前回の復習

前回の続きをお伝えさせて
いただきたいと思いますが、
少しだけ前回の復習をさせていただきます。

 

<前回の復習>

●経営指導料等の「親子間役務提供」が認められる場合とは?
●考え方として「移転価格」の規定が1つの参考になるのでは?
●そこで、「移転価格事務運営要領」を確認してみる。
●「(企業グループ内における役務の提供の取扱い)2-9(1)」の文章を確認。
●そこには「グループ内役務提供」の判断ポイントの記載あり。

という流れの中で、

—————————————
グループ内役務提供になるかどうかは、
「自社とは関係ない、
第三者同士の取引であっても
必要性が認められ、
お金を払ってでも行われる取引かどうか」
で判断する。
—————————————

ということでした。

 

判断した結果、
「グループ内役務提供」に該当するのであれば、
親子間で対価の支払いが発生する取引になる、
ということです。

 

そこで、
今回はこの続きとして、
「移転価格事務運営要領」のなかの
「(企業グループ内における役務の提供の取扱い)2-9」
の(2)について確認をしていきたいと思います。

利用可能な状態=役務提供?

「移転価格事務運営要領」のなかの
「(企業グループ内における役務の提供の取扱い)2-9(2)」
では、以下のような記述があります。

———————————————–
(2)法人が、国外関連者の要請に応じて
随時役務の提供を行い得るよう人員や設備等を
利用可能な状態に定常的に維持している場合には、
かかる状態を維持していること自体が
役務の提供に該当することに留意する。
———————————————–

いかがでしょうか?
ピンときますでしょうか?

 

この内容を
「親会社」「子会社」という単語に
置き換えながら、
以下で再確認をしてみたいと思います。

———————————————–
「親会社」が「子会社」の要請に応じて
随時役務の提供を行い得るよう人員設備等
利用可能な状態定常的に維持している場合には、
かかる状態を維持していること自体が
「役務の提供」
に該当することになる。
———————————————–

 

つまり、
実際に人員が動いたり、
設備を利用させてあげたり、
といった「実稼働」が無いからといって、
即「役務提供に該当しない」とは言い切れない、
ということです。

 

親会社が子会社のために、
インフラを用意して、それを利用可能な状態を
作ってあげているのであれば、
実際に子会社側で利用実績が無くても、
「役務提供」に該当する、
ということです。

実際には、
判断が難しいところだと思います。

 

ただ、たとえば
ホールディングス経営の場合には、
そのグループ組織デザイン自体が、
この「利用可能な状態」を作っている、
と言ってもよいかもしれません。

つまり、
ホールディングカンパニー(親会社)は
子会社のために人員や設備のインフラを整備し、
利用可能な状態を作っていることが
一般的であったりします。

 

そう考えると、
実際にグループ内で
人員や設備が動いている「実働」が無くても、
そのような「利用可能な状態」を用意していること自体で、
ホールディングカンパニーは子会社に
役務提供をしていることになります。

移転価格の規定とはいえ、
親会社における「経営指導料」等の
役務提供について検討するうえでは、
参考になる内容と言えるのではないでしょうか。

具体的には?

「移転価格事務運営要領」の
「(企業グループ内における役務の提供の取扱い)2-9(2)」
には具体例の記載はありません。

そのため、
具体的にどのようなケースが、
ここでいうところの
「利用可能な状態に定常的に維持している場合」
に該当するかは判断が難しいところです。

 

そこで、
もう少し具体的に考えてみたいと思います。

まず「グループ内役務提供」の具体例としては、

——————————————————
①企画又は調整
②予算の作成又は管理
③会計、税務又は法務
④債権の管理又は回収
⑤情報通信システムの運用、保守又は管理
⑥キャッシュフロー又は支払能力の管理
⑦資金の運用又は調達
⑧利子率又は外国為替レートに係るリスク管理
⑨製造、購買、物流又はマーケティングに係る支援
⑩従業員の雇用、配置又は教育
⑪従業員の給与、保険等に関する事務
⑫広告宣伝(リに掲げるマーケティングに係る支援を除く。)
——————————————————

といったものが挙げられていました。
(参照:【研究】 経営指導料のポイントを「移転価格制度」を参考に考察①

 

このような①~⑫の活動について、
随時行い得るよう「人員」「設備等」を
利用可能な状態に定常的に維持している場合にも、
役務提供をしていることになる、
ということです。

具体的にすることが大切です

少し強引な部分もありますが、
①~⑫の活動について、
それぞれ具体例を考えてみました。

当てはめが難しいものもありますが、
以下のような感じです。

 

①企画又は調整
②予算の作成又は管理
⇒人員:子会社の経営企画・予算作成のために親会社内に人員配置
⇒設備:親会社の経営企画・予算作成用のシステムを子会社でも利用可能な状態にする

③会計、税務又は法務
⇒人員:会計・税務・法務等のシェアード・サービス提供
⇒設備:親会社が顧問契約している専門家を子会社でも活用できるようにしておく

④債権の管理又は回収
⇒人員:子会社が困ったときに親会社の専門人員に相談できる状態にする
⇒設備:親会社が導入している販売管理システムを利用・サポート可能な状態にする

⑤情報通信システムの運用、保守又は管理
⇒人員:子会社が困ったときに親会社の情報システム人員に相談できる状態にする
⇒設備:親会社の情報通信システムの一部を子会社にも利用可能な状態にしておく

⑥キャッシュフロー又は支払能力の管理
⇒人員:子会社が困ったときに親会社の専門人員に相談できる状態にする
⇒設備:グループ内のCMSの仕組み導入

⑦資金の運用又は調達
⑧利子率又は外国為替レートに係るリスク管理
⇒人員:子会社が困ったときに親会社の専門人員に相談できる状態にする
⇒設備:親会社の信用で子会社が(低利率で)借入をしやすくする

⑨製造、購買、物流又はマーケティングに係る支援
⇒人員:子会社が困ったときに親会社の専門人員に相談できる状態にする
⇒設備:親会社の購買管理システム・物流倉庫を利用・サポート可能な状態にする

⑩従業員の雇用、配置又は教育
⇒人員:子会社の人員不足時に親会社人材に頼れる環境を整備しておく
⇒設備:グループとして人材教育・研修システムに子会社も参加できる状態にする

⑪従業員の給与、保険等に関する事務
⇒人員:子会社が困ったときに親会社の専門人員に相談できる状態にする
⇒設備:親会社の福利厚生制度を子会社でも活用できるような状態にする

⑫広告宣伝(⑨に掲げるマーケティングに係る支援を除く。)
⇒人員:子会社が困ったときに親会社の専門人員に相談できる状態にする
⇒設備:親会社の広告宣伝の仕組みに子会社が参加できるような状態を整備しておく

 

以上です。
いかがでしょうか?

あくまで考え方の参考になれば、
という感じですので、
「自社の状況に合わせて考える」
ことが重要だと思います。

グループ内の経営指導料等を検討する際には、
上記のような①~⑫も参考にしながら、
具体的に活動を描き出して整理することが
大切だと思います。

 

その際のポイントは、

—————————————-
実際に実働している活動だけでなく、
利用可能な状態を整備していることも含め、
具体的にしてみる
—————————————-

ということです。

★★★★★★★
子会社に「利用可能な状態」を
整えてあげることも「役務提供」の一環です。
いろいろ存在していませんか?
★★★★★★★

 

参考記事

【研究】 経営指導料のポイントを「移転価格制度」を参考に考察①

【研究】 経営指導料のポイントを「移転価格制度」を参考に考察③