私の好きなマネジメントの切り口
世の中にはいろいろなマネジメント論があります。
マネジメント領域の話は、
あまりにも多岐にわたり、かつ
いろいろな変数や見方があるため、
整理するのが難しいものです。
このようなマネジメント領域の話のなかで、
私が日々よく考える、好きな分類方法が2種類あります。
本日は、この2種類のマネジメント論について、
日々思っていることを書いてみたいと思います。
(とはいえ、上手く整理はしきれないとは思いますが)
右脳マネジメントと左脳マネジメント
私が好きな分類の1つ目が、
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「右脳マネジメント」
「左脳マネジメント」
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という切り口で、
マネジメント論を整理するものです。
両者の違いは、
ざっくり表現すると以下のような感じでしょうか。
●右脳マネジメント
経営理念とか、自己実現といった
人間的な思い、感情を大事にして、
マネジメントをする方法
●左脳マネジメント
数値管理、予算管理といった
ロジカル、科学的アプローチを活用して
マネジメントをする方法
おわかりの通り、
どちらか一方だけが重要というわけではなく、
両方ともメリット・デメリットがあり、
かつ、重要な視点をもっているため、
バランス良く右脳・左脳を使って
マネジメントをすることが求められます。
右脳マネジメントだけでは、
どうしても抽象的になりやすく、
かつ効果が見えづらいこともあり、
それを左脳マネジメントの数値管理や
ロジカルなアプローチで補うことが
有効だったりします。
一方で、
左脳マネジメントだけでは、
何のために行動をしているかがわからなくなったり、
数値ばかりを気にして本質を見失うこともあるため、
そのあたり右脳マネジメントで上手く補い、
目的付けすることでモチベーションを高める効果があったりします。
右脳マネジメントと左脳マネジメントは
両者をバランスよく実行してこそ、
効果が最大限に発揮されるのだと思います。
ただ、
この「バランスよく」というのが、
現実的には難しいものです。
一般的にはどちらかに寄ってしまう傾向があるため、
意識的に「仕組み化」することが必要なのではないでしょうか。
会社(公)と個人(私)
次の切り口ですが、
これはマネジメント分類と言ってよいかわかりませんが、
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「会社(役割)」
「社員(個人)」
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の関連を意識したマネジメント論です。
今風に表現すると、もしかしたら
「ワーク・ライフ・バランス」
の考え方に少し近いのかもしれません。
ただ、私自身は、
「ワーク・ライフ・バランス」について、
定義を勉強したり、内容を研究したことが基本的には無く、
その類似性はよくわかりませんので深入りしません。
会社経営上のマネジメントにおいて、
組織内の役割を明確にしたうえで、
その役割を担当する「社員(個人)」を任命する、
という考え方があります。
理論的には、
この考え方は合理的だと思っています。
ただ、ここにおいては、
全くというわけではありませんが、
「社員個人の人生」といった視点は、
抜け落ちる傾向があります。
一方で、
組織内の役割を担うのは、
ロボットではなく、
あくまで多種多様な価値観を持った「ヒト」であり、
この「個人」の人生を意識したうえで、
仕事を考えてあげるべき、
といった考え方もあります。
これもこれで、
ごもっともな考え方です。
両者は別に相反する考え方ではないと思いますが、
両者をバランスよく両立したマネジメントを行うのは、
また難しいところです。
現実的には、
どうしても、どちらかのマネジメントに
偏りがちなものです。
ただ、
モノがあふれて、かつ、
全国民が一定水準以上の生活を
送ることができるようになった現代においては、
多種多様な価値観をもつ「社員個人」を認めながら、
経営をしていくことが、
昔以上に求められていることは否定できないと思います。
会社の成長の4つのステージ
ここから先は、
かなり独自見解になっていきますが、
もう少しだけ書かせていただきます。
上記の2つの切り口をベースに
会社の置かれているステージを
強引に以下の4つに分けて、
会社成長・永続化のステップを考えてみたいと思います。
上図に数値を入れていますが、
これは会社の成長ステージ順を表しています。
私のこれまでの経験上、
会社が成長していく過程で、
上図のような変遷をしていくことが多いのではないか、
と思っています。
そこで、
最後に各ステージについて、
もう少しだけ持論を書かせていただきたいと思います。
会社の成長ステージに応じたマネジメント
●ステージ0
いきなり上図にないステージの
説明となって申し訳ありませんが、
会社が成長する過程の最初の段階は、
上図の①~④どこのステージにも
達していない状態のことが多いです。
とりあえず、
ここの領域を「ステージ0」と
表現させていただきます。
がむしゃらにみんなで働いている時期ですね。
この時期は苦しいけど、
後で振り返ると一番楽しかった時期になってしまう
ことが多いのは皮肉な感じですが・・・。
●ステージ1
ステージ0の状態の会社が、
徐々に業容拡大をしていく中で、
社長がすべてを見渡せない規模に
なってくるステージが訪れます。
社員全員の管理も
難しくなってくるステージになるため、
ここで社内管理体制を強くしようとして、
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社内の左脳マネジメントを強化する
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ようになります。
この左脳マネジメント体制を構築できるかどうかが、
今後の会社が成長していくうえでの第1歩になる、
と言えるでしょう。
この「ステージ1」の会社については、
是非「【コラム】数字至上主義は正か悪か?」の記事も
参考にしていただければと思います。
左脳マネジメントによる弊害が
生じる可能性は否定できないものの、
成長する会社は必ず通るべき道だと思っています。
●ステージ2
次のステージは、
社内が左脳マネジメントに追われ、
何のための仕事をしているのか、
会社の存在意義は何なのか、
について疑問を抱き始めるステージです。
社内の数値管理体制は整備されてきたものの、
それに対する不満や欠点が浮かび上がります。
このあたりになると
疲弊して退職していく社員も
徐々に出てくるステージかもしれません。
そこで、
左脳マネジメントで重視される
「数値」に対する目的の意味づけをしたり、
会社の経営理念を見つめ直したりする活動が
行われるようになります。
つまり、
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行き過ぎた左脳マネジメントに対して、
右脳マネジメントの方へ揺り戻すような流れ
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が生まれてくる段階です。
このステージも、やはり、
バランス維持のために必要なステージだと思います。
●ステージ3
会社内で、
左脳マネジメントと右脳マネジメントの
バランスをなんとか図りつつ、
試行錯誤しながら成長している段階の会社で、
次に訪れるのが「ステージ3」です。
個人と会社のバランスについて、
重要視すべきだという意見が多くなる段階です。
結局、会社が、
いくら高尚な「経営理念」を掲げて、
きちんと数値管理体制も整えたとしても、
そこで働く社員が「生きがい」を感じなければ、
なかなか会社の成果にも結びつきません。
また、このような状況のなかでは、
その会社で働く意義が見いだせず、
退職者がさらに増えていくような状況にもなりかねません。
社員からすると、
「全体的な待遇は世間一般と比べて
悪くは無いのかもしれないけど、
自分の道ではないように気がする・・・」
と言った感じでしょうか。
このステージでは、
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会社(組織)は社員(人)の集合体であり、
社員自身の人生の上で会社の存在が成り立っている
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ということを改めて見つめ直すような
価値観が生まれてきます。
このような状況に真摯に向き合い
会社のベクトルと社員個人の人生のベクトルを
整合させていけるようなマネジメントを構築していければ、
かなり競争優位のある会社に、
成長していけるはずです。
とても重要なステージですね。
●ステージ4
そして最後のステージは、
ステージ3の延長として一応表現しています。
このステージにおいて、
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個人の人生についても、
左脳的アプローチで上手く補って、
より社員個人の自己実現をサポートできるような仕組み
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が出来上がれば、
退職率も減り、競争力のある、
永続企業へと成長していけるのではないか、
と思います。
さらに、このステージの先には、
社員個人が自分自身で、
自己実現と会社への貢献を上手くバランスさせ、
きちんと「セルフマネジメント」できるような状態が
待っているのかもしれません。
そこはかなり理想郷に近いかもしれませんが、
やはり永続企業を目指すのであれば、
意識をしたいステージです。
結局・・・
会社によって置かれている状況は様々であり、
万能なマネジメント手法があるわけではありません。
そのようななかで、
経営者としては、
・会社が目指すゴール・目的
・今いるステージ
を明確にしたうえで、
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今置かれている状況で、
一番優先順位が高いマネジメント
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を考え、実行していくことが必要なのだと考えています。
あくまで勝手な見解ですが、
たとえば、
ステージ0の会社が、
ステージ1の段階を飛ばして、
急にステージ2へ移行していくのは、
難しいのではないか、
と考える次第です。
いつもにも増して、書きすぎました・・・。