記事一覧

【参考】平成27年純粋持株会社実態調査②-機能類型-

Pocket

ホールディングス機能

前回は「平成27年純粋持株会社実態調査」
概要についてお伝えさせていただきました。

今回は、その補足的な意味も込めて、
個人的に興味深いテーマについて、
私なりに確認した結果をお伝えできればと思います。

 

今回確認をしてみたいテーマは、
「純粋持株会社が保有する機能」
についてです。

 

持株会社は、一般的には、
・純粋持株会社
・事業持株会社
に分類されることがありますが、
今回の調査は「純粋持株会社」です。

ただ、「純粋持株会社」というと
事業をしていない持株会社という括りではありますが、
そのなかでも、いろいろな機能が考えられるため、
とても興味深い調査内容と言えるでしょう。

機能分類

機能と言っても、
分類の仕方は様々です。

今回の調査では、
この機能については、
以下のよう分類をしています。

———————————-
(1)グループ・ガバナンス
 ①グループ経営理念・ビジョン
 ②グループ意思決定
 ③グループ経営戦略策定・推進
 ④グループ業務監査
 ⑤業績モニタリング・業績評価
(2)グループ財務・資本マネジメント
(3)グループ経理
 ①連結決算
 ②予算管理
 ③グループ会社経理の指導
(4)グループ法務
(5)グループ・ブランド・知財マネジメント
 ①グループブランド管理
 ②グループ知財財産管理
(6)グループ人材マネジメント
(7)グループ広報・IR
 ①IR
 ②グループ広報
 ③グループCS(顧客満足)マネジメント
(8)グループITマネジメント
 ①グループIT企画
 ②グループ内システムの開発・運用・保守
(9)グループ共通事務処理
 ①人事事務
 ②経理事務
 ③総務・庶務事務
(10)事業子会社横断的な戦略の策定
 ①研究・技術開発に関する戦略
 ②生産・生産技術・品質に関する戦略
 ③サプライチェーン(調達・物流)に関する戦略
 ④市場・マーケティングに関する戦略
 ⑤国内の地域運営に関する戦略
 ⑥海外の地域運営に関する戦略
(11)事業会社横断的な機能の遂行
 ①研究・技術開発
 ②生産・品質保証機能(製造拠点、生産管理、品質保証等)
 ③物流・調達(資材・購買)機能
 ④マーケティング、営業統括、販売拠点機能
 ⑤国内における地域統括拠点
 ⑥海外における地域統括拠点
(12)純粋持株会社の維持・運営
 ①純粋持株会社の収支計画・管理
 ②純粋持株会社の人事労務管理
 ③純粋持株会社の役員対応
 ④純粋持株会社の総務・庶務
(13)純粋持株会社が営む事業活動
———————————-

いかがでしょうか?

一から、機能を整理・分類していくことは
結構大変だと思いますので、
今回の調査分類を参考にして、
「自社の機能はどうなっているだろうか?」
とチェックリスト的に活用して、
考えてみるのもよいと思います。

 

整理・分類好きな私としては、
上記のような分類は、とても興味がわきましたし、
これだけの分類の統計結果が確認できることは、
とても参考になります。

一概に「純粋持株会社」と言っても、
事業機能的な項目も見受けられます。

ランキング上位の機能は?

それでは、上記の項目(機能)ついて、
多く保有されている機能は何になるのでしょうか?

まず、大分類別に順位を確認してみました。
以下の上位10機能です。

——————————————–
1位:グループ経営理念・ビジョン(74.2%)
2位:グループ経営戦略策定・推進(73.2%)
3位:純粋持株会社の収支計画・管理(72.1%)
4位:グループ業務監査(71.5%)
5位:予算管理(70.2%)
6位:グループ財務・資本マネジメント(69.3%)
7位:グループ意思決定(68.7%)
8位:グループ会社経理の指導(66.7%)
9位:純粋持株会社の総務・庶務(65.0%)
10位:連結決算(63.9%)
——————————————–

 

グループ経営理念・ビジョンや戦略策定は、
ホールディングス化の大きな目的の1つだと思いますので、
やはり上位にランキングされています。

 

そのうえで、目に留まるのは、
やはり「グループ全体の数値管理」的な機能です。

グループ全体の予算管理だったり、
財務・資本管理だったり、経理関連だったり、
さらには連結決算といった機能が求められているようです。

 

この内容からわかるように、
ビジョンや理念といった右脳マネジメントと
数値管理といった左脳マネジメントは
マネジメントの両輪であり、
多くの会社が両者を上手く活用しようと
意識をされているのだと思います。

ランキング下位の機能は?

最後にランキング下位についても、
確認をしておきたいと思います。

 

ちなみに、下位だからといって
業務としての重要性が低いというわけではなく、
あくまでホールディングカンパニーには
そこまでの機能を持たせないことが多い、
ということです。

また逆に考えると、
ホールディングカンパニーに、
このような機能まで持たせている会社もある、
という表現もできます。

 

機能の保有率が20%未満のものを
リストアップしてみましたので、
是非、参考にしてみていただければと思います。

——————————-
38位:国内における地域統括拠点(12.7%)
37位:海外における地域統括拠点(13.1%)
36位:物流・調達(資材・購買)機能(13.1%)
35位:研究・技術開発(13.3%)
34位:生産・品質保証機能(製造拠点、生産管理、品質保証等)(14.2%)
33位:純粋持株会社が営む事業活動(15.7%)
32位:マーケティング、営業統括、販売拠点機能(16.5%)
31位:サプライチェーン(調達・物流)に関する戦略(19.1%)
——————————-

 

業種・業態にもよると思いますので、
一概にこの結果がすべての業種の実態を反映している、
というわけではないかと思います。

 

ただ、個人的には、
このような機能までホールディングカンパニーが有し、
グループ経営管理をしていけるデザインは、
ホールディングス経営の究極型だとも思っています。

たとえば、過去にご紹介した事例ですと、
【事例】株式会社 幸楽苑①
ののような事例は、
比較的、このランキング下位の機能まで
ホールディングカンパニーに持たせている、
と言えるでしょう。

最後に参考

最後に参考資料として、
上記のランキング一覧を掲載させていただき、
終わりにしたいと思います。

ranking

是非、自社の
グループ組織デザインの振り返りに
活用いただければと思います。

★★★★★★★
ホールディングカンパニーには、
どこまでの機能を持たせていきますか?
★★★★★★★

 

関連記事