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Vol.125 失敗しない「見える化」の3つのポイント

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シェアードサービスに取り組む出発点は、
「自社業務の棚卸」
であることを前回お伝えさせていただきました。

つまり、
「現状の業務の見える化」
が最初に必要だということです。

経営の鉄則は、
「正しい現状把握無くして、
正しい経営判断はできない」
です。

Vol.64(3)

ただ、
意外と簡単でないのが、
自社業務の棚卸というタスクです。

実際の業務自体は
社員を通じて実行されますので、
社員の頭の中から実施業務を抽出する作業が
必要になります。

とはいっても、多くの場合、
社員は無意識の中で業務遂行しています。

そのため、
社員の頭の中から業務内容を
抽出するという「棚卸作業」自体が、
かなり難しいものです。

おそらく
自分自身を振り返って、
見えるようにする作業は、
誰もが苦手にしている側面があるはずです。

仮に他人の力を借りたとしても、
容易ではないはずです。

私もこれまで
いろいろな会社の業務を見える化したり、
自分自身のノウハウの見える化に
チャレンジしてきました。

自分でも上手くいったと思えるケース、
もっと上手くできたのではないかと反省するケース、
様々な経験があります。

Vol.15(3)

そして今私自身の過去の経験を通じて感じている
「失敗しない『見える化』作業のポイント」
は、以下の3点に集約されます。

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①各業務の見える化の作業は各担当者が実施した方がよい
②できる限り簡単なところからスタートする(完璧を求めない)
③業務の見える化作業を日常業務の中に組み込む
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見える化する形は、
業務フローだったり、
業務マニュアルだったり、
必要に応じて使い分けをすればよいと思います。

上記の①~③のポイントを意識して
取り組むのであれば、
形はそれほど重要でないように思います。

 

今回は、上記の①~③について
少しずつ補足をしてみたいと思います。

①各業務の見える化の作業は各担当者が実施した方がよい

最初のポイントは、
「各社員の主体性」
です。

社員に主体性がない取り組みは、
絶対に生きた取り組みとはなりません。

取り組みに無関心であることほど
つらいことはありません。

自分自身で取り組むからこそ、
関心を持ってもらえます。

Vol.18(2)

また自分自身で悩みながら取り組むからこそ、
社会人としても成長し、
ひいては会社組織としても成長します。

私自身の過去を振り返って、
「もっと上手くサポートができたのではないか・・・」
と反省する事例は、
やはりこの①のポイントに尽きるような気がします。

自分自身への反省・戒めの意味も込めて、
「社員に主体性を持ってもらう(=関心を持ってもらう)」
という点は、
一番強調したいポイントです。

※詳細は右記事を参照:「Vol.126 グループ社員の主体性

②できる限り簡単なところからスタートする(完璧を求めない)

次のポイントは、
「実行されるかどうか」
という点です。

どんなに完璧な計画であっても、
実行されなければ、
全く無価値です。

経営者や役職上位者は、
どうしても自分の基準を、
部下にも求めたくなるものです。

但し、
会社にはいろいろな社員がいます。

どのような社員であっても
ついて来られるくらいのレベルで始めなければ、
会社全体としては上手く機能しません。

そう考えた場合に、
とくに最初は、
「簡単にできるステップ」
から始めることを強くお勧めします。

完璧主義者が多い経営者にとっては、
不完全燃焼な面もあるかと思いますし、
納得できない場面も多々起こると思いますが、
ここはあえてご自身の理想を下げてください。

最初の簡単なステップを通過できれば、
その後の道が開けます。

Vol.67(1)

理想を上げていくのは、
その後からでも遅くはありません。

私自身も、
どうしても完璧な形を求めすぎる部分があり、
この②の結論に辿り着くには時間がかかりました。

それでも、最近は、
この②の重要性を実感しています。

経営者としては常に基準は
高く持っていただきたいのですが、
ここだけは、あえて、
基準を下げて我慢をしてみてください。

というよりは、
「目線を下げる」
という表現の方が適切かもしれません。

※詳細は右記事を参照:「Vol.127 完璧主義社長のための『3段跳び思考』

③業務の見える化作業を日常業務の中に組み込む

最後のポイントは、
「継続性」
です。

企業の場合には、
「継続力=企業競争力」
になってくると言っても過言ではありません。

それほど、
継続することは容易ではないということです。

そこで、
この「継続力」については、
あえて「社員各自の意志に頼らない」仕組みを
構築することが大切だと思っています。

Vol.27(2)

つまり「組織習慣化」するということです。

そのためには、
「見える化作業=特別な業務」
ではなく、
「見える化作業=日常業務の中の一部」
という仕組みを作ることがポイントです。

※詳細は右記事を参照:「Vol.128 『仕組み=個人の意志に頼らない』

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以上、
3つのポイントはいかがでしたでしょうか?

ピンと来ない部分もあるかもしれませんので、
次回以降にもう少しだけ
①②③について触れさせていただきたいと思います。

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