連結決算は難しい?
連結決算というと
どうしても難しそうで、
専門的なイメージがあるようです。
会計の知識のある人や
経理社員、税理士等であっても、
ほとんどの人が、
「連結決算となるとちょっと・・・」
となってしまいます。
但し、私の感覚では、
「連結決算=難しい」という印象は
もう少し掘り下げて考えるべきだと思っています。
私なりに
連結決算業務を因数分解すると、
主に、
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①連結会計の知識(10%)
②経営者の理解(30%)
③グループ組織デザインの状況(30%)
④グループ内コミュニケーション・協力体制(30%)
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といったような要素に
分解できるのではないかと考えています。
カッコ書きしている「%」は、
占める割合を表現しています。
そして、
「連結決算は難しい」
と思われている方の多くが、
このうち①の要素についてのみ
語られているような気がしています。
確かに1つの側面としては、
①の要素に難しい部分があることは
否定できません。
但し、
そもそも連結決算業務のなかで、
①の割合は10%程度であり、
かつ、そのうち難解な部分となると、
5%にも満たないのではないかと思っています。
連結決算の本当の難しさとは?
それでは、
実際のグループ経営実務の中での
「連結決算の本当の難しさ」
とは何なのでしょうか?
それは、
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連結決算業務で本当に難しいのは、
②経営者の理解(30%)
③グループ組織デザインの状況(30%)
④グループ内コミュニケーション・協力体制(30%)
の3つの要素である
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と言えるでしょう。
この②③④で90%を占めますので。
(あくまで私見ですが)
このうち②の重要性については、
前回の「(Q8)」でも
お伝えさせていただきました。
また③のグループ組織デザインの
重要性については、
これまでも何度もお伝えしてきました。
この③についてもどちらかという
経営者が主体性を発揮する要素が
大きいです。
そう考えると、
経営者要素の②③だけで
連結決算業務の約60%も
占めることになります。
ということは、
経営者が連結決算に主体的に取り組めば、
連結決算業務の困難要素の
半分以上は解消されると言えます。
連結決算の難しさのもう1つの要因
連結決算の難しさの要因の半分以上は
「経営者要因」
であることをお伝えしました。
そしてもう1つ、
連結決算が難しくなる大きな要因として、
「④グループ内コミュニケーション・協力体制(30%)」
の要素があります。
この要素も、
現場レベルでは、
とても大きなテーマです。
グループ経営の状況を
決算書という形で数値化したものが
連結決算書です。
つまり、連結決算業務とは、
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グループ経営の現場の状況を
数値化していく「一連の流れ」
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と表現できます。
そう考えると、
結局は、グループの各現場同士の
コミュニケーションや協力関係があって初めて
連結決算書が出来上がる、
と言えます。
一般的には、
「連結決算=①連結会計の知識」
と思われがちですが、
実際には、これだけでは不十分なのです。
結局、
連結会計の知識や
連結決算書を作る経験があるだけでは、
連結決算はできないのです。
そのような専門知識のある人材を
雇用したからといって、
自社の連結決算が
できるようになるわけではないのです。
この点は注意が必要な点です。
連結決算への関与人数=連結決算の可能性の大きさ
以上をまとめると、
グループ経営に役立つレベルの
本当の連結決算の仕組みを構築しようと思ったら、
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グループ会社「全員」の協力が必要
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ということです。
このなかには、
当然、経営者も含まれますし、
経理部以外の社員も含まれます。
つまり、
グループ経営に活用できる
連結決算の仕組みづくりのポイントは、
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どれだけ経営者自らが
連結決算に主体的に関与し、
どれだけ多くのグループ社員が
連結決算に主体的に協力するか
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にかかっている、
と言ってよいでしょう。
もし、
「連結決算=経理部の仕事」
と思っているようであれば、
是非、これを機会に
現状を見つめ直していただければと思います。