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Vol.20 地域別に会社の分ける場合

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複数会社化の形として、
例としてはあまり多くはないですが、
地域別に法人を分けるという考え方もあります。

たとえば、イオンを例に見てみます。

イオンはホールディングス形態の会社ですが、
傘下の子会社に、
・イオン北海道(株)
・イオン九州(株)
・イオン琉球(株)
といったような子会社がぶら下がっています。

イオンの場合は、その他にも
・マックスバリュー東海
・マックスバリュー北陸
・マックスバリュー西日本
等の子会社も保有しています。

「イオン株式会社」というのは、
ホールディングカンパニーであり、
実際の事業については各子会社が行っています。

その子会社は
事業種類ごとに分かれていたり、
地域別に分かれていたり、
様々なカタチになっています。

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なぜこのような形、とくに地域別に
子会社を分けているかというと、
その成り立ちによるところが大きいと思われます。

もともと各地域に存在した事業会社を
イオンが買収していった結果、
名前は「イオン~」となっていても、
母体は、もともと各地域に存在する
会社だったということです。

つまり、企業が拡大していく中で、
地場の有力企業を買収し、
グループ会社にしていった結果、
地域ごとに法人が存在するのです。

事業拡大をしていく中で、
M&Aですでにある会社を買って、
事業内容や地域を拡大していく、
という手法も当然必要な局面はあると思います。

但し、このようなスタイルは
どちらかというと大企業や、
かなり成長過程にある中堅企業が
実施するスタイルと言っても良いと思います。

つまり、
「時間をお金で買う」
という発想です。

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一方で小さな会社や中小企業には、
このようなM&A的な発想は、
少し馴染まないかもしれません。

当然、小さな会社や中小企業でも
M&Aで拡大していくスタイルも
否定されるべきではありません。

但し、
小さな会社や中小企業は、
まずは自らの力で事業や地域を拡大していき、
地道に拡大していくスタイルの方が、
合っていると思います。

M&Aを成功させるには、
ある程度の組織規模になり、
経営管理体制が確立された会社でなければ、
難しいと考えるからです。

お金で他の会社を買うといっても、
会社はいろいろな要素から成り立っているため、
お金ですべてを支配できるわけではありません。

人や技術・ノウハウ、取引先との関係、
あらゆる資産をコントロールできなければ、
M&Aを成功させるのは難しいものです。

自社のことですら、
人、モノ、お金、情報、ノウハウ、等を
コントロールするのは難しいものです。

ましてや他の会社となると、
それ以上に難しいということです。

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つまり、
自社内の経営管理体制が
確立された会社でなければ、
M&Aを有効に活用することは難しいということです。

そう考えると、
小さな会社や中小企業は、
まずは自力で事業領域・地域の拡大を
していくべきだと思います。

その際に、別会社が必要なるかどうか。

事業別に会社を作る、という発想は、
小さな会社や中小企業でもあり得ます。

一方で、
地域別の会社を複数化する、
という発想は少し考えづらいと思います。

1つの会社の中の事業部レベルで十分です。
地域ごとに複数会社化する必要性は低いはずです。

地域別に複数会社化する例で、
管理コストを上回るメリットを得るのは、
少し難しいと思います。

仮に地域ごとに複数会社化するケースがあるとすると、
それは「地域=国」のときです。

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つまり、「海外進出」するときです。

海外進出する際に、
海外に子会社を作って事業展開していく、
というスタイルは当然あり得るケースです。

とはいっても、
海外はさらにハードルの高い「地域」といえます。

それこそ、まずは自社内で
海外に出張したり、輸出したり、駐在所を設けたり、
現地の提携先と協業したり、
といった段階を経ることになります。

それでも対応が難しくなったときに初めて
海外子会社を設立する、
といった対応が通常です。

つまり、地域別で子会社化するのは、
最終手段とお考えください。

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