平成27年10月19日~10月23日の適時開示情報をもとに、
「子会社を減らす」決断をした事例をご紹介いたします。

はじめに

今週は2件の事例をご紹介させていただきます。
「子会社を減らす」という決断は勇気がいるものですが、
経営者として重要な仕事の1つです。

是非、各事例における経営者の決断から
学べる部分を学ばせていただきましょう。

事例1)株式会社キムラタン

●平成27年10月23日開催の取締役会において、
連結子会社である
上海可夢楽旦商貿有限公司(上海可夢楽旦)への出資持分の一部を
青島大都国際貿易 有限公司(青島大都)へ
譲渡することを決議。

●海外での事業展開を重要な戦略のひとつと考えており、
平成24年10月に、中国に上海可夢楽旦を設立し、
現地協力工場で生産した当社ブランドの
中国小売業への卸販売を主軸として、
中国ビジネスを開始した。

●平成27年3月期には、
中国における新規得意先の開拓に努めるとともに、
日本製の「愛情設計」を取り扱いブランドに加えた。

●同ブランドは、新生児向けの肌着、
衣料品、浴用品、寝具等を展開しており、
同社の品質管理の下、主に国内協力工場2社で生産している。

●創業来培った新生児衣料に関するノウハウを結集し、
「全ての赤ちゃんのために」をコンセプトと して、
素材、形状、縫製仕様に至るまで、
徹底して新生児の健康と発育に配慮した独自の特性を有している。

●昨今、日本製のベビー用品がその品質の高さから、
中国をはじめ海外市場においても評価されている。

●しかしながら、中国において、
単独で大手販路を獲得することは相当に困難であり、
数社との小口取引を開始したが、
全体を押し上げるまでには至っていない。

●中国ビジネスを成功させるためには、
ブランド特性を広く訴求し、
市場に浸透させていくための販売拠点や人材、
有力なネットワークと人材をもった良きパートナー
必要であると認識している。

●平成27年4月頃、証券会社の紹介で、
株式会社大都商会をはじめとする
大都グループの代表者である鄧明輝氏と協議を重ねてきた。

●大都グループの1社である貿易事業を営む青島大都は、
日本製の紙オムツの中国華南地区における販売代理店事業を展開し、
5,000 店を超える現地小売店に対する販売ネットワークを有している。

●青島大都は、日本製紙オムツの特性をアピールするために
中国各地で実験販売を実施するなど、
プロモーション活動にも注力し、同製品の販売高を飛躍的に伸ばしている。

●また、中国において、
武漢、広州、大連、深セン、上海、重慶、成都と
広く営業拠点を整備しており、人材の育成にも力を注いでいる。

●以上を踏まえ、キムラタンの製品開発力と、
青島大都のもつ販売拠点及び人材といった
両者の経営資源を相互補完的に活用し、
「愛情設計」を中国において広く拡大していくプランについて、
賛同を得るところとなった。

●両社間で友好なパートナーシップを築き、
協働していくことで、相互に発展することができるとの認識で一致し、
この度、「愛情設計」ブランドの中国における販売事業に関する
業務提携を実施することとなった。

●中国において日本製「愛情設計」の販売網を拡大していくためには、
製造元であるキムラタンと、販売拠点を持つ青島大都の
両社の合弁による販売会社を通じた製品供給が望ましいとの認識に立ち、
100%子会社である上海可夢楽旦の持分の70%を
青島大都に譲渡することに決定。

●併せて役員人事も出資割合に応じた構成とする。

●これにより中国における運営の主体を大都グループに移管し、
販売ネットワーク と中国の営業拠点・人材を活用し、
より短期間に販売の拡大を目指す。

●本持分譲渡後もキムラタンは、
上海可夢楽旦の持分の30%を所有し、
協力関係を維持しながら、両社の成長と企業価値の向上を目指す。

事例2)日本エンタープライズ株式会社

●平成27年10月20日開催の取締役会において、
中国子会社の北京業主行網絡科技有限公司の
出資金持分の売却を行うことを決議。

●平成17年12月に、
中国全土をカバーするコンテンツ配信ライセンスを保有する
北京業主行網絡科技有限公司(業主行)の全持分を取得・子会社化後、
業主行を通じて、中国の携帯通信事業者向けに、
モバイルコンテンツを配信してきた。

●しかしながら、その後、
急速なスマートフォンの普及に伴う
コンテンツプラットフォームの多角化に伴い、
ICPライセンス保有のメリットが以前に比べ低下してきている。

●また、業主行の損失計上が続いていることから、
今後の事業継続について検討を重ねた結果、
今般、業主行の出資金持分の売却を行うこととなった。

●今後における中国事業展開については、
本件による持分譲渡後も、
中国特有の商慣習の理解や人脈等、
長年培ってきた中国での経験やノウハウをビジネスに活かし、
以下の事業領域拡大を図っていく。

・携帯電話等の販売事業
・卸売をはじめとしたソリューション事業
・モバイルコンテンツ事業等

●中国事業における
カントリーリスクが依然大きな課題であるため、
特有の商慣習の理解や人脈等、
長年培ってきた中国での経験やノウハウを余すことなくビジネスに活かし、
収益性のある事業展開を図っていく。

レビュー

今週の事例はいかがでしたでしょうか?

今週の事例は、
「中国子会社」
にフォーカスをしてみました。

 

事例1)については、
中国における現地パートナーと協業していくうえで、
中国子会社の株式を一部
パートナーに譲渡する事例です。

中国において販売網を拡大していくためには、
販売拠点を持つ現地パートナーとの
合弁販売会社にした方が良いとの判断のもと、
100%子会社の株式の70%を
現地パートナーに譲渡するとのことです。

それと同時に、
役員人事も出資割合に応じた構成にするそうです。

ポイントは、
株式の過半数を現地パートナーに
譲渡した点にあると思います。

親会社としての立場を諦めてでも、
現地パートナーの協力のもとトライをしなければ、
中国での「短期間の販売の拡大」が
難しいという現実があることを
感じさせられます。

現地パートナーとのトラブルといった
事例もよく目にしますが、
一方で、現地パートナー次第で
海外展開の結果が変わるのも、
事実だと思います。

今回の事例は、
現地パートナーとの信頼関係を
株式の過半数譲渡という点で
示したのではないかと思います。

 

次に、事例2)ですが、
損失計上が続いている中国子会社の株式を売却して、
事業領域を変えていく事例です。

市場の読み違いの面もあり、
モバイルコンテンツ事業を縮小するため、
中国子会社の株式を譲渡する、
とのことです。

ただ、
これによって中国から
完全撤退するわけではないようです。

今後における中国事業展開としては、
モバイルコンテンツ事業を通じて得た
中国特有の商慣習の理解や人脈等を活用し、
事業領域の拡大を図っていく、
とのことです。

確かに、1つの事業としては
あまり上手くいかなかったとしても、
中国という国の特性についての経験やノウハウについては、
組織知として溜まっているものです。

この長年培ってきた中国での
経験やノウハウをビジネスに活かし、
他事業へ進出していく、
ということですので、
「失敗を活かしている」
と言っても良いと思います。

転んでもただでは起きない精神は、
成功者の共通点ですので、
是非、同社の今後にも注目をしてみたいと思います。

 

以上、
今回の事例となります。