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Vol.170 連結決算業務で解決が一番難しい論点とは?(2/2)

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解決が難しいランキング1位は・・・

前回に引き続き、
連結決算業務において
解決が難しい論点について
お伝えしてみたいと思います。

今回は、
「解決が難しいランキング第1位」
についてです。

 

連結決算業務において
解決が難しいランキング第1位は、
どのような論点でしょうか?

 

あくまで私見ですが、
それは、

———————————-
グループ会社全体で、
勘定科目(決算書の項目名)を
一致させること
———————————-

です。

 

前回の第2位の
グループ内の取引を一致させること
に続いて、
テーマとしては
とても基本的な論点です。

但し、
これが本当に上手くいかないものです。

グループ内の勘定科目の統一の必要性

グループ会社の各社で
勘定科目が統一されていない状況とは、
どのような状況でしょうか?

たとえば、
同様な支出内容にもかかわらず、
グループ会社Aでは「●●費」という名称を使用しているけれど、
グループ会社Bでは「△△費」という名称を使用している、
といったような状況です。

 

同じ内容の支出であれば、
同じ名称で表現すべきです。

連結決算では、
グループ全社の数値を合算しますので、
グループ各社で
同じような勘定科目の使用方法が求められます。

もし、
勘定科目の使い方が
グループ内でバラバラの場合、
会社ごとに科目名を、
組み替えたり、名寄せしたり、と
作業も煩雑になります。

このような状況は、
経理部を苦しめることにもなりますし、
また経営陣が連結決算書を見る際にも、
当初の勘定科目が変わっていたりして、
混乱を招いたりもします。

 

そう考えると、
予めグループ内で
統一的な勘定科目の使い方のルールを作り、
運用していくことが重要になります。

但し現実においては、
この「グループ勘定科目の統一」という取り組みは、
容易ではありません。

なぜ単純な論点は解決されない状態が続くのか?

前回と今回にわたってお伝えしました
「グループ内取引金額が一致しない」
「グループ内の勘定科目がバラバラである」
といったことは、
連結決算業務のなかでは、
とても単純な論点です。

 

「グループ内取引金額が合うように注意しましょう!」
「グループ内の勘定科目を統一しましょう!」

このようなフレーズは
常にグループ内で発せられるのですが、
いつまで経っても解決されないままの状態が
続くことが本当に多いのです。

 

なぜ、このような単純な論点が
いつまでも解決されない状況が続くのでしょうか?

 

その理由は、

—————————
会社が異なり、
作業をする社員も異なる
—————————

ということに尽きると思います。

 

同じグループ内とはいえ、
会社や人が異なれば、
グループ内取引金額の認識や
勘定科目の考え方が
どうしても少しずつ変わってくるということです。

但し、
このような基本的な論点を放置せず、
きちんと整備していけるかどうかで、
グループ経営の強さに差が生じるのではないかと思っていますので、
なんとかして改善努力を続けることが重要です。

最良の解決方法とは?

それでは、どうすれば、
「グループ内取引金額の一致」
「グループ内勘定科目の一致」
といった基本的なことを
グループ内で徹底できるのでしょうか?

基本的には、
地道な改善活動が求められるとは思いますが、
何か良い方法はあるのでしょうか?

 

よく提案されるのは、
グループで統一的なITシステムを導入して、
形から統一していくという方法があります。

これも1つの手法だと思います。

但し、ITシステム導入自体が
事態を改善してくれるというよりは、
業務のやり方等の意思が明確になっていて、
その実現のためにITシステムの力を借りる、
という発想でなければ、
ITシステムは上手く効果を発揮してくれません。

そのため、
安易に「ITシステム導入」を目的にすると
危険な側面があります。

 

それでは他に何か
良い方法や考え方はあるのでしょうか?

個人的には、
その最良な方法の1つとして、
ある機能・組織を思い浮かべます。

 

それは何かというと、

———————————–
グループ内における
シェアードサービス機能を充実させる
———————————–

という方法です。

 

つまり、
グループ内の業務を標準化していくために、
シェアードサービス」を活用していく、
ということです。

シェアードサービスとは、
グループ各社の業務を標準化して、
1ヵ所でまとめて業務を実施する、
といったような考え方です。

 

グループ経営においては、
よく用いられる発想ではありますし、
どの会社でも少なからずシェアードサービス機能を
活用しているのではないかと思います。

とは言え、
シェアードサービスを思った通りに機能させるのは、
なかなか簡単ではありません。

 

但し、
本気でシェアードサービス化に取り組んでいければ、
・グループ内取引金額の一致
・グループ内勘定科目の一致
といった基本的なテーマも
解決していけるはずです。

なぜかというと、
グループ内シェアードサービス機能を充実させることで、

—————————
会社が異なり、
作業をする社員も異なる
—————————

といった「課題が解決しない要因」を
変えていけるからです。

 

シェアードサービス化するということは、
グループ内を標準化することであり、
効率化することです。

きっと、連結決算業務にも
有用な取り組みになるはずです。

★★★★★★★
グループ内で、
シェアードサービス機能は
きちんと機能していますか?
★★★★★★★

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