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【用語】有価証券報告書

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連結グループ経営を実践するうえで社長にも知っておいていただきたい用語の解説です。

解説

株式上場をすると、
いろいろな書類の開示・提出を
要求されます。

企業としては、
本来出したくない情報であっても、
開示せざるを得ない場合もあります。

上場することの代償として、
「ガラス張り」
になるという窮屈さが発生してしまいます。

初めて株式上場に取り組む社長は、
株式上場に係るコストが多くかかること、
とともに、
このガラス張りの窮屈さに驚かれます。

それまでオーナー社長として、
自分の思い通りに経営をしていた社長の場合には、
なおさらです。

但し、
もし将来株式上場を考えている場合には、
このような「ガラス張り」である状態を
プラスに考えていただければと思います。

人間でも組織でも、
自分、自社を律するためには、
「誰かに見られている状態」
にすることが効果的ですので。

ということで、
ガラス張りとなる上場企業の
開示書類の最たるものが、
「有価証券報告書」
になります。

年1回、財務局へ提出をして、
公に開示をする必要があります。

ここで記載される内容を、
ざっくりご紹介すると、
①業績
②会社の事業内容
③グループ会社の情報
④会社の沿革、従業員情報
⑤会社の設備情報
⑥株主等の情報
⑦抱えている課題やリスク情報
⑧大口取引先の情報
⑨部門別(セグメント)の損益の情報
⑩オーナーとの取引内容
といったような情報です。

この有価証券報告書を確認することで、
会社の概要をつかむことができます。

なかには、
積極的にアピールしたい項目も
あるかもしれませんが、
できる限り「触れてほしくない」といった情報も
あると思います。

どのような情報であれ、
法律で定められている項目を
正確に開示することが求められます。

上場会社の宿命だと思ってください。

一方で、
他社を研究するという視点では、
有価証券報告書は、
とても有効な分析・研究資料になります。

私も
情報を知りたい上場会社を研究する際には、
過去数年の有価証券報告書を確認します。

ライバル会社の研究に使えるだけでなく、
営業したい会社の情報収集としても
活用できるはずです。

そのため、
自社を上場させるかどうかは別としても、
同業他社や顧客企業の
有価証券報告書を分析する力をつけることは、
企業内の有用なノウハウになるはずです。

念のため、
有価証券報告書を閲覧する手順を
お伝えしておきますと、
以下の通りとなります。

<有価証券報告書を確認する手順>
手順1)インターネットで「EDINET」と検索する。
手順2)「EDINET」にアクセスする。
手順3)トップページにある「書類簡易検索」をクリックする。
手順4)ワード入力欄がでるので、調べたい会社名を入力し「検索」ボタンを押す。
手順5)調べたい会社の提出書類一覧が表示されるので、クリックすれば確認できる。

とても簡単ですので、
是非一度試してみてください。
百聞は一見にしかずです。

ちなみに、
上場会社では、年に1回、
この有価証券報告書を開示しますが、
別途、四半期ごと(年3回)に
「四半期報告書」
という書類も提出が必要です。

有価証券報告書の簡易版と
考えていただければと思います。

1年中(四半期ごと)
業績を公表する必要がある、
ということですね。

このように
上場会社になるということは、
窮屈に思える場面が増えるかもしれません。

ただ結果的には、
このような「ガラス張り」状態にあることで、
自分、自社に厳しく行動でき、
成長をしていける、
というメリットは必ずあるはずです。

オーナー個人経営からの
組織的な経営へ発展させる
「きっかけ」
として株式上場を活用する、
という考え方もありだと思います。

いずれにしましても、
社長であれば、
同業他社、顧客会社の
有価証券報告書を見る習慣を
身に付けていただきたいと思います。

必ず、その努力に対する
「リターン(気づき)」
があるはずです。

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