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【事例】アルコニックス株式会社

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※平成28年1月26日にアルコニックス株式会社より適時開示されている「株式の取得(子会社化)及び中間持株会社設立に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

中間持株会社を活用した子会社化

開示概要

●平28年1月26日開催の取締役会において、
マークテック株式会社の全株式を取得することを決議。

●その取得に際して100%出資の中間持株会社を設立し、
同社が株式取得を行い子会社化することも決議。

子会社化の目的

●今回株式を取得するマークテック株式会社は、
金属製品の非破壊検査と金属マーキングの両事業を
手掛ける製造会社である。

●この両事業は、ニッチでありながら、
国内ではトップシェアを誇っており、
大手自動車、鉄鋼、重工業メーカー等と
強固な取引関係を構築している。

●マークテックは国内のみならず海外でも、
国内における同社の高いブランド力、技術力を生かし、
中国、韓国、並びにASEAN諸国へも
積極的に製造・販売現地法人を設立する等、
グローバルビジネス展開を推進している。

●マークテックの金属製品を対象とする
非破壊検査事業と金属マーキング事業は、
グループ企業が扱う非鉄金属製品・金属加工製品・溶接材等との
関連性、親和性が高い。

●グループとして、非鉄金属業界において、
より一層厚みのあるユニークな企業グループを形成できる。
製造分野のより一層の充実が図れることとなる。

中間持株会社活用の目的

●マークテック株式会社の株式取得においては、
100%出資で設立する中間持株会社である
アルコニックス・エムティ株式会社が
マークテック株式を取得し連結子会社化する。

●中間持株会社による株式取得というスキームを用いる理由は、
財務諸表の長期的な投資勘定圧縮資金効率向上のため、
当該株式取得価額をそのまま計上することを避けるためである。

aruko

(上図:「株式の取得(子会社化)及び中間持株会社設立に関するお知らせ」より)

設立する中間持株会社の概要

(1) 商号:アルコニックス・エムティ株式会社
(2) 設立年月日:平成28年2月上旬
(3) 主な事業の内容:
・非破壊検査用品、機器の開発、製造及び販売、据付工事の請負
・印字装置と用品、マーキング装置と用品の開発、製造及び販売、据付工事の請負
・上記に付帯関連する一切の事業
(4) 決算期:3月31日
(5) 資本金の額:50 百万円
(6) 大株主構成及び所有割合:アルコニックス株式会社 100%

株式取得までの日程

・平成28年1月26日:取締役会決議
・平成28年1月27日(予定) :株式譲渡契約書の締結
・平成28年2月上旬(予定):中間持株会社の設立
・平成28年2月中旬 (予定): 株式譲渡実行日

Review

今回は、少し変わった事例です。

一般的なホールディングス化ではなく、
特定の目的にもとづいた
「中間持株会社」
の設立という事例だからです。

 

その目的とは、開示内容によると、

———————————
株式取得価額をそのまま
財務諸表に計上することを避けるため
———————————

とのことです。

 

開示情報によると、
今回の株式取得に伴う金額は、
約70億円程度のようです。

通常、株式を直接取得した場合には、
同社の財務諸表(B/S)に
「子会社株式 70億円」
が計上されることになります。

 

一方で、
同社の平成27年3月期決算を確認してみると、
親会社(単体)の総資産は約470億円となっています。

この状態で、
70億円もの投資項目が
財務諸表に計上されてしまうと、
総資産が大きく変わってくることになります。

これはこれで1つの実態ではあるのですが、
同社においては、
このような状況を避けたいという思いから、
今回の「中間持株会社」を設立し、
間にかませる方式にしたということです。

 

今回の「中間持株会社」設立に関する出資額は
資本金の額からすると、
1億円以内と推測されます。

そのため、
今回の中間持株会社を間にかませて
他社株式を取得することによって、
親会社(単体)の財務諸表には、
この中間持株会社の設立出資額のみが
B/Sに計上されることになります。

 

この金額の違いは大きいと言えるでしょう。

70億円と1億円の違いです。

 

今回の対応については、
同社の開示では、
・財務諸表の長期的な投資勘定圧縮
・資金効率向上
という2つの理由で説明されています。

但し、
グループ全体の
連結財務諸表で考えると、
どちらの方式をとっても同様の結になります。
(詳細は今回は割愛しますが)

あくまで、親会社単体の財務諸表を
意識した対応策と言えるでしょう。

 

持株会社と言っても、
いろいろな形式があるということですね。

★★★★★★★
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