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【事例】RKB毎日放送株式会社

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※平成27年9月29日にRKB毎日放送株式会社より適時開示されている「認定放送持株会社体制への移行並びに吸収分割契約の締結および 子会社(分割準備会社)の設立に関するお知らせ 」をもとに情報を整理しています。

内容

認定放送持株会社体制への移行
吸収分割契約の締結
子会社(分割準備会社)の設立

開示概要

●2015年9月29日開催の取締役会において、
平成28年4月1日(予定)を効力発生日として、
グループ経営管理事業および不動産賃貸事業を除く
一切の事業に関する権利義務の一部
RKB毎日分割準備株式会社に吸収分割により承継させることを決議。

●上記の決議と同時に以下を決議。
・分割準備会社としてRKB毎日分割準備株式会社を設立すること(完全子会社)
・所定の許認可が得られることを条件に認定放送持株会社に移行すること

●認定放送持株会社へ移行するにあたっては、
総務大臣の認定が必要となるため、放送法に基づく諸手続きを進めていく。

持株会社化の背景

●昭和26年に株式会社ラジオ九州としてラジオ放送を開始し、
昭和33年にテレビ放送をスタートさせた。

●公共の電波を預かり、放送事業に携わり、
市民生活に必要な情報と健全な娯楽を提供することによる
社会文化の向上に努め、
放送の公共性・公益性と報道機関としての責任を自覚しつつ、
適正・公正な手法により、安定的成長を目指してきた。

●近年、放送メディアにおいては地上波テレビがデジタル化し、
BS放送・CS放送などの普及による多チャンネル化・高画質化が進行。

●一方、インターネットメディアにおいては、
高機能なスマートフォン等のモバイルデバイスの浸透により、
音声・動画コンテンツなどがユーザーにとって、より身近なものとなった。

●特にその中から出現したソーシャルメディアは、
既存メディアにないコミュニケーションをユーザーに提供している。

●また、中波ラジオ放送においても、
インターネットを利用した「radiko」のサービス開始により、
放送エリア外であっても放送の受信が可能となり、
さらに国の施策によりFM補完中継局を利用した
サービス(FM補完放送)も始まるなど
ラジオを取り巻く状況も劇的に変化している。

●このような環境の変化は、
地方民間放送局として地域特有の番組を制作することが
使命である同社の経営にも少なからず影響を与えている。

持株会社化の目的

●このような状況下においても、
九州放送界のリーディングカンパニーとして勝ち残っていき、
福岡県ひいては北部九州地区の「基幹民間放送局」として
「地域の情報インフラ機能」を維持していく責務があることを十分に認識。

●その責務を今後も引き続き果たしていくためには、
より地域に密着した放送を行っているコミュニティFM放送局等、
北部九州地区の他の放送事業者と資本提携を含めた包括的な連携をとり、
相互に情報を共有し、地域連携、活性化を図るとともに、
エリア全体の発展、安心・安全にも寄与することが必要であり、
目指すべき姿であると考えている。

●そのためには、安定したより強固な経営基盤が必要となると考え、
グループとしての安定性と、将来の発展を確保するため、
現在の体制を分析し、環境変化に対応しうる仕組みを検討してきた。

●その結果、当社および当社グループとして、
よりよいコンテンツの制作を推し進めるべく、
放送事業に集中する体制を築き、
さらに新たな事業の展開を見据える体制として、
「認定放送持株会社」制度を導入すべきとの判断に至った。

●認定放送持株会社体制のもと、
グループ各社および関係会社が、
独自の権限と責任による迅速な意思決定を図り、
グループ全体の「企業力」をより強固なものとし、
放送メディアとして、一層の企業価値向上を図ることが可能となる。

●また、経営資源の効率的な配分により、
戦略的機能の拡充、集約
新規事業への積極的な取り組み
といったことが可能となり、
グループ全体の企業価値向上が図られることとなる。

持株会社体制への移行の要旨

●移行方式
吸収分割の効力発生日から円滑に事業を開始するため、
本吸収分割に先立ち、100%出資する本分割準備会社を設立した上で
同社を分割会社とし、完全子会社である本分割準備会社に
事業を承継させる吸収分割を行う予定。

●会社分割の日程(予定)
①分割準備会社設立:平成27年9月29日
②吸収分割契約締結(当社および本分割準備会社):平成27 年10 月15 日
③吸収分割契約承認株主総会(当社および本分割準備会社):平成27年12月22日
④吸収分割の効力発生日:平成28年4月1日
⑤商号変更日(当社および本分割準備会社): 平成28年4月1日

Review

今回は少し特殊な事例の1つ
と言ってもよいかもしれません。

「認定放送持株会社」という
聞きなれない用語も出てきています。

少し特殊な持株会社ではありますが、
基本概念は通常の持株会社と同様と考えて良さそうです。

放送業界は特有の規制があったり、
いろいろなしがらみがあったりと、
通常の民間法人と同様な視点で
考えづらい面があるのも事実ではあります。

ただ、
ホールディングス化する流れ自体は、
業界を問わず流行のようです。

今回の開示によると、以下のような目的をもって、
グループ全体の企業価値向上を目指すとのことです。

●放送事業に集中する体制を築くことで、
さらに新たな事業の展開を見据える体制にする。

●グループ各社および関係会社が、
独自の権限と責任による迅速な意思決定を図る。

●経営資源の効率的な配分により、
「戦略的機能の拡充、集約」「新規事業への積極的な取り組み」を目指す。

1つ言えるのは、
どの業界でも事業環境の変化に危機感を抱いており、
その結果として新しい戦略、事業形態を
模索しているという点は共通のようです。

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