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【コラム】森保監督から学ぶこと③(2代目社長と任せる力)

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2代目社長≒サンフレッチェ広島の森保監督?

毎年のように主力選手が流出していくなかで、
就任後の4年のうち、3度の優勝を果たした
サンフレッチェ広島の森保監督。

もともと前監督である
ペトロヴィッチ監督が、
強いチームとしての基礎を作っていましたが、
優勝するまでには至っていませんでした。

そのペトロヴィッチ前監督を
引き継ぐ形で森保監督はチームを指揮しました。
その結果が、
「就任後の4年のうち、3度の優勝」
というものです。

 

森保監督によると、
前監督からチームを引き継ぐ際に、

——————————————–
「ペトロヴィッチ監督は『天才』であり、感性が他の人と違う。」
「真似をしろと言われても絶対にできるわけがない」
「ただ、それまでやってきたことに関しては、
トライしていきたいという気持ちもありました。」

(「プロサッカー監督の仕事」P37より)
——————————————–

とコメントしていました。

この状況は、
企業経営における「ある状況」と
似ているような気がしませんでしょうか?

そうです。
2代目社長が
カリスマ的存在である先代から
経営を引き継ぐ状況です。

 

ということで、
今回は2代目社長が学べる点について、
森保監督の著書
「プロサッカー監督の仕事」
から確認をしてみたいと思います。

コーチ選び

森保監督は、
以下のような気持ちで
コーチを選ばれたようです。

————————————
●前監督の時代からチームにいた人で、
かつ僕と意見をぶつけ合える人
そういったコーチを優先して、
スタッフ編成しました。(P37)

●同じトレーニングをするにしても、
僕ではない人間が少し目先を変えてあげることで、
選手がまた新たな気持ちで練習に取り組めるのではないか、
と考えました。(P40)

●選手をおだてて気持ち良くさせるだけでなく、
指摘すべきところは厳しく指摘する。

僕の周りには、
現在も過去もそれができるコーチばかりです。
実は、自分だったら同じように言えるかな…と、
いつも思ってしまいます。

自分にはない要素を持っているコーチばかりですから、
すごく助かっています。(P48)

(「プロサッカー監督の仕事」より)
————————————

サッカーチームにおけるコーチの役割は、
企業で言うと、
経営幹部やマネージャーレベルの
役職だと思います。

2代目社長の場合、
古参社員の存在や、
今ある職場環境・役職等を
ある程度受け入れて
経営をしていく場合が多いと思います。

 

そのなかで、
どのような人材を
役員やマネージャーに抜擢するかは、
重要である一方で、
とても難しい選択・決断もあると思います。

このような2代目社長特有の環境において、
森保監督の視点は参考になると思います。

コーチに「任せる」理由

森保監督は、
コーチに「任せる」という意識を
持たれています。

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●監督が1人で「頑張ろう」と意気込んでも、
周りのスタッフが選手を支えてくれなければ、
選手は絶対にいいプレーを続けることはできない。

スタッフの「プレーヤーズ・ファースト」こそが、
サンフレッチェのチーム作りにとって
欠かせない要素なのです。(P49)

「最後の責任は僕がとりますから、
自由にやってください」というスタンスです。

「任せる」上で最も重要なのは、
やってもらったことに対しての責任は
必ず自分がとるということです。

たとえば、
コーチが選手とある話をして、
選手がそこに反論することがあったとします。

そうなった場合に、
僕は選手に対して、
「コーチの考えはオレの考えと同じだから」
と伝えます。

コーチが言ったことの責任は、
すべて自分にある。

~中略~

そうでないと、
コーチは思い切りよく仕事ができないし、
逆に「コーチは選手と喋らず、
すべて自分のところに話を持ってきてくれ」
ということになってしまいます。(P51)

(「プロサッカー監督の仕事」より)
————————————

目指すべきチームコンセプトは同じでも、
アプローチ方法は、
人それぞれ同じとは限りません。

 

経営者であれば、
経営幹部やマネージャーが
自分の思い通りに動かないことに対して、
少なからず「苛立ち」を覚える状況が
あると思います。

本当の意味で「任せる」ことは
とても難しいことだと思います。

 

実際には、森保監督のように
「コーチの考えはオレの考えと同じだから」
と言いづらい場面も多々あるはずです。

経営者として、
「自分だったら、こう思うけど・・・」
と心の中で思うことの方が多いかもしれません。

そこを口に出さずに、グッとこらえられるかどうか。

これはやはり
経営幹部とのコミュニケーションの
量と質を上げることで、
「●●の考えが、自分(社長)の考えと同じだから」
と思える回数を増やしていくしかないでしょう。

強い理由

サンフレッチェ広島が強い理由は、
森保監督の下記の言葉に集約されていると思います。

———————————–
選手が
「監督はこう言っているのに、
コーチは反対のことを言っている」
と感じるようなシチュエーションは、
今のサンフレッチェにはないはずです。

(「プロサッカー監督の仕事」P52より)
———————————–

これを言い切っていることが
すごいことだと思います。

 

企業経営において、
このように言い切れる
経営者はそれほど多くないのではないか、
と勝手ながら想像します。

このようなフレーズを、
社長自身が自信を持って
言えるような体制を作れるかどうか、
が会社の強さと連動すると
改めて感じさせられる内容でした。

★★★★★★★
「●●(経営幹部)の言っていることは、
社長である自分の考えと一緒だから」
社内外に自信をもって言うことができますか?
★★★★★★★

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