記事一覧

Vol.169 連結決算業務で解決が一番難しい論点とは?(1/2)

Pocket

連結決算実務ではいろいろな壁にぶつかります

連結決算業務は
グループ会社のあらゆる社員が
関係してくる業務です。

個人的には、
これまでもお伝えし続けてきましたが、
あらゆるグループ社員が主体的に連結決算に取り組む
「みんなで作る連結決算」
の考え方を理想としています。

 

但し、みんなで作るといっても、
最終的な成果物の1つである
「連結決算書」をまとめていく業務は、
やはり経理担当者の業務となってきます。

多くのグループ社員の協力のもと、
連結決算に必要な「材料」が集まってくるところまで来たら、
最後に頑張るのは、
経理担当者になります。

 

ただ、「連結決算」を進めていく中では、
経理部において、とても迷ったり、
悩んだりする論点がいくつかあります。

少し会計専門的な用語が多くなりますが、
いくつか挙げてみますと、
・組織再編等の処理
・海外子会社対応(言語含む)
・未実現利益の処理
・連結決算における税効果会計の処理
・為替換算が関係する処理
等々。

 

上記にあるような
連結会計の知識が必要とされる
難解な論点については、
経営者としても、
経理部に任せておいてよい論点だと思います。

経理担当者としても
いろいろ悩む場面も多いですが、
「みんなで作る連結決算」の総仕上げとして、
腕の見せ所でもあります。

 

それでは、
いろいろと論点が多い連結決算業務において、
最も悩み、解決が難しい論点は、
いったい何になるのでしょうか?

解決が難しいランキング2位は・・・

連結決算業務において、
最も悩み、解決が難しい論点について、
私のなかでは候補が2つあります。

どちらも甲乙つけがたいところですが、
まずは第2位から。

 

連結決算業務において
解決が難しいランキング第2位は・・・、

———————————-
グループ内取引金額を照合し、
取引額の一致を確認すること
———————————-

です。

あくまで私の私見です。

 

この論点は、
会社によっては、
全く問題ないケースもあります。

ただ、
グループ会社が多くなればなるほど、
また、グループ内取引が増えれば増えるほど、
グループ内取引を一致させることが
難しくなってきます。

 

同じグループ内企業同士の取引なのだから、
普通に考えると、
「グループ会社間の取引額の認識は、一致して当然なのでは?」
「取引額がなぜ一致しないの?」
と思われると思います。

当然、
取引そのものの事実は1つのはずです。
グループ会社同士で把握している取引額も
当然一致するはずです。

 

それでも、
一致しないのです!

 

結果として、
最後に経理部が苦しむ、
という状況が起こっているのです。

私のこれまでの
連結決算コンサルティングの経験を踏まえての
ランキングではありますが、
こんな単純な論点が、
第2位にランクインしました。

なぜグループ会社同士の取引が一致しないのか?

本来一致すべき
グループ会社同士の取引額が
一致しないのはなぜでしょうか?

 

全く外部の会社との間の取引であれば、
双方で見解の相違があり、
金額の考え方が異なることも考えられます。

また、会社ごとに
認識タイミングが異なる等の理由で、
一時的に金額の認識額が異なることもあり得ます。

 

一方で、
グループ内会社同士の取引であれば、
事実認識に相違が出ることは
基本的には無いはずです。

仮に認識相違があったとしても、
グループ内の関係者同士で
事実の認識をすり合わせることもできるはずです。

 

それにもかかわらず、
グループ会社同士の取引金額の認識が
一致しないことが多くあるのです。

さらには、
これが海外子会社との取引となると、
為替レートの問題や
タイムラグの問題もあったりして、
両者の認識額の一致はさらに難しくなります。

 

グループ経営には
多くの社員が、あらゆる立場で
関わってくることになります。

そのため、
一見簡単そうに思えるような

———————————-
グループ内取引金額を照合し、
取引額の一致を確認すること
———————————-

が、とても難しい状況になってくるのです。

 

このような状況を解決するために
必要になることは、やはり
「グループ社員の主体的な連結決算への関与」
だと思います。

経理部だけでは解決が難しいからです。

 

取引の主体者が、
「そんなことは経理部の仕事でしょ!」
と思っているうちは、
この問題を解決するのは難しいといえるでしょう。

また経理部の立場からしても、
積極的に現場を巻き込んで、
解決をしていく姿勢が不可欠になります。

 

まさに、
「みんなで作る連結決算」
を実践していくことが求められる、
ということです。

解決が難しいランキング1位は・・・

それでは次に
連結決算業務において
解決が難しいランキング第1位に
移っていきたいと思いますが、
少し長くなってきました。

そのため、
第1位については、
続きとして次回にお伝えさせていただきたいと思います。

★★★★★★★
連結決算業務を
経理部だけの業務だと思っていませんか?
★★★★★★★

関連記事