前回の続きとなります。

本当に可能かどうかは置いておいて、
私なりに回答を考えてみました。

ワーク内容

<ワーク①>
もしご自身が店長だったとして、
プライベートなことでどうしてもお金が必要だとします。
売上の中から少しだけお金を着服しようと考えてみてください。
どのような手法が可能でしょうか?

<ワーク②>
仮にお金を着服できる手法が思いついたとして、
1ヵ月あたり、どれくらいの金額なら
会社にバレずに着服が可能でしょうか?

回答例A

<①について>
レジから現金を抜き取り、
実態の無い返品・訂正のレジ入力をして、
返品があったように見せかける。

<②について>
毎日3,000円×30日=9万円/月

回答例B

<①について>
店長権限で、
仕入業者から少しだけ高い金額で購入し、
個人的なキックバック
仕入業者から受け取る。

<②について>
1日の売上が30万円で原価率が50%とすると、
1日当たりの原価は15万円となる。
少し高めの金額で商品を業者より仕入れることで、
1日当たり原価の1%程度はキックバックを受けるとする。

そうすると、
毎日1,500円×30日=4.5万円/月

補足解説

ワークはいかがでしたでしょうか?
いろいろな回答事例が考えられると思います。

もしかしたら
「このよう不正は長く続けられない」
「いずれバレる」
と思われたかもしれません。

確かに、
不正はいずれ気づきます。
どこかで不整合が出てくるからです。

今回の事例ですと、
在庫が合わなくなったり、原価率が高くなったり、
といった不整合が出てきます。

但し、
「いずれ」では遅い場合があります。

気づいた時には、
店長は退職しているかもしれません。

また、
不正に気づいた時点で、
まだ店長が社内にいたとしても、
お金をもっていなければ回収できません。

ですので、
基本的な考え方としては、
「不正が起きた場合には、
タイムリーに気づける社内の仕組み」
が必要だということです。

この仕組みこそが、
「内部統制」
の大きな役割の1つです。

このような内部統制の仕組みがあれば、
不正自体が起こりづらくなり、
社内不正を未然に防ぐ効果につながります。

ちなみに、
偶然気づく、といったものでは、
再現性がなく意味がありません。

Vol.27(2)

内部統制は「仕組み」であり、
再現性をもって社内不正を防止する機能です。

具体的には、
ダブルチェックを増やすとか、
社内の承認行為を明確にするとか、
といった仕事が増えます。

また、
職務分掌や権限の設定についても、
見直す必要性が出てきます。

このような
内部統制の仕組みの必要性をお話しすると、
「当社にはそのような社員はいない」
「社員を信じていますから」
と言って、
「内部統制の仕組みは不要」
だと主張される経営者もいらっしゃいます。

社員を信じることは重要なことですし、
否定すべき点はありません。

但し、社員を信じることと、
不正防止の内部統制の仕組みを構築することは、
決して相反することではありません。

個人的には、
「社員を信じているから内部統制は不要」
というのは、
経営者としての言い訳のような印象があります。

もし社員を信じているのであれば、
なおさら内部統制の仕組みを構築しておいた方が
良いと思います。

Vol.53(2)

内部統制の仕組みは、
確かに面倒な手続きは増えます。

ただ、現場の社員からすると、
「不正を防止したりする仕組みがあった方が安心する」
といった声も実はあったりします。

不正が起こりづらくなる、
ということは、
社員が不要な疑いをかけられる可能性も
少なくなるからです。

そう考えると、
そもそも不正が起きないような仕組みを
社内環境として構築しておくことは、
経営者として重要な「姿勢」だと思います。

この「姿勢」が
会社や経営者への信頼につながり、
社員が誇りを持って働ける会社に
つながっていくからです。

Vol.15

そう考えると、
内部統制の仕組みを構築することの
煩雑さやコストは安いものです。

内部統制への取り組みは、
経営者としての「姿勢」を表すものであり、
社員へのメッセージのようなものです。

社内不正を防止するための
管理監督機能を強化することになりますが、
これは決して、
社員を疑う仕組みではありません。

逆に、
社員を守るための仕組みと
考えていただきたいと思います。

自社の社員を守るために、
どのような内部統制の仕組みが必要になるのか?

このような視点で、
経営者として内部統制の仕組み構築にも
取り組んでいただきたいと思います。