※前回の「ゼビオ株式会社」開示事例の続きです。

Review

今回は、ゼビオ株式会社を
事例として取り上げさせていただきました。

いかがでしたでしょうか?

個人的には、以前より
とても興味深い開示内容だと感じていましたので、
ずっと取り上げたいと思っていました。

この1年間の開示資料を確認すると、
グループ経営について
いろいろと試行錯誤されているのが
見て取れました。

どのような会社か気になったので、
同社の有価証券報告を確認してみたところ、
ここ最近はグループ業績が落ち込んできている様子が
見受けられました。

このような背景もあり、
本気でグループ経営改革を考えているのだろうな、
と感じさせられます。

機能別の中核子会社というデザイン

今回の開示資料で
まず特徴的だと感じたのが、
機能別に「中核子会社」を据えて、
連結グループの中に
小グループを作って管理する体制です。

この考え方は、
個人的には、とても良いと感じました。

実質的に、
このような体制を採用している会社も
あるかもしれませんが、
これほど機能別中核子会社の位置づけを明確に
打ち出している事例は
私自身あまりなじみがありません。

確かに
同社のように子会社の数が20社を超えてくると、
ホールディングカンパニーが
その子会社のすべてを管理するのも
限界があります。

そのようななかで、
比較的近い機能の中で
グルーピングして管理をしていくのは、
合理的と言えるでしょう。

会社によっては
グループ経営のトップではなく、
中間にホールディングス機能を設けるケースは、
たまに見かけます。
(いわゆる「中間持株会社」を設立する事例)

考え方としては、
この「中間持株会社」形態に近いように思いましたが、
今回の「中核子会社」は、
あくまで通常の事業子会社という点で、
相違しています。

ちなみに、
同社では、以下のような6つの機能
グループ分類をしています。

<分類>
(1)全国展開の大型総合スポーツリテール
(2)首都圏及び特定商圏に特化した総合スポーツリテール
(3)中古ゴルフ事業 & ゴルフ練習場事業
(4)マーケティングエージェント
(5)海外窓口業務及びR&D業務
(6)グループコーポレート業務受託事業

この分類から
今後の会社の経営の方向性が
見て取れます。

おそらく、
(1)~(3)が主にプロフィットセンター
(4)~(6)が主にコストセンター
なる感じでしょうか。

個人的には
(4)~(6)がどのように
プロフィットセンターを支援していけるかが、
グループ経営のポイントになるように思います。

役員人事デザインと「経営参謀集団」

また同時に、
役員人事の変更についても
公表をされていました。

基本的には、
各機能別の中核子会社の代表取締役が、
ホールディングカンパニーの執行役員を兼務し、
グループ全体の各機能を統括する
人事デザインになっていました。

役員人事に関する公表資料では、
以下のような記載があります。

●ホールディングカンパニーとして
・グループシナジーの醸成
・グループガバナンスの強化
の取組みのなかで、
中核子会社の執行権限と責任を担う
中核子会社社長を中心に持株会社の役員選任した。

●中核子会社社長は、
ゼビオホールディングス株式会社社長が監督する。

●ゼビオホールディングス株式会社社長
及びグループ経営の執行状況の監督は、
ゼビオホールディングス株式会社の取締役会が行う。

このあたりの人事デザインは、
私が理想としているホールディングスの形に
少し近いように感じました。

つまり、
ホールディングカンパニー人材が、
社長の経営参謀集団として機能する形です。

※参考「Vol.96 グループ「経営参謀」としてのホールディングカンパニー

ホールディングカンパニーの特徴的な機関

今回もう1つ特徴的だったのが、
ホールディングカンパニーに設置する
各機能・機関です。

具体的には、
①アドバイザリーボード
②コンプライアンス委員会
③ガバナンス委員会
④グループシナジー検討会
⑤プロジェクトチーム
といった機関です。

とくに興味深いのは、
①アドバイザリーボード
④グループシナジー検討会
⑤プロジェクトチーム
あたりでしょうか。

 

アドバイザリーボードを設置するあたりは、
外部の意見も素直に聞き入れる姿勢が
見受けられます。

また、
グループ経営を実践する中で
グループシナジーの発揮は重要課題ですが、
多くの会社がシナジー効果の有無を
具体化・明確化するまではできていません。

同社では、あえて、
グループシナジーの検討会を作ることで、
掛け声だけで終わらせず、
きちんと効果を追求していこうという姿勢が見えます。

まさに、この「グループシナジー検討会」は、
グループシナジーに関する
PDCAを回すカギになる機能だと思われます。

私の経験上、
PDCAが回る仕組みを作るには、
とくに「C」の部分を意図的に仕組み化できるかどうかが
ポイントだと思っていますので。

また、
グループ横断的な取り組みとして
プロジェクトチームの役割を明確化しているあたりも、
とても良い方向性だと思います。

今後のゼビオ社のグループ経営に注目!

ということで、
とても参考になる事例ですし、
まだまだお伝えしたいポイントが満載ですが、
長くなりますので、
このあたりで留めておきたいと思います。

今後の「ゼビオ社」の
グループ経営の動向は必見です。