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【事例】サトレストランシステムズ株式会社

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※平成29年2月1日にサトレストランシステムズ株式会社より適時開示されている「「監査等委員会設置会社への移行」および 「会社分割(簡易分割・略式分割)による持株会社体制への移行に関する検討開始」のお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

監査等委員会設置会社への移行
持株会社体制への移行

開示概要

●平成29年2月1日開催の取締役会において、
平成29年6月下旬開催予定の定時株主総会において承認されることを前提に、
「監査等委員会設置会社」に移行する方針を決議。

●同時に、平成29年10月1日をめどに
会社分割(簡易分割・略式分割)の方式により
持株会社体制へ移行することの検討を開始することを決議。

持株会社体制移行の目的

●経営方針である「最も顧客に信頼されるレストラン」の実現に向けて、
・安全安心で健康的な食事を提供する「安全・安心へのこだわり」
・持続可能な社会に貢献する「環境保全への取り組み」
・地域になくてはならない企業を目指す「地域・社会への貢献」
・仕事を通じて夢を実現できる会社を目指す「働きやすい職場環境の 整備」
等を積極的に推進して成長を続けていく。

●そのためには経営の効率化を図り、
市場環境の変化に柔軟に対応できる体制づくりが必要と考え、
経営戦略機能と事業執行機能を分離することで意思決定の迅速化を図り、
経営人材の育成と機動的で且つ柔軟な事業運営実現の観点から、
持株会社体制への移行を検討開始することを決定。

持株会社体制への移行方法

サトレストランシステムズ株式会社を分割会社とする簡易吸収分割により、
飲食事業およびフランチャイズ店舗運営事業を担う子会社の設立をする。

持株会社体制への移行スケジュール(予定)

①持株会社体制移行決定取締役会:平成29年2月1日
②分割準備会社の設立:平成29年4月中旬(予定)
③分割契約承認取締役会:平成29年6月上旬(予定)
④分割契約締結:平成29年6月上旬(予定)
⑤持株会社体制への移行:平成29年10月1日(予定)

 

Review

今回は「サトレストランシステムズ」の事例です

 

飲食事業の会社で、
グループ売上規模が約400億円、
グループ従業員数1,000人超、
関係会社4社からなるグループ経営です。

いくつかの店舗形態で展開はしていますが、
飲食業という点では「軸」がはっきりしていて、
いわゆる「単一事業」形態ということです。

 

今回の開示情報を見ても、
また、有価証券報告書等を見てみても、
他の事業領域に多角化したり、
積極的にM&Aをしていくような様子には見受けられません。

そのため、純粋に現状の経営路線の中で、

————————————
・市場環境の変化に柔軟に対応できる体制づくり
・経営戦略機能と事業執行機能を分離することによる意思決定の迅速化
・経営人材の育成と機動的で且つ柔軟な事業運営実現
————————————

といった経営インフラを整備していくことが
今回のホールディングス化の目的のように思います。

目的がシンプルでわかりやすいですね。

 

そして、経営インフラという意味では、
今回の開示でホールディングス化とともに、
もう1つの決定がありました。

それは、
「監査等委員会設置会社への移行」
です。

 

同社のように、
ホールディングス化と監査等委員会設置会社移行を
セットで実施される会社の例も多い気がします。

 

グループ経営のインフラ整備として、
ホールディングス化のカタチを整理していくなかで、
経営陣の体制も整理することが一般的です。

そのような検討の中で、
最近流行りの「監査等委員会設置会社」導入も検討することが
多いのではないかと思いますが、おそらく、
ホールディングス形態との親和性があるのだと思います。
(少なくとも理論上は)

 

監査等委員会設置会社の詳細説明は今回は割愛させていただきますが、
その特徴を簡単に説明をすると、

———————————–
・監査役(会)設置会社や指名委員会等設置会社と並ぶ第3の企業統治形態
・社外取締役を2人以上設置する必要があるが、監査役を設置する必要はない
・監査役(会)設置会社の社外監査役を監査等委員である社外取締役に置き換えることもできる
・2人以上の社外監査役の設置が必要な監査役(会)設置会社からの移行が想定されていた
———————————–

といった感じです。


(上図は経営財務より転載)

 

また、移行の目的については,
・監査・監督機能の強化
・コーポレート・ガバナンス体制の一層の充実
・将来的な役員体制のスリム化
・意思決定の迅速化を図る
等の記載がよく見られます。

 

この制度の趣旨は確かに理解できますし、
意思決定の迅速化、シンプルな経営構造、といった点は、
ホールディングス形態と通じるものがあります。

まだ新しい制度なので、
実務の中でどのように根づいて、
結果が出ているかは私もよく把握できていません。

 

最近は、私も
「監査等委員会設置会社とは?」
「監査等委員会設置会社に移行しようと思うのですが・・・」
みたいなことを聞かれることが増えてきました。

ただ、移行理由の本音としては、
・常勤監査役がいらなくなる
・(社外)役員を減らせる
といったようなフレーズもちらほらと聞こえてきます。

 

このような本音はともかくとして、
制度として認められている機関形態である以上、
グループ経営構造の大きな変化であるホールディングス化を検討する際には、
経営陣の在り方も同時に検討するのは当然ですし、
1つの選択肢として「監査等委員会設置会社」についても
真剣に検討してみるのもよいと思います。

 

★★★★★★★
ホールディングス化と
監査等委員会設置会社の親和性
★★★★★★★

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