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Vol.69 グループ内共通言語としての連結パッケージ

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グループ経営を実践し、
強いグループ組織にしていくには、
連結決算の仕組みが必要であることは、
これまでもお伝えしてきました。

Vol.68 海外進出と連結決算の仕組み」では、
海外展開をしていくうえでも、
連結決算の仕組みが不可欠であることを、
お伝えもしました。

連結決算の仕組みを構築して、
グループ内のベクトルを合わせ、
グループ最適になるような経営ができれば、
永続するグループ組織に近づけていけるはずです。

Vol.10

とはいえ、
実際にはグループ内の社員の意識を
統一していくのは難しいものです。

1つの会社ですら、
社員の意識を合わせるのは難しい課題ですが、
これが複数の会社になると、
その難しさ何倍にもなります。

漫然と複数会社を経営しているだけでは、
決してグループの中での意識はバラバラのままですし、
一体感は生まれてきまません。

グループ経営者は、
自らの姿勢と、あらゆる手段を使って、
グループ内の意識を合わせていく努力が
求められます。

さらに、
海外に子会社を作ろうとする場合には、
なおさらです。

Vol.20(4)

とくに初めて海外進出する場合には、
その文化の違いに悩まされるでしょう。

私が専門にしている「会計」という分野においても、
海外との文化の違いによる
認識合わせの難しさを常々感じます。

よく
「会計は世界共通でしょ?」
と言われることもあるのですが、
実際にはそれほど簡単なものではありません。

言語の問題もありますが、
実際には多くの場面で、
会計の議論がかみ合わないことがあります。

「会計」という世界は、
複式簿記というルールに従って作られた世界であるため、
全世界で概ね共通の概念があります。

感覚的には、
世界において8割~9割は共通の概念です。

その意味では、
共通概念がかなりある分野だと思います。

但し、
残りの1割~2割程度は、
各国で認識のズレがあるように思います。

割合でいうと、
とても少ない割合ですが、
それでも、
この1割~2割の認識のズレがあるがゆえに、
コミュニケーションを図るのに
膨大な時間を費やしてしまいます。

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そして、
このような「会計の認識のズレ」の根底には、
各国の歴史や文化の違いが存在しているため、
その背景を分かり合えない限り、
完全な意思疎通は難しいといえます。

最近では「IFRS」といって、
全世界の会計のルールを統一しようとする動きもありますが、
表面的なルールだけを統一化するだけでは、
実務上は難しい面があるのも確かです。

ちなみに、
会計とは同じ分野で見られがちな
「税金」の世界ですが、
こちらは、「会計」分野以上に、
国によって本当にバラバラです。

各国の財政や政治と関連するので、
税金のルールが異なるのは当然ですが、
税制についても海外展開にあたっては要注意項目です。

急速にグローバル化が進む経済のなかで、
「会計」や「税金」についても
グローバルなルール作りの動きがありますので、
こちらについては、
また別の機会でお伝えできればと思います。

少し話がそれてしまいましたが、
要は、
将来、海外展開まで視野に入れているのであれば、
なおさら早い段階でグループ経営の軸を作っておかなければ、
グループの意識統一は難しくなり、
一体感の無い、ただの複数会社経営になってしまう、
ということです。

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それでは、
グループ内の意識を合わせていくために
有効な手段はあるのでしょうか?

私はその有効な手段の1つが、
「連結パッケージ」
であると思っています。

連結パッケージについては、
Vol.66 グループ会社の情報を「集める」仕組み
でも書いているので是非参照してみてください。

なぜ連結パッケージが
グループ内の意識統一に有効な手段になるかというと
「連結パッケージ=グループ内共通言語」
になり得る要素が強いからです。

グループ各社が
決められた情報を決まられた形にパッケージングして、
グループ経営者の元へ届ける仕組みです。

Vol.66(3)

連結パッケージという、
目に見えるドキュメントを1つの指針として、
各国の情報を集約する仕組みを作ることで、
自然とグループ社員の目線が合ってきます。

つまり、
連結パッケージが、
グループ内の「定型のモノサシ」になることで、
「グループ内共通言語」
になりやすい性格を有しているのです。

連結決算の仕組みのなかに、
きちんとした形で連結パッケージを組み込むことで、
文化の異なる海外子会社の目線も、
徐々に合わせていけます。

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グループ経営者は是非、
「グループ内共通言語としての連結パッケージ」
の仕組みづくりにトライをしてみてください。

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