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Vol.51 オーナー社長の適切な節税

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「節税をしたいんですけど」
よく聞かれる質問です。

個人的には、
とても困る質問の1つです。
あまりにも漠然としていることや、
前提条件がわからないからです。

そもそも、
税金を主に考え出すと、
事業経営の方がおかしくなるケースも
多く見てきました。

また、
社長ご自身は節税できていると思っていても
実際には節税になっていないケースも
多く見てきました。

Vol.15(3)

税金は事業経営と密接に関連していますし、
家族状況とも関連します。

中途半端な節税情報を鵜呑みにすることで、
逆にマイナスになることさえあります。

そのため、
あまり税金についての各論は
この場でも触れたくないと思います。

但し、
オーナーとして、また経営者として、
適切な税金の知識を持ち、
税金に関するリテラシーを高め、
適切な節税をすることは、
とても重要なことであり、
競争優位の源泉にもなると思っています。

Vol.27(1)

 

そのため、
オーナー社長に知っておいていただきたい
税金の概要について、
3つの簡単な「総論」を今回はまとめておきたいと思います。

<オーナー社長のための3つの視点>
(1)フロー課税とストック課税
(2)法人税と所得税
(3)永久節税と繰延節税

どうでしょうか?
すぐにイメージができるでしょうか?

簡単に解説してみたいと思います。

 

(1)フロー課税とストック課税
税金は、大きく
①日々の収入をベースに課税がされる税金
②保有資産をベースに課税がされる税金
の2つに分けられます。

①は「法人の利益」にかかる税金である法人税
「給与」にかかる税金である所得税が代表です。

一方、②は相続税贈与税といった、
資産を移転するときに課される税金が代表です。

一般的には「フローの結果としてのストック」
という流れになると思いますので、
①と②は密接に関連しています。

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(2)法人税と所得税
とくにオーナー社長の場合は、
会社も自分のものであるという意識が強いと思います。

株主でもあるため、ある意味正しいのですが、
上記(1)①にあるフローの収入を
会社と個人どちらに分配するかで税金が変わってきます。

つまり、
③法人の利益に係るもの⇒法人税
④個人の給与に係るもの⇒所得税
です。

法人税と所得税は税金の体系が異なります。

法人の役員報酬をいくらに設定するかで、
法人の利益と個人の給与のバランスが変わるため、
課税される税金のバランスも変わります。

Vol.51(2)

 

(3)永久節税と繰延節税
とくにフロー収入に係る税金については、
毎月、毎年、税金を払うこととなります。

このような税金について、
⑤税金を永久的に減らせる方法
⑥税金を払うタイミングを遅らせる方法
の2つの種類があります。

巷で話題にされる節税の多くは、
⑥の方法、つまり、
「税金の支払いを将来に繰り延べる方法」
です。

なかには、⑤の方法もありますが、
この2つを混同して「節税」の話をすると、
論点がぼやける場合があります。

Vol.51(3)

以上、簡単ではありますが、
大きく(1)から(3)の切り口を紹介しました。

当然、これ以外にも、
いろいろな切り口がありますが、
今回は「総論」だけにとどめます。

上記に挙げた①~⑥の視点は、
どれも密接に関わり合うものであり、
ひと言に「節税」といっても、考え方は複雑です。

結局、
事業経営や家族も含めて
総合的に考える必要もあるため、
「節税をした結果、何を求めているのか?」
という点を明確して考えなければ、
節税しているつもりでも、
結局は目的を達成できていないということがあります。

税金については税理士に丸投げしていて、
まったく理解をしていない経営者にもお会いします。
どちらかというとこのタイプの経営者の方が多いと感じています。

但し、
企業として成長し、拡大し、永続する
経営を目指す経営者であれば、
自分でも税金の知識を身に付けて、
企業グループの税金や個人の税金、
また家族の税金を自らデザインするくらい
リーダーシップを発揮すべきだと思っています。

Vol.47(3)

当然、専門的なことまで勉強する必要はありません。
そこは専門家に任せるべきです。

但し、
税金についての大きな絵を描いて、
自ら関心をもってチェックをして、
必要に応じて軌道修正ができる能力は、
経営手腕の1つだと思っています。

経営者自身に、
この意志と意欲があってこそ、
有能な税理士を見分けることができ、
その知を最大限に活用できる、
と思っています。

そうすれば、
「経営にとって適切かつ必要な節税」
が見てくるはずです。

Vol.27(3)

 

これまで税金について
税理士に丸投げの社長は、
重要な経営能力の1つとして、
税金を勉強してみていただきたいと思います。

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