これまで、
多角化について、
・連結決算の必要性(Vol.154)
・ホールディングスとの相性(Vol.155)
に関することをお伝えしてきました。
今回は、
連結決算、ホールディングスと並んで
「多角化三種の神器」の最後の1つである、
シェアードサービスについても
触れさせていただきたいと思います。
多角化戦略にも
いろいろな多角化の形がありますが、
どのような形であれ、
避けたいことがあります。
それは、
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多角化した事業が
バラバラな複数会社経営になること
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です。
このような状況を
もともと望んでいるのであれば別に問題ありません。
ただ通常は、多角化といっても、
既存のノウハウや市場を活用しながら、
横展開することが多いと思いますので、
やはり多角化した事業同士の連携や
シナジー効果は期待したいところです。
ところが、
多角化戦略をとっていると、
どうしてもグループ会社間の連携・シナジー発揮
といった点が上手くいかなくなることが多いです。
私の中では、
「連結グループ経営」とたんなる「複数会社経営」は、
大きく異なります。
個人的な思いとしては、
複数の会社を経営するのであれば、
やはりグループとして一体となり、
グループ会社同士が連携し合い、
グループシナジーを生み出し、
「1+1>2」
の経営を目指していくべきだと考えています。
このような経営を、
「連結グループ経営」
と呼んでいますが、
ただたんに複数の会社を経営しているのとは、
その実態は大きく異なります。
一方で、多角化戦略は、
往々にして「複数会社経営」で
留まってしまうことが多いのです。
多角化戦略自体が、
そのような要素を持っているのかもしれませんが、
やはり、たんなる「複数会社経営」の形で
留まっている状況は、
とてももったいないと思います。
逆に、多角化が失敗しないためには、
意識的に「連結グループ経営」になるように、
心掛けるくらいの方が
良い結果を生むようにも思います。
それでは、
多角化戦略を進めていく中で
連結グループ経営を実践していくには、
どのようなことが必要になるのでしょうか?
これは、ずばり、
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横串管理
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です。
感覚的にはわかっていても、
実践できていないのが、
この「横串管理」なのです。
※参照「ホールディングス横串力」
もともと多角化して、
それぞれの事業が独立採算的に活動しているので、
自然に任せていては、
この「横串管理」は永遠に実施されません。
きちんと、
「横串管理の仕組み」
として、意識的に取り組まなければ、
絶対に実現は不可能です。
つまり、
グループ横断的な活動や取組みが
求められるのです。
このグループ横断的な活動や取組みには、
いろいろな方法や事例がありますが、
実務面から重要な役割担うものこそ、
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シェアードサービスの仕組み
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だと考えています。
シェアードサービスについては、
これまでも何度となくお伝えしてきたので、
詳細の説明は、ここでは割愛したいと思いますが、
シェアードサービスを「コスト削減」だけを目的にしていては
もったいない仕組みだと思います。
シェアードサービスは、
グループ業務の「集約化」と「標準化」によって、
グループ全体の「コスト削減」を実現する効果があります。
これは言わば「マイナスを減らす」取組みと言えます。
これはこれで
重要なグループシナジー効果ではありますが、
私としては、もう1つ
「プラスを増やす」タイプの
グループシナジー効果も、
シェアードサービスには期待したいところです。
つまり、
シェアードサービスが
上手く機能することで、
「横串管理でお互いの強みを生かす」
ということです。
ついついバラバラになりがちな、
各事業会社のタテのラインを、
ヨコのラインで結びつけて、
グループ内の連携を強めていく活動です。
このような「プラスを増やす」役割も
担ってもらえるような「シェアードサービスの仕組み」を
グループ内に構築できれば、
とても強い「グループ多角化経営」になっていくと思います。