば、現金収入が入りますが、
実際にはすぐに売却ができる状況とは限りませんし、
また将来の値上がりを期待すれば、なおさらです。

税制適格ストックオプション

そこで、このような
含み益への課税をしない制度として、
「税制適格ストックオプション」
という仕組みがあります。

複雑になるので詳細は割愛しますが、
「含み益」の段階では課税をせずに、
実際に株式売却して「実現益」になったタイミングで課税をする、
というストックオプションです。

但し、
この税制適格ストックオプションの仕組みを
活用するには、
・権利行使価格の制約
・権利行使期間の制約
といった条件が厳しくなります。

常にこのような条件を満たせる
ストックオプションを発行できるとは限りません。

なぜ「有償」ストックオプションがあるのか?

となると、
この「含み益」に対する課税を
回避する手段は、もう無いかというと、
もう1つ手段があります。

それが、
「有償ストックオプション」
という道です。

つまり、
ここまでは「無償(タダ)」で
ストックオプションを役員や従業員に
付与することを前提にしていました。

一方で、
ストックオプションを「有償」の形にして
役員や従業員に買ってもらえば、
上記のような「含み益」段階での課税は
回避できる仕組みになっています。

有償ストックオプションの場合には、
実際に株式を売却した段階で
課税がされることになります。

「有償」というと、
少し損をするような印象があるかもしれませんが、
トータルの税金を考えた場合には、
実は必ずしもそうとは限りません。

複雑になっていくので、
ここでは詳細説明を省略しますが、
実は所得が多い社長は、
税金面で考えると、
どのストックオプションを活用するかが
とても重要だったりします。

せっかくのキャピタルゲインですので、
できれば制度を上手く活用して節税をしたいところです。

まとめ

つまり、
ストックオプションには、
●無償ストックオプション(通常)
●無償ストックオプション(税制適格)
●有償ストックオプション
の3つの選択肢があり、
それぞれにメリット・デメリットがある
ということです。

社長としては、基礎知識として
ストックオプションの概要と
上記の3種類があることくらいを
頭の片隅に入れておいていただければと思います。

さらに気になる場合には、
詳細を、顧問税理士や専門家に
確認をしてみてください。