平成27年11月30日~12月4日の適時開示情報をもとに、
「子会社を減らす」決断をした事例をご紹介いたします。
はじめに
今週は2件の事例をご紹介させていただきます。
「子会社を減らす」という決断は勇気がいるものですが、
経営者として重要な仕事の1つです。
是非、各事例における経営者の決断から
学べる部分を学ばせていただきましょう。
事例1)カナレ電気株式会社
<概要>
●平成27年11月30日開催の取締役会において、
フランス販売子会社の閉鎖を決議。
<背景>
●欧州への販売をフランス販売子会社の
Canare France S.A.Sで行ってきたが、
販売は伸び悩んでいた。
●そのため、フランス販売子会社を閉鎖のうえ
欧州販売戦略を見直すこととし、
欧州への販売を親会社からの直接取引とする。
事例2)ノーリツ鋼機株式会社
<概要>
●平成27年11月30日開催の取締役会において、
平成28年2月下旬に開催予定の臨時株主総会の
承認を得られること等を条件として、
完全子会社であるNKワークス株式会社(NKW)の全株式を、
ライフスタイル・ジャパン投資事業有限責任組合によって設立された
買収目的会社(譲受会社)に譲渡することを決議。
<目的>
●グループは1951年の設立以来、
世界で初めてフィルム現像工程の自動化に成功するなど、
イメージング分野における高い技術力を
武器に確固たる地位を築いてきた。
●しかし、2000年代に入り
デジタル化の進展や需要構造の変化等により、
日本国内および北米を中心として受注が減少し続ている。
●2015年度において、
イメージング分野を担うNKWは、
売上高が最盛期である2003年度の13%程度まで縮小し、
約18億円の当期純損失を計上予想。
●そのような中、当社グループは2010年以降、
イメージング分野にとどまることなく、
M&A などによる新規事業への展開を積極的に推し進め、
成長軌道への修正を図ってきた。
●また、NKWにおいても
これまで複数回にわたる希望退職者募集や
海外拠点の閉鎖等を含む構造改革を断行してきた。
●しかしながら、度重なる構造改革を経てもなお
イメージング分野における不可逆的な環境変化に対する
本質的な解決策が未だ見い出せていない。
●判断の結果、NKWの全株式を譲渡し、
イメージング分野からの撤退を決断。
●株式譲渡により、グループは、
今まで継続して構造改革を行ってきた
イメージング事業を切り離し、
今後は、新規事業への資本投下などによる
ポジティブな持続的成長へシフトし、
医療サービス、シニアビジネス、機能性素材などの
様々な成長領域の事業を有する企業体として発展していく。
●本株式譲渡は、
会社法第467条第1項第2号の2(事業譲渡等の承認等)に従い、
株主総会の承認が必要となる。
レビュー
今週はあまり事例がありませんでしたが、
2つの事例について取り上げました。
事例1)は海外子会社の閉鎖の事例です。
フランスの販売子会社の販売不振が
原因とのことですが、
子会社を閉鎖して日本から直販する、
ということです。
販売不振の原因が子会社にあったと判断したのか、
詳細はわかりませんが、
日本からの直接取引に変えるということは、
マーケットとしてはまだ存在する、
という判断なのだと思います。
次に、事例2)は、
子会社株式の譲渡の事例です。
過去に何度かテコ入れをしてきた経緯が
開示されていましたが、
結局は立て直しは難しいと判断し、
子会社株式譲渡の道を選択したようです。
それと同時に、今後は、
新規事業への資本投下などによる
ポジティブな持続的成長へシフトしていく、
とのことです。
つまり、
選択と集中の結果ということだと思います。
今週は以上となります。