最近、上場会社の
適時開示情報を見ていると、
ホールディングス経営に移行している事例が
本当に多いと感じます。
上場会社ではホールディングス化が
流行っているようです。
但し、
ホールディングス経営は
上場会社や大きな会社だけのものではなく、
小さな会社や中小企業にとっても
とても有効な組織デザインだと思っています。
ですので、
先行している上場会社の事例から
学べる部分は学び、
小さな会社や中小企業も
どんどん応用し、適用していった方が
よいと思います。
ということで、
今回は上場会社である不二製油が
先日開示していた事例をもとに
書いてみたいと思います。
2015年5月22日付の
不二製油の開示情報では、
ホールディングス化についての
背景と目的が書かれていました。
(詳細は「【事例】不二製油」を参照)
この不二製油の開示資料によると、
ホールディングス移行の目的の1つに
「経営人材の育成」
という点が挙げられていました。
なぜ、ホールディングス経営に移行すると、
経営人材の育成につながるのでしょうか?
本当に経営人材の育成になるのでしょうか?
具体的な事業を行う子会社への
権限委譲が進むことにより、
各子会社で経営人材が育つということでしょうか?
不二製油の場合、
どのような意図で「経営人材の育成」と
表現していたかの真意はわかりません。
私個人の意見としては、
「ホールディングス経営へ移行=経営人材の育成」
という公式は成り立つと思っています。
但し、これは、
権限委譲された子会社側というよりは、
ホールディングカンパニー側の議論として
考えた方がしっくりきます。
つまり、
ホールディングス経営への移行と
子会社側で経営人材が育つかどうかは、
それほどリンクしないと考えます。
なぜならば、
別にホールディングス経営の形でなくても、
子会社へ権限委譲はできるので、
ホールディングス経営が必須とはいえないからです。
それでは、なぜ
「ホールディングス経営へ移行=経営人材の育成」
になるかというと、
「ホールディングカンパニー側において経営人材が育つ」
と考えるからです。
ホールディングカンパニーは、
グループ経営の頭脳として、
グループ内でリーダーシップを発揮して、
各事業子会社を引っ張っていく必要があります。
そのためには、
経営全般のことを理解し、
人や組織を動かしていく能力を
磨いていくことが求められます。
ホールディングカンパニーでは、
それが本業の仕事であり、
これをやり遂げることで
法人としての存在意義が出てきます。
そして、
このような能力は、ずばり
「経営において必要とされる能力そのもの」
と言っても過言ではありません。
つまり、
ホールディングス経営という形をとることで、
ホールディングカンパニーにおいて、
経営人材が育つ環境が出来上がるのです。
当然、
ホールディングス経営の全体のデザインは、
経営者自らが実施する必要があります。
但し、
実際にホールディングス経営の仕組みを構築し、
機能するように実務面でフォローし続けるのは、
経営者の右腕である経営人材であり、
ホールディングカンパニーの社員といえます。
この仕組みを構築し、動かしていく、
という業務はとてもハードルが高い業務ではありますが、
これにチャレンジしていくことで、
経営人材としての能力が格段にアップしていくはずです。
たとえば、
現場のエースをマネジメント層へ引き上げる際に、
あえてホールディングカンパニーの人材にしたうえで、
ホールディングス経営の仕組みを作る役割を
与えるという方法もあると思います。
現場のエースがいなくなること自体は、
各現場にとってマイナスかもしれませんが、
グループ全体の将来を考えると、
良い手法の1つだと思います。
このように、
ホールディングス経営への移行は、
後継者育成や、経営人材育成に必要な環境が、
自然と出来上がるという意味で、
とても有効な手法だと思っています。
不二製油の事例が
このような視点で開示をしていたかはともかくとして、
「ホールディングス経営=経営人材の育成」
という公式は成り立つと考えています。