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Vol.123 中小企業の「シェアードサービス化」の順序

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シェアードサービスのメリットについては、
前回お伝えさせていただきました。

シェアードサービス化を目指す場合、
短期的な非効率・混乱は
避けられないと思われます。

一方で、
いろいろなメリットがあるため、
覚悟をもって、きちんと取り組めば、
それなりの見返りがあると言えるでしょう。

但し、
いろいろなメリットを同時に追求しすぎても、
中途半端になる可能性も大いになります。

大企業であれば、
多くのコストや人材を投入することが
できるかもしれませんが、
中小企業の場合にはそうもいきません。

限られた経営資源を活用して
取り組むことが求められる中小企業は、
きちんと優先順位を明確にして、
取り組んでいくことが大切です。

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それでは、
中小企業のグループ経営者が
シェアードサービス機能を導入する際に、
もっとも高い優先順位は何になるのでしょうか?

何を目的にして、
取組みをスタートしたらよいのでしょうか?

私としては、
シェアードサービス化の最優先目的は、
「業務の標準化」
だと考えています。

いろいろな目的が考えられますが、
とくに中小企業の場合には、
まずは「業務の標準化」に絞って
意識していただきたいと思っています。

経営者としては、
シェアードサービス化によって実現したいことは
いろいろとあると思いますが、
まずは「業務の標準化」という目標に
グループ内ベクトルを合わせていただくことです。

この「業務の標準化」が達成できれば、
自ずと他のメリットも得られるようになってきますので。

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但し一方で、
業務の標準化というと、
社員がマニュアル的になってしまう、
社員が考えなくなってしまう、
といった批判をされることもあります。

実際に、
そのような側面は生じてしまうのも事実です。

それでも、
業務の標準化によって得られるメリットの方が
生じるデメリットと比べても、
圧倒的に大きいはずです。

とくに中小企業のように、
個人に頼った業務をしていて、
組織的な経営の仕組みが
確立できていない規模の場合には、
なおさら「業務の標準化」が重要です。

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業務の標準化に取り組む過程では、
各自の業務を見える化することになります。

業務を見える化することで、
周りのことがよくわかるようになり、
組織内の連帯感が高まります。

そのようななかで、
全体最適になるような業務の「型」
作っていくことができます。

また、業務標準化の過程は、
各社員が各自の業務を見つめ直す機会になります。

何がどのように行われているかが
明確になってくれば、
業務効率を上げるような取り組みへと
自然とつながっていきます。

さらに、
特定の個人に頼りすぎない
組織的な業務の仕組みができることで、
人員の代替可能性が高まります。

業務の標準化の取り組みは、
どこかで終わりがあるものではありません。

取り組みを始めれば、
継続的に標準化を追求することになります。

つまり、
継続的な業務改善の意識が
次第に組織風土として根付いてくるようになります。

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そして、
業務の標準化に取り組むからこそ、
その先にあるクリエイティビティが
社員の中に生まれるものです。

標準化を進めることで、
クリエイティビティが無くなるどころか、
逆に思考のステージが上がるはずです。

標準化できる部分がわかるからこそ、
標準化できない部分(≒高い専門性)が明確になり、
本当に大切な部分が見えてくるものです。

 

ただ一方で、
このような業務の標準化への取り組みは、
自分なりのやり方でやってきた
中小企業の多くの社員にとっては、
ストレスに感じるものです。

職人芸的な仕事をされている社員も
反発することになるでしょう。

これはどこの会社でも一緒です。

但し、このような社員からの反発に遠慮をして
改革を進められないようであれば、
変化の激しい現代において、
事業を継続していくのは難しいでしょう。

ここは、
経営者がリーダーシップを発揮して、
グループ経営改革の目的を
社員に説明し、説得し、理解をしてもらい、
あるべき方向へ導いていくことが求められます。

これが社長の大事な仕事ですので。

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ということで、
シェアードサービス化には、
いろいろな目的は存在するものですが、
まずは「業務の標準化」自体を目的にして進めた方が
シンプルでわかりやすいはずです。

とりあえず、
「シェアードサービス化=業務の標準化」
という認識で、
取り組んでいただければと思います。

次回は、
業務を標準化するにあたって
何から始めればよいかについて、
お伝えさせていただきます。

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