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Vol.192 カタチだけの連結決算になる会社の特徴とは?

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連結決算の手順

これまでも何度か繰り返している内容ですが、
連結決算書を作成する手順は、
ざっくりいうと、

—————————————————
①グループ各社の決算を作って収集する(集める)
②グループ各社の決算を合算する(足す)
③グループ会社内の取引や債権債務を消去する(引く)
—————————————————

という手順から構成されています。

 

つまり、
「グループ各社の決算書を作って、集めて、足して、引く」
というだけの手順です。

 

連結決算をこれまで実施していない企業グループであっても、
グループ各社の決算はそれぞれ実施されているはずなので、
連結決算を導入することで変わるのは、
「集める」
「足す」
「引く」
の3つだけということです。

但し、この単純な
「集めて」「足して」「引く」という手順に
どのように向き合うかで、
連結決算の意味合いが全く変わってくるものです。

カタチだけの連結決算になる会社の特徴

私自身、これまで
多くの会社で「連結決算」の導入支援をしてきたなかで、
残念ながら「カタチだけの連結決算」になっている会社を
多く目にしてきました。

ここで言うところの「カタチだけの連結決算」とは
グループ経営に活用されていない連結決算の状態を表現しています。

 

このような「カタチだけの連結決算」に
陥ってしまっている会社には、
共通する「2つの特徴」があります。

それは、
●経営者が「連結決算」に関与していない
●経理の一部の担当者や専門家だけで連結決算を「作業」としてこなしている
という点です。

 

確かに、上記の連結決算の3つの手順を
作業的にこなすだけだと考えると、
一部の会計専門家や経理担当者だけでも
なんとか「連結決算書」を作るところまでは、
もっていけるものです。

残念ながら、上場会社ですら、
このような状態は比較的よくある状態といえます。

 

ただ、私自身、
この事実と向き合い、試行錯誤をしてきたなかで、
上記の2つの特徴とは逆で、

——————————————
●経営者自らが率先して「連結決算」に興味を持ち、関与する
●グループ全社員が「連結決算」に関与できるような環境を整備する
——————————————

という状況を実現できれば、
「カタチだけの連結決算」で終わることなく、
「グループ経営の仕組みとして活用できる連結決算」を構築できる、
ということも確信できるようなってきました。

 

一部の社員や専門家だけで作業する
「カタチだけの連結決算」で終わってしまうのか、
それとも「グループ経営の仕組みとしての連結決算」を導入し、
「1+1>2」となる「連結グループ経営」を実現していけるのか。

この分かれ道は、
経営者自らが「連結決算」に関心を持つとともに、
グループ全社員を「連結決算」に巻き込むようなリーダーシップを
発揮できるかどうかにかかっているということです。

 

みんなで作ってこそ、
経営者が活用することができ、現場でも活用されるような、
自社オリジナルの「連結決算」の仕組みができる、
という理屈はなんとなくご理解いただけるのではないでしょうか?

本当は巻き込まれたい?

それでは、
上場会社を含む多くの会社において、
ごく一部の経理担当者や外部の専門家に頼った
「カタチだけの連結決算」になってしまっている理由は、
そもそも、どこにあるのでしょうか?

 

その理由は、
経営者やほとんどの社員が、

————————————————
「連結決算=会計の専門家が実施するもの」
「連結決算=経理の仕事」
————————————————

と思い込んでいる(決めつけている)からだと思います。

 

多くの経営者は、
出来る限り他の業務に支障を与えないような形で
「連結決算」を導入しようとします。
つまり、出来るだけ多くのグループ社員を
「連結決算」に巻き込まないようにすることの方が
重要だと考えているのです。

私も若い頃はこの考え方に違和感はありませんでした。
事実、あまり他部署に迷惑や負担を掛けないように
「連結決算」に取り組もうとしていたような気がします。

 

ただ、多くの経営者や、
いろいろな部署の人と業務をしていく中で、
その考え方が次第に変わっていきました。

実は、多くのグループ社員は、
グループ全体のことを知りたがっているのに、
それを知る機会が無いが故に、
グループ全体のことを考えなくなったり、
部分最適な思考になったり、
徐々に一体感を失っていったりしていることが
わかってきたのです。

 

私自身、このことに気づいてからは、
「多くの社員を連結決算に巻き込まない=グループ社員に失礼である」
といったような思いに変わりました。

つまり、

———————————————
「多くの社員を連結決算に巻き込まない=グループ内がバラバラになっていく」
「多くの社員を連結決算に巻き込まない=グループの実態が見えない」
「多くの社員を連結決算に巻き込まない=連結決算が逆に大変になる」
「多くの社員を連結決算に巻き込まない=カタチだけの連結決算になる」
「多くの社員を連結決算に巻き込まない=経営に活用できない」
———————————————

という状況が、
多くの連結決算導入会社で起きているということです。

 

そして、
私自身、辿り着いた思いとしては、

———————————————–
「多くの社員を連結決算に巻き込まない=みんなが不幸になる」
「多くの社員を連結決算に巻き込むこと=みんなが幸せになる」
———————————————–

ということです。

結果より大事なものは?

そこそこのレベルの「連結決算書」を作成するだけであれば、
一部の経理担当者や会計専門家が作業的に連結決算をこなす方が
短時間、かつ、効率的に成果物に辿り着けるでしょう。

多くの社員を巻き込んで、
「連結決算書」を作成しようとすると、
ゴールにたどり着くまでには、
いろいろと衝突があったり、遠回りしたりすることも多いですし、
最初のうちは、成果物の精度も、
低いものになる可能性すらあります。

 

それでも、私としては、
できるだけ多くの社員を巻き込んで、
みんなで連結決算を作る方法の方が、
やはりお勧めです。

緊急的に、
どうしても「連結決算書」の作成が急務、
という状況があれば話は別ですが、
そうでなければ、
やはり「急がば回れ」の精神で、
みんなで連結決算に取り組んでいただきたいと思っています。

 

その理由は、

—————————–
連結決算は、
その「結果(≒連結決算書)」より、
その「プロセス」の方にこそ意味がある
—————————–

と考えるからです。

 

ここでいうプロセス」とは、
ざっくりいうと、先ほどの手順の3つである

————
「集める」
「足す」
「引く」
————

という点に集約されます。

 

たったこれだけのことですが、
このプロセスの意味をよく考え、
できるだけ多くの社員で取り組むということです。

そのプロセスのなかで、
お互いを知る機会やコミュニケーションも生まれますし、
グループ全体のことにも関心を持つようになります。

また、「数値」という形で
グループの状況を把握する機会が多くなるのも、
社員が連結決算のプロセスに関与するメリットだと思います。

 

成果物(結果)としての「連結決算書」は
当然重要なものではありますが、
連結決算の「結果」以上に「プロセス」に関与することこそ、
実は、経営者や社員にとって、
貴重な機会なのではないかと私は思っています。

いわば、

——————————-
多くの社員が
連結決算のプロセスに関与することで、
自然と「グループ組織ブランディング」を実現できる
——————————-

ということです。

 

是非、連結決算の「結果」だけでなく、
「プロセス」にも注目していただきたいと思います。

★★★★★★★
連結決算のプロセスを
大事にしていますか?
★★★★★★★

 

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