記事一覧

【用語】オーナー社長のための資産管理会社③(メリット2/4)

Pocket

資産管理会社のメリット(前回のレビュー)

資産管理会社は、
オーナー自身のため、家族のために
①オーナー及び家族の「節税」
②オーナー企業の「株式分散の防止」
の2つの目的で、
活用されることを前回お伝えしました。

このうち①の「節税」という視点では、
・所得税(オーナー個人)
・相続税(オーナー家族)
の2つの税金を意識したものであることも
前回お伝えしました。

そして、
前回は「所得税(オーナー個人)」の視点の
解説がメインでしたので、
今回は「相続税(オーナー家族)」の視点について
簡単にお伝えしたいと思います。

相続税はどのように計算される?

相続税は、
相続される財産に対して税金が
課せられます。

難しい話を抜きにすると、
「相続財産の評価額(時価)× 相続税率」
という計算で税金が計算されます。

たとえば、
預金3億円、土地1億円(時価)を
相続する場合には、
「(3億円+1億円)×50%=2億円」
といった計算イメージです。

ここでは、
社長にイメージをしていただくことが主目的ですので、
とても簡便化しています。

実際の計算では、
各種控除や税率の違い等もあり、
金額は変わります。

まずは、計算のポイントとしては、
・相続する財産の価値がいくらであるか?
・税率はいくらになるのか?
の2点と考えていただければと思います。

相続税率は?

相続税の税率は、
所得税と同じように累進課税となっています。

そのため、
相続する財産の価値が大きければ大きいほど、
相続税の税率も高くなる仕組みです。

相続する財産価値に応じた税率は、
以下のようなイメージです。

<相続税の税率>
1,000万円以下:10%
3,000万円以下:15%
5,000万円以下:20%
1億円以下:30%
2億円以下:40%
3億円以下:45%
6億円以下:50%
6億円超:55%
(2015年7月27日現在)

オーナー家族間で資産移転するだけで、
最高55%も税金を支払わなければいけなくなる
という仕組みです。

但し、税率は自分で
変えられるものではありません。
日本で生活する以上、
受け入れなければいけない現実です。

一方で、
相続する財産の中身については、
事前に対策をすることで、
自分で変えていけるものです。

たとえば、
現金や預金のような時価が明らかなものから、
別の財産(たとえば不動産等)に
資産構成を変えておくと、
相続税計算上の評価額を下げたりすることは、
十分に可能です。

相続する財産の価値とは?

前述のとおり、
相続する財産の価値は、
その形態によって考え方が異なります。

たとえば、
預金や上場株式といった時価が明らかなものは、
そのまま時価で評価をされます。

一方で、
不動産等は時価が明らかとはいえないため、
時価の計算方法等が法律で定められています。

一般的には、
現金や預金といった資産を相続するよりは、
不動産という形に変えて相続する方が、
相続税計算上の評価額は下がり、
相続税が小さくなります。

おそらく、
「不動産を活用した相続税の~」
みたいなお話を
耳にされたこともあるのではないかと思います。

ただ、
今回はあくまで「資産管理会社」の
お話がメインですので、
資産管理会社におけるポイントに
話を戻したいと思います。

直接所有から間接所有へ

オーナーの個人資産を
法人(資産管理会社)へ移転することで、
所得税の面で有利になるお話を、
前回お伝えいたしました。

そして、
相続税という意味でも
オーナー個人が資産を保有するよりは、
法人(資産管理会社)として保有しておく方が
有利になるケースが多いです。

たとえば、
オーナーの個人の資産が、
①オーナー社長としての法人の株式
②不動産
③預金
の3つだったとします。

もし資産管理会社を設立した場合には、
①②を資産管理会社へ
移転するようなイメージになります。

そうすると、
オーナー個人の資産は、
③預金
④資産管理会社の株式(この法人が①②を保有)
という形に変わります。

つまり、
オーナー個人が保有していた資産の一部を
資産管理会社を通じて保有する、
「間接保有形式」
に変える、ということです。

当然ですが、
相続する財産も、
「①②③」ではなく、「③④」になります。

このように
直接保有形式から間接保有形式に変わると、
どうなるのでしょうか?

詳細は複雑になるため割愛したいと思いますが、
個人の資産を間接保有にした方が、
直接保有の場合と比べて、
相続税計算上の評価額を下げることができます。

結果的に、
相続税を下げることができます。

家族のために相続対策

個人的には、
相続対策ばかりに
気を取られるべきではない、
という思いがあります。

経営が軌道に乗るまでは、
やはり経営の方に集中をしていただきたいと思います。

相続税だけがすべてではありません。
後継者への事業承継の方が
本質的には重要なテーマです。

一方で、
相続税を支払う家族のことを考えると、
無策であるのも良くないと思います。

経営が軌道に乗り、
オーナー社長としての分配も増えてくる時期になれば、
少しずつで良いので、
後継者対策(事業承継)や相続といった
将来のことも考えていっていただきたいと思います。

次回予告

資産管理会社による「節税」の
まとめと補足について、
次回お伝えできればと思います。

関連記事