連結グループ経営を実践するうえで
社長にも知っておいていただきたい用語の解説です。

解説

オーナー企業が
株式上場を目指す場合には、
意識していただきたいテーマがあります。

それは、
「関連当事者」
というテーマです。

この単語だけでは
ピンとこないかもしれませんが、
このテーマは多くの上場企業を
悩ましているテーマの1つです。

とくに、
「上場を目指すオーナー社長」
には、意識をしておいていただきたいテーマです。

Vol.28(3)

まず、
「関連当事者」というのは、
会計上の専門用語の1つです。

細かい定義を抜きにして、
ざっくり説明すると、
「会社への影響力がある個人・法人」
といった定義です。

上場会社では、
未上場の会社と異なり、
多くの株主がいることが前提になります。

株式上場前は、
限られた株主だけを意識して経営をしても
実質的な支障はありません。

とくに、
オーナー創業家が
100%の株式を保有している会社であれば、
所有と経営が実質一致しているので、
なおさらです。

一方で、
株式上場すると、
そういうわけにはいきません。

つまり、
「株式上場=所有と経営の分離」
ことを意味します。

Vol.49(1)

株式上場後も、筆頭株主として、
オーナー創業家が影響力を及ぼすことはあっても、
会社を完全に支配することはできなくなります。

株式上場すると、
多くの個人・法人が自社の株主になりますが、
基本的には、
すべての株主を平等に扱う必要があります。

オーナー創業者が
自身の利益を優先して、
他の株主(≒少数株主)の利益を
犠牲にすることは許されません。

そのため、
上場企業の法制度上、
「少数株主の保護」
といった点を目的にしたルールがいくつかあります。

その1つとして、
「関連当事者取引の注記」
といったものがあります。

この「注記」とは、
会社の経営に関する参考情報を
開示する制度です。

つまり、
「関連当事者=会社への影響力がある個人・法人」
と会社の間での取引がある場合、
「その取引内容を説明・開示する」
必要があるのです。

Vol.16(2)

例を挙げてみると、
・オーナー創業家と会社との間の金銭貸借
・オーナー創業家と会社との間の不動産賃貸借
といった取引等が該当します。

上記はあくまで例示です。
これ以外にも、
取引があれば開示しなければいけません。

決して、
「取引をしてはいけない」
というわけではありませんが、
取引をしている場合には、
「きちんと開示をしましょう」
ということです。

但し、
オーナー創業家に有利な取引条件で、
取引をしている場合には、
この開示が難しくなってきます。

少数株主の利益を犠牲にしている、
と宣言しているようなものですので。

結局、
このような注記制度があるため、
オーナー創業家に有利と思われるような取引は
実質的にできなくなります。

このようなことから、
「株式上場=ガラス張り」
とも言われます。

Vol.52(4)

ただ、このようなガラス張り経営が
悪いことばかりではありません。

ついつい創業家や一部の人に
甘くなりがちなところを、
このような「ガラス張り」状態であるがゆえに、
歯止めをかけてくれることにつながります。

このような「ガラス張り」状態が、
結果的に「健全な経営」
結びつくことも期待されます。

いろいろな考え方がありますが、
株式上場を目指す経営者にとっては、
避けられないテーマが
「関連当事者」
です。

実際には、株式上場前に、
この「関連当事者との取引」を
整理することを要求されます。

証券会社や監査法人といった
外部の専門家も気にする論点です。

是非、
株式上場を目指す場合には、
頭の片隅に置いておいていただければ、
と思います。

参考:関連当事者の範囲

ちなみに、
「関連当事者」に含まれるのは、
以下のような個人・法人になります。

結構該当するのではないでしょうか?
是非、意識をしておいていただければと思います。

<関連当事者の例>
①親会社
②子会社
③関連会社
④兄弟会社
⑤主要株主(10%以上の保有割合)
⑥主要株主の近親者
⑦役員
⑧役員の近親者