※平成28年12月26日にサイオステクノロジー株式会社より適時開示されている「会社分割による持株会社体制移行及び子会社(分割準備会社)の設立に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行

開示概要

●平成28年12月26日開催の取締役会において、
平成29年7月1日(予定)を効力発生日として
会社分割の方式により持株会社体制へ移行すること、
及び平成29年2月2日(予定)に分割準備会社として
100%出資の子会社(分割準備会社)を設立することを決議。

●平成29年2月16日(予定)を目処に、
分割準備会社との間で吸収分割に係る吸収分割契約を締結する予定。

●持株会社への移行は、
平成29年3月29日開催予定の定時株主総会の関連議案の承認
及び所管官公庁等による許認可が得られることを条件として実施する。

持株会社体制移行の背景

●グループは、革新的なソフトウェア技術を追求し、
世界のIT 産業に影響力のある存在「インフルエンサー」となって価値を創造し、
社会の発展に貢献するべく、中期経営戦略で掲げた
・「Fintechを含む新たな領域での新規事業創出
・「継続的な研究開発投資
・「コアビジネスの競争力強化
を基本戦略としてグループ全体で取り組んでいる。

●これらの戦略遂行を加速し、
グループが今後さらなる成長を実現していくためには、
各事業において環境変化への対応力を高めるとともに、
グループ全体の企業価値を最大化する経営体制を構築する必要があると考え、
持株会社体制へ移行することを決定した。

持株会社体制移行の目的

(1)グループ戦略機能及びガバナンス・コンプライアンス機能の強化
持株会社体制への移行により、
グループ全体の経営戦略立案機能及びガバナンス・コンプライアンス機能を
経営資源の最適配置を図りながら強化する。
このため、グループ内のバックオフィス機能を持株会社に集約し、
これまで散在していた共通の業務やシステムを標準化・集約化を図り、
コスト面も含めグループ価値の最大化を追求していく。

(2)各事業会社の持続的成長
各事業会社において、
市場環境の変化に対応した迅速な意思決定を可能とする
機動的かつ効率的な事業運営により、
それぞれの業態に応じた一層の成長を図っていく。

(3)M&Aの加速
既存事業の持続的な成長と収益力の強化に加え、
既存事業で培った技術基盤を生かした新たな事業領域への進出可能性を追求し、
革新的なテクノロジーの活用による収益モデルの多様化
新規ビジネス機会の創出を加速していく。

持株会社体制への移行方法

●同社を分割会社とする会社分割(吸収分割)により、
分割する事業を分割準備会社に承継させる予定。

持株会社体制への移行スケジュール(予定)

①分割準備会社設立承認取締役会:平成28年12月26日
②分割準備会社の設立:平成29年2月2日(予定)
③吸収分割契約承認取締役会:平成29年2月16日(予定)
④吸収分割契約締結:平成29年2月16日(予定)
⑤吸収分割契約承認定時株主総会:平成29年3月29日(予定)
⑥吸収分割の効力発生日:平成29年7月1日(予定)

 

Review

今回は「サイオステクノロジー」の事例です。

会社の規模感でいうと(平成27年12月期)、
・連結売上高:95億円程度
・営業利益:▲1億円程度
・グループ会社数:10社(連結子会社&持分法会社)
といった感じの会社です。

 

同社がホールディングス化した背景としては、
グループ中期経営戦略における
・「Fintechを含む新たな領域での新規事業創出」
・「継続的な研究開発投資」
・「コアビジネスの競争力強化」
の3つの基本戦略を、
グループ全体で取り組もうとしていることがあげられています。

そして、上記基本戦略を実践していくためには、
(1)グループ戦略機能及びガバナンス・コンプライアンス機能の強化
(2)各事業会社の持続的成長
(3)M&Aの加速
といったことが必要となり、
ホールディングス化を決断したとのことです。

同社が掲げられている目的は、
オーソドックスな内容とも言えますので、
これ自体に目新しさはないのですが、
従来のグループ経営では、
このような目的を達成していくには、
不十分と判断したのだと思います。

 

そこで、もう少し背景を探るべく、
同社の平成27年3月期有価証券報告書で、
・対処すべき課題
・事業等のリスク
の部分を少し見てみました。

そのなかで、
今回のホールディングス化を決断された背景に
関係しそうな部分を少し抜粋してみました。

 

●対処すべき課題
————————————-
当社グループの主な課題は、
①グローバルでの人材の確保
②グループ経営の強化
③グローバル展開の推進
④コンプライアンス経営の強化
と認識しており、具体的には、次に記載する事項に取り組みます。

① グローバルでの人材の確保
当社グループは、日本国内にとどまらず、米州、欧州、アジア・オセアニア地域等、
グローバルに事業活動を展開しています。
それぞれの地域で更なる成長を実現するためには、優秀な人材の確保が不可欠です。
つきましては、地域に制限を持たず多様な人材の確保を推進してまいります。

② グループ経営の強化
当社グループは、顧客企業のビジネスや業務における課題やニーズに合わせて、
最適な製品・サービスを提供しており、グループ各社の高度なノウハウ・専門性を共有・活用することにより、
グループ全体としてシナジーの最大化を目指しています。
また、グループ内に散在する共通の業務やシステムを標準化・集約化することにより、
コスト増加の抑制に努めており、引き続き、コスト面も含めてグループ価値の最大化を追求してまいります。

③ グローバル展開の推進
当社グループは、米州、欧州、アジア・オセアニア地域の販売網を拡大し、
米国の研究開発を強化することにより、国際競争力を高めます。

④ コンプライアンス経営の強化
以上、①~③を強力に推進する一方で、コンプライアンス経営をより一層強化し、
公正で透明な事業運営の推進に努めます。
————————————-

 

●事業等のリスク
————————————-
⑤当社グループの事業体制について
1)人材の確保について
当社グループが今後成長していくためには、
オープンシステム基盤事業、Webアプリケーション事業において、
次世代を見つめた新しい技術開発が必要であり、
優秀な人材の確保と育成が重要な課題と認識しています。
これまで、当社グループでは、人材の確保を最優先し、
常に適正な人員構成を保つことに努めてまいりました。

しかしながら、万が一、人材採用及び育成が計画通り遂行できない場合には、
当社の事業体制が脆弱になり、当社グループの事業戦略及び業績に
影響を及ぼす可能性があります。

2)特定人物への依存について
当社グループの事業の推進者は、代表取締役社長である喜多伸夫です。
当社グループの経営方針及び経営戦略全般の決定等における同氏の役割は大きく、
当社グループは同氏に対する依存度が高いと認識しています。
現在、事業規模の拡大に伴い、当社グループは経営組織内の権限委譲や人員を拡充し、
経営組織の強化を推進する一方、
事業分野の拡大に応じて諸分野の専門家、経験者を入社させ、
組織力の向上に努めています。

また、日常の業務執行面では執行役員等で構成される
「執行役員会」「経営会議」を設置する等、
日常業務における審議機能をもたせることで同氏個人の能力に
過度に依存しない体制を構築しています。
取締役会においても、IT業界で豊富な経験を持つ方々を
社外から取締役に招聘し、的確な助言を得ています。

今後も、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めるべく優秀な人材を確保し、
役職員の質的レベルの向上に注力していく方針です。

しかし、計画どおりの体制構築及び人材強化が達成される前に、
同氏が何らかの理由で当社グループの経営に携わることが困難となった場合、
当社グループの事業戦略及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 子会社等について
当社グループは、IT産業における市場環境の変化をリードするため、
出資及び企業買収等を行っています。
今後も当社は出資先及び子会社等の保有する技術力・営業・経営ノウハウ等の
経営資源を融合させることにより、新製品・サービスの開発を行い、
更なる業績伸長を目指しますが、出資先及び子会社等の業績不振が、
当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、出資先及び子会社等において事業環境や競合状況の変化等により、
事業計画遂行に支障が生じ計画どおりに進まない場合は、
のれんの減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑦企業買収、戦略的提携について
当社グループは、成長を続けるクラウドやOSSの分野において
業界でのリーダーたる地位をより確実なものとしていくことを目的に、
同分野での事業展開を積極的に進めていく方針です。

事業拡大の過程において、当社グループは企業買収、戦略的提携等により
他社への出資を行っていく可能性があります。
このような意思決定の際には、対象企業の事業内容や契約関係、財務内容等について、
詳細なデューデリジェンスを行ってリスクを回避するよう十分検討を行いますが、
企業買収や戦略的提携後に偶発債務・未認識債務などが発生した場合や
施策が予定どおりの成果をあげることができなかった場合には、
当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
————————————-

 

以上、いくつか抜粋してみましたが、
グループ経営上の課題や、
ホールディングス化で解決したくなるようなキーワードが
散見される印象です。

いかがでしょうか?

 

ホールディングス化したからといって
これらの課題がすぐに解決することではないと思いますが、

————————–
ホールディングス化することは、
グループ経営課題へ本気で取り組んでいくための
経営者としての意志表示
————————–

と考えることができると思います。

同様の課題等をお持ちの社長も多いかと思いますので、
同社の取り組みに注目してみるのもよいかもしれません。

それでは、今回はこのあたりで。

 

★★★★★★★
ホールディングス化
=本気でグループ経営に取り組む意志表示
★★★★★★★