シェアードサービス
前回の記事において、
連結決算業務において解決が難しい論点である、
・勘定科目の統一
・グループ内取引金額の一致
に取り組むためには、
シェアードサービスが有効である旨を
お伝えしました。
理由としては、
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「シェアードサービス」を活用していくことで、
グループ内の業務を標準化していけるから
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です。
グループ経営においては、
いろいろな登場人物が、
いろいろな立場でものを考え、
発言し、行動するため、
放っておくとバラバラになりやすい傾向にあります。
そのため、
意識的にグループ内に
「業務の標準化」
の意識を植え付けていかなければ、
後々大変になってくるでしょう。
逆にきちんと「業務の標準化」を
グループ内で浸透していければ、
・勘定科目の統一
・グループ内取引金額の一致
が容易になってくるはずです。
現場も戸惑うシェアードサービス化
とくにグループ経営の場になると、
必ずと言ってよいほど
「シェアードサービス」
の概念が議論されるようになります。
なかでも、
コスト削減を意図した
シナジー効果という視点で議論されることが
一番多いように思います。
連結グループ経営においては、
グループ内でシナジーを生み出すことが
重要なテーマとなりますが、
シェアードサービスによってコストメリットを出す手法は、
最もオーソドックスな手法と言って良いのかもしれません。
そのため、総論としては、
シェアードサービス化に反対する経営者は
基本的にいらっしゃらないのではないでしょうか。
実際のグループ経営の現場でも、
「今度、グループ内の●●の業務を
□□部門が一手に引き受ければ効率が上がるのでは?」
「シェアードサービス化できるように、△△さん、考えておいてよ」
といったようなコメントは
本当によく発せられています。
ただ、現場に任せていては、
実際にシェアードサービス化は進んでくれません。
現場主導ではシェアードサービス化が実現されない理由
実際に現場主導では、
シェアードサービス化は進まないことがほとんどです。
理由はいくつかあると思います。
たとえば、
①日常業務に追われている
②自分の業務を変えることになるのが気が進まない
③自分の仕事が増えるのではないかとけん制する
④自分の仕事が無くなるのではないかと不安になる
といった感じです。
人間誰しも変化を余儀なくされる場面では、
抵抗心を感じるものです。
上記②~④については、
「社員の気持ち」
に関連する部分ですので、
合理的なことであっても、
きちんと配慮して説明をしていかなければ、
なかなか動いてくれるまでには至りません。
また、上記①については、
単純に「時間」の問題が論点になります。
新しい形に変えていくには、
それなりに現状調査も必要ですし、
新たなアイデアも必要になります。
このようなことに対応するための時間を
きちんと捻出するところまで
会社として計画的に取り組まなければ、
日常業務に忙殺されている状況は変わらず、
いつまで経っても、新しい形には変わっていかないでしょう。
社長としても、
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社員は、常に
緊急な仕事に追われている
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という大前提があることを、
所与の事実として受け入れる必要があります。
この前提を省略したうえで
どれだけ画期的なアイデアを出しても、
実行には移されないと考えた方がよいです。
「日常業務が忙しくて時間がないのですが・・・」
総論としては反対されることが少ない
シェアードサービス組織づくりですが、
●社員の気持ち
●日常業務とのバランス
の2つを手当してからでなくては、
実際に実行されるようにするのは難しいとうことです。
社員が納得して
シェアードサービス化に協力してくれるには、
やはり「総論」ではなく
「各論」でお話をしなければ、
難しいでしょう。
その前提として、
現状の社員の業務をきちんと観てあげて、
評価してあげられていることが不可欠なように思います。
今の現場実務を見る努力をせず、
総論だけで納得させるのは無理があるでしょう。
また、日常業務とのバランスについても、
あらゆる検討の大前提として常に一体で
議論をする必要があります。
「日常業務が忙しくて、できない」
このような言葉を言われた時に、
どう返答できるのか。
経営者として決めておく必要があります。
「その業務はやらなくて良い」
「その業務は短期派遣を使ってお願いする」
「その業務は●●にやってもらう」
状況によっていろいろな回答があると思いますが、
明確に即答できるようにしておくことが重要です。