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【事例】株式会社モブキャスト

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※平成29年12月20日に株式会社モブキャストより適時開示されている「純粋持株会社体制への移行に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行

開示概要

●平成29年12月20日開催の取締役会において、
平成30年4月1日を目途として純粋持株会社体制へ移行することを決議。

持株会社体制への移行の背景と目的

●モブキャストでは、日本が世界に誇る強力な IP(知的財産権)や
ブランドの新たな価値を創出したコンテンツ展開、
それらを創るクリエイターや企業に対し、これまで培ってきた
「モバイルインターネット領域におけるサービス開発および運営ノウハウ」
を提供することで、グローバルでの事業成長を実現し、
日本のエンターテインメント業界を革新させ、
さらなる発展に貢献することを、重要な戦略と位置付けている。

●その実現のため、2016 年2月19日に
VRを中心としたゲーム開発事業を展開する米国法人エンハンスに投資
2017年4月25日には株式会社モブキャスト・エンターテインメントを設立し、
株式会社松風の持つ投資スキームに関する策定ノウハウと、
モブキャストグループが持つ強みを融合させ、
IP及びエンターテインメントコンテンツの価値と収益力の向上を対象とした
投資運用事業を進めてきた。

●その成果として、2017年4月25日には
EC事業、メディア事業、音楽事業を展開する
株式会社レトロワグラースへの投資が実現した。

●これらの投資運用事業により取得した事業及び既存事業それぞれを成長させ、
グループ企業価値を向上させていくためには、
グループ全体での経営管理体制をより強化されることが重要である。

●そのため、グループの経営機能と事業執行機能を明確にするため
持株会社体制へ移行することを決議した。

●これにより、グループの戦略的マネジメントの強化
経営資源の適正配分を行うとともに、
グループ会社においては、
よりスピーディな意思決定が可能になるとともに
責任と権限がより明確化され、
事業としての競争力や効率性の更なる向上が期待される。

持株会社においては、
・事業領域拡大のための新規投資機能
・人事、財務、IR、監査等のグループ全体の経営機能
・公開会社に必要な機能
を持ち、体制移行後は、グループ全体の経営を統括し、
グループ間の事業シナジー効果を高めグループ全体の企業価値の向上を目指す。

移行方法

●持株会社への移行については、同社を持株会社として存続会社とし、
現在の主力事業であるゲーム事業については新規設立または会社分割による
ゲーム子会社へ承継する計画である。

●また、平成29年12月20日に、
株式会社トムスの株式を取得する基本合意を締結しており、
将来的にトムスが連結子会社となる予定である。

●さらに、株式会社モブキャスト・エンターテインメントの
持分法適用関連会社であるレトロワグラース株式会社株式については、
同社にて株式会社モブキャスト・エンターテインメントより取得し、
同社が直接保有する予定である。

●具体的な移行方法等につきましては、詳細が決定次第改めて開示する。

今後の予定

①取締役会における関連議案の承認:平成30年2月21日(予定)
②定時株主総会における関連議案の承認:平成30年3月23日(予定)
③持株会社体制への移行:平成30年4月1日(予定)

 

Review

今回は「モブキャスト」の事例です。

まず同社のグループ経営の状況について、
確認をしてみたいと思います。

 

もともと2013年に子会社を有することになり、
連結決算会社となった同社ですが、
2016年末ではその子会社も清算し、いったん単体会社になっています。

その後、半年もしない時期の2017年4月には、
モブキャスト・エンターテインメント(新規子会社)を設立し、
IP及びエンターテインメントコンテンツの価値と
収益力の向上を対象とした投資運用事業を進めてきました。

 

そして、今回の持株会社化の決定と同タイミングで、
国内外の自動車レースに参戦する「レース事業」と、
モータースポーツ参戦により磨かれた技術と経験を生かし、
世界に通用するオリジナル部品、用品の企画、開発・販売を行う「商品事業」
行っているトムスという会社を子会社化することを決定しています。

 

つまり、直近の傾向としては、

———————————————-
日本が世界に誇る強力な IP(知的財産権)や
ブランドの新たな価値を創出したコンテンツ展開、
それらを創るクリエイターや企業に対し、これまで培ってきた
「モバイルインターネット領域におけるサービス開発および運営ノウハウ」
を提供することで、
グローバルでの事業成長を実現し、
日本のエンターテインメント業界を革新させ、
さらなる発展に貢献する
———————————————-

という同社の戦略のもと、
事業投資を加速化させている印象です。

 

2016年に約15億円の
エクイティファイナンスを実施していることから、
おそらく、調達した資金を活用して、
有望な事業への投資を実施していく流れがあるものと思われます。

 

その前提を踏まえて、
今回のホールディングス化の背景・目的を見てみると、
納得感のある方向性のような気がします。

 

つまり、

——————————————
投資運用事業により取得した事業及び既存事業それぞれを成長させ、
 グループの企業価値を向上させていくためには、
 グループ全体での経営管理体制強化が重要である。
  ↓
●そのためには、
 グループの経営機能事業執行機能を明確にする必要がある。
  ↓
ホールディングス化を決定!
  ↓
グループの戦略的マネジメントの強化経営資源の適正な配分を行う
  ↓
●グループ会社においては、よりスピーディな意思決定が可能になり、
 責任と権限がより明確化され、事業競争力や効率性が向上する。
——————————————

という流れです。

 

ちなみに、持株会社においては、

————————————–
・事業領域拡大のための新規投資機能
人事、財務、IR、監査等のグループ全体の経営機能
・公開会社に必要な機能
————————————–

を有するデザインとのことです。

 

そして、出来上がりのグループ組織デザイン
以下の感じのようです。

同開示資料より

 

今後どのような展開になっていくのか、
注目したいところです。

 

★★★★★★★
調達資金の有効活用と
ホールディングス化
★★★★★★★

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